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脳のパラレル処理とリニア処理

弾き語り、という事が出来る人たちがいる。
駅前で、アコースティックギターを掻き鳴らしながら歌う人たち。
半世紀近くもこういう人達がいる。
(ぼくが生まれるまえから)

ぼくは、弾き語りが出来ない。
自宅にはギターがたくさんある。
なんなら、それ以上のベースギターも。
しかし、あの「弾き語り」がぼくには出来無い。
ジャカジャカ簡単なコードを鳴らして歌う、だけなのに、どうしてもリズムに唇が引っ張られる。
フランク・ザッパも弾き語りが出来ない。
ぼくは、彼の自伝本でそれを知った。
彼いわく、「俺の脳みそが処理出来ない」と。
世の中には、ベースを弾きながら歌える(さらに難しいのに!)人たちもいる。
一輪車に乗ってジャグリング出来る人たちもいる。
ぼくにとって驚くべき、ほとんど嫉妬の対象の人たちだ。
しかし、ザッパにはすごい能力がある。
それは、時間軸の構成能力である。
彼のギターソロには一つの特徴がある。
それは、『いま弾いているフレーズが(曲の中で)どの位置にあるか』がすぐ分かることだ。
ザッパの聴きやすさは、ここにあると思う。
彼の曲は「あとどれくらいで終わるか」が奔放とも思えるギターソロにも感じられる。
パラレルに一瞬に構成出来る人たちもいる。
リニアな時間軸で構成を紡ぐ人たちもいる。
ぼくは、40も半ばを過ぎてようやく、どちらも同価値だと気付けるようになった。
世界も自分も、未知で溢れている。
自分が逝ってしまうまで、あとどれだけそれを知ることが出来るか。

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