あんなに欲しかったものを手に入れた途端輝きが失せていくように、あんなに味わいたかった幸福も手に入れた途端欲にまみれてしまうのはなぜだろう。
好きになれば好きと言ってほしいと思い、好きと言われれば付き合いたいと思う。付き合えば声が聞きたいと思い、声が聞きたいと思えば会いたいと思う。会いたいと思えば交わりたいと思い、交わればそばにい続けてほしいと思う。
もうその頃には、あんなに言ってほしかった好きの言葉さえ当たり前になって、なんの鮮度もなくなってしまう。私たちが本当に欲しかったものって、結局何だったのだろう。
1度手に入れられると知ると、欲が出てしまう。たかが外れると限度がなくなって、欲が際限なく溢れる。ねえ、あの時嘘をついてくれたのはどうしてだろう。