Magic;the Gathering 未発売エキスパンションのテストカードについて

こんにちは!今回は追い求めている”Dragon”のテストカード(”シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon”の原型)を探すうちに出会った未発売エキスパンションのテストカードに関連する記事を書いてみようと思います。

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探し続けている”Dragon”のテストカード。mtg全てのドラゴンの始祖とも言える。ドラゴンは国籍関係なく男の子が大好きな種族なので、誰も手放してくれません。しかしカッコいい…くれ…

《未発売のテストカードとは?》

mtgの開発段階では92-95年頃までこのDragonのような形のテストカードによってエキスパンションの開発、調整がされていました。アンキティキー、ミラージュ、アイスエイジ、ビジョンズなどがその例です。

発売されたエキスパンションの影で、テスト段階でボツとなり発売されなかったエキスパンションも存在します。今回はその中で”Power Lunch”と”Spectral Chaos”について知り得た範囲でご紹介します。

《Power Lunch》

Power Lunchは93-95年頃に開発されていたエキスパンションです。このエキスパンションでは”一対多人数”で遊べるようにカードパワーを大幅に上げる調整が行われたようです。αのカードは、”火の玉/Fireball”を基準にクリーチャーを調整したらしいですが、Power Lunchではなんと”Ancestral Recall”を基準に調整されたようです。

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例えば”Vast plain”のカードはデメリットなしにタップで白白を生み出すと言う超強力な土地。こんなカードをゴロゴロ生み出そうとしていたのか…

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私が入手できたPower Lunchの”Dragon”のカード。テストカードのコレクターに譲ってもらいました。

Power Lunchのクリーチャーは大幅に強化されており、私が入手した”Dragon”の例で説明するとマナコストが4RRから2RRと2マナも減っています。

当時の性能としては4マナ5/5飛行プラス火吹き能力はなかなか強力だったのではないでしょうか?

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その他に”Hero”のカードは2マナ2/2飛行に除去性能付きと当時ではかなり強そう

しかしながら最終的にPower Lunchは発売に至りませんでした。当初はこういったエキスパンションはαなどのセットと区別して単体で遊ぶもの(過去に発売されたものと一緒に遊べない)として設計されていたようなのですが、最終的にアラビアンナイト発売時に全てのカードを一緒にして遊べるように方針を変えたようです。

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アラビアンナイトのカードの裏面が紫色になるところだったという話は割と有名?

その方針に従うとPower Lunchは明らかにオーバーパワーなカードばかり収録予定だったため、開発が終了してしまったようです。

しかし、この”一対多数”というコンセプトは後に”Archenemy”に引き継がれることになりました。

《Spectral Chaos》

Spectral Chaosは最古のテストプレイヤーの一人であるBarry Reich氏が手掛けた多色をコンセプトに開発されたエキスパンションです。

Barry氏はIce ageやAllianceの開発を手伝う最中で多色をテーマにすることを思いついたらしいです。テストプレイは行われたものの、最終的に企画の提出がLedgendsの発売と近かったため採用には至らなかったようです。

こちらは後にテンペストやインベイジョンの開発に影響を与えたと言われています。

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Spectral Chaosの”Acid Dragon”のテストカード。イラストがめちゃんこかわいい

未発売に終わったSpectral chaosですが、2020年にファンがカードリストを元にカードを再現する活動が行われています。

それによるとSpectral Chaosは非常に興味深いエキスパンションで、多色だけではなく、ピッチスペルやアングルードなどでジョークで作られた1/2マナ、ミラディンで登場したアーティファクト土地などの原型を見ることができます。こんな昔からアイデアが既にあったのか…と思うと非常に面白いです。

Spectral Chaos projectのサイトはこちら(現在カード画像は見れなくなっています…)

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先程の”Acid Dragon”だけ保存していたカードが残っていました。先程のかわいさの面影もない…


以上、テストカードの中でも異例な”未発売エキスパンションのテストカード”についてのちょっとした解説でした。

調べれば調べるほど深いmtgのテストカードの世界、当時のテストプレイヤーですら全てを知り得ているわけではなく、彼らもまたテストカードの情報を今もなお追い求めています。恐らく全容を把握している人はいないのではないでしょうか?

それ故になかなか説明している記事も見つからないため、わかったことがあればまた記事にしていこうと思います!



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