Distortion(弱酸性様)についてのあれこれ

はじめまして、あるいはこんにちは
こんばんは、紫宇くりぃむです。

2本目の歌ってみたに、弱酸性様のDistortionを歌わせていただきました。

元々、歌い手として弱酸性さんをとても尊敬しているのですが、YouTubeの動画を順番に聞いていたところ弱酸性さんの“オリジナル曲”を見つけて、歌いたい!と思い、気づいたら3時間半程、汗だくになりながら夢中で録音していました。

ハモリも頑張って聞き取ろうと思ったんですが、音感が無く、聞き取れないのもあって、せっかくだから好きなようにハモリやコーラスを入れてみようと思い、自分のなけなしのセンスを振り絞ってハモリを考えて歌ってみました!

※本家様と違うところに入っていたりするので、違和感がある方やアレンジが苦手な方は本当にごめんなさい( ;  ; )

初めての試みを大好きな弱酸性様の楽曲でしてみることが出来て、幸せです🙏

さて、ここからは歌(詞)への解釈や、歌唱法の話になります。

そもそも、皆さん、“Distortion”という英単語の意味を知っていましたか?
(お恥ずかしながら、僕は知りませんでした💦)

そこで、検索してみたら
「ねじれ、歪み(ゆがみ、ひずみ)」
「(事実などの)歪曲、曲解」
「歪んだ形」
と出てきました。

これを頭に入れた上で
次に歌詞を一つ一つ見ていきます。


貴方(きみ)の大層な愛情と
腐り切った脳内環境が今
罰となって 楽となって
ほらどっか痛いのかな?興味無いね
クラクラに喰らっている (Uh)

ここの部分で、言ってることやメロディーがクルクル変わっていることから、不安定な心情を表現していることが読み取れます。

さらに弱酸性さんは
“貴方の大層な愛情と”は優しく歌っているのに対し、その後の“ほらどっか痛いのかな興味無いね”の部分は荒々しく突き放すような歌い方をしています。

歌詞・歌い方がコロコロ変わるので、出だしからぐっと惹き付けられます。

(続き)

掃き溜めた価値の無い願望まで
勘違いして 殺気立っている (Ah)

掃き溜め、ということは価値の無いゴミのような“願望”が“勘違い”をして殺気立っている、ことになります。

※この時点ではまだ“勘違い”や“殺気立っている ”というのが何を指しているのかは分かりません。

(続き)

可哀想な他人 関心 無関心
色とりどりのハウスダスト
混在の一部を廻るずっと探し続けている

ハウスダスト、つまりゴミや塵のこと
転じて僕はここのハウスダストは雑音(取るに足らない他人の色々な意図等)だと解釈しました。

混在の一部、は意識?記憶?のことかなと思います。

他人の取るに足らない意図が気にかかって、意識の中でグルグルと渦巻いてるといったところでしょうか?

(続き)

知らんし 要らんし
ちょっと間違ったなスクロウル
Ah 縫った顔を隠して
笑ってみろよ さあ此処で

素直に捉えれば、スクロウル、転じて
受け流し損ねたことが知らなかったり要らなかったり……記憶がごちゃごちゃしていることを指しているのかな?と。

ここで、動画のイラストに注目してみます。
MVの人物の周りにたくさんの錠剤が散らばっていたり、心臓付近や額に怪我をしたりしている様子が描かれています。

虐待あるいは虐めを受けている?
薬物の使用等で意識が混濁している?
と僕は推測しました。

縫った顔を隠して
というのは恐らく比喩

笑ってみろよ さあ此処で
という部分からは笑えるわけないよな?という意図が読み取れる。
加えて、“此処”というのは恐らく現世(現実世界あるいは今生きているこの瞬間、と推測)

(続き)

最低で最悪な今日も オワリの為に生きている
主役にも誰にもなれなくて
神様は何を見てるの?

曲調的にはどこもサビでは無いのか?と思うほどにとても耳に残りやすいキャッチーなサウンドですが、ここの歌詞がサビなのです。つまり、この歌にとっての1番の“肝”です。

サビ前まででえらい悲壮感漂う雰囲気を出していましたが、サビでまたグッとさらに落ちるのです。

歌詞が落ちるのに対して、逆に音は上がるんですね。
音楽の構成上、サビでグン、と上がるのは手法として確立していると言っても過言ではありませんが、この曲はサビでも更に陰鬱とした現実を突きつけられてしまうのです。困りましたねえ。

(続き)

最低で最悪な今日に救いがあったとしても
その度に追憶(おもいで)となるなら
息をして また 沈んでいくーーー

“救い”があったとしても
に対するアンサーが、“また 沈んでいく”
なんですよ、どう思いますか?

僕は最初にこの歌を聴いた時、とてつもなく胸が苦しくなったんです。

弱酸性さんは最後の“沈んでいく”を
しずーんでく〜
と、綺麗に流す感じで歌っています。

なんの濁りも無い、とても綺麗な発声でストレートに歌っています。

さらに言えば、息をして、の後に割と大きめのブレスが入っています。息をしてるんです…(?)

語彙力が無さすぎて、だから何?と思われるかもしれませんが、ブレスの音って消すことも出来るので、ここで敢えて入れているというのがポイントだと思ってるんです。

僕はそれを聴いて気持ちがグチャグチャになりました。
そんな、何事も無かったかのように、スっと、流しちゃうなんて……。

なるほど、これが“無関心”になった世界線の僕(MVの人物)か、と。

ここではじめに戻ると、色々他者の意図に対してリアクションしている部分が、第三者に対してのようにも、俯瞰的に自分を見ているようにも受け取れることが分かります。

掃き溜めた価値の無い願望の勘違いとは、この先の未来への希望(HOPEという意味もあれば、シンプルにWILLでもあるでしょうね)を抱く自分に対する嫌悪感、諦めが読み取れます。

殺気立っている、は恐らく“興奮して荒々しい気持ちになる”の方の意味だと解釈しました。

絶望的な状況で、浮かんできた希望や意思が、他人や頭の中の自分の“ハウスダスト”でがんじがらめになる、グチャグチャとした気持ちを描いた歌だと解釈しました。


ところで、途中で“神様は何を見てるの?”という歌詞が出てきましたね。

僕はここの歌詞がとっても好きなんです。
現実と理想を行き来しているのを、ここまで無駄なく直接的に表せるものなのか、と胸を打たれたのです。

恐らく、普段は神様なんて信じていないだろうに、混在した意識の中でふと“神様”という存在が頭を掠めるのがなんだかリアルだなあ、と。

ここまでスマートにこの一言だけで表現出来るものなのか、と弱酸性さんの才能でガツンと頭を殴られた気がしました。


ここまで解釈を深めたところで次に歌唱法について僕が拘った点や、弱酸性さんの拘りを(あくまで僕が)感じ取れた部分についての話をします。


※長くなりますのでお時間のある時に読んでください。


ーーーーーーーーーー


まず、途中でも触れましたが、特にサビ前までのパートでものすごく声の印象がコロコロ変わるのが魅力的かつ、不安定な心情をよく表しているなあと感じました。

意図的に発声も変えてるはずなので、強くなったり弱くなったり、声が固くなったり柔らかくなったりするのがものすごくダイレクトに耳に伝わるのがいいです。(イヤホンで聞いてください)

貴方の大層な愛情と
の“と”がピタッと止まっているところからもう息を呑むくらい美しいです。
ここの“と”の役割があくまでも“&”でしかない、という感じがしてとても好きなんです。

なんの情感も含まれていなくて、ああ、記号として、並列を表すものとしての“と”の発音なんだなあ、とここでまず僕はウットリしてしまうんですね。

罰となって 楽となって
の破裂音の発音〜!!!!!

“ば”っとなって〜、“か”っとなって〜
ってもう聴いていて耳が幸せすぎます。

ほらどっか痛いのかなの“ほ”は僕にはとても真似できませんでした。
どうやったらあの音出せますか?
有識者の方がいたら是非教えてください。

興味無いね、の“きょうみ”もどういう風に発声すれば、あのぐしゃっと潰したような音が出せるんですか?教えてください。

ちなみにこの後の“価値の無い”のところの“無い”がちょうど無い、にも“ねえ”にも聞こえたので僕は敢えて“ねえ”に聞こえる方で歌いました。

声質故か表現力が足りないからか(あるいはどちらもか)僕は声に荒々しさを乗せられない代わりに、言葉のインパクトで訴えかけることにしました。
そうしないと、迫力が出せないと判断しました。

からの
勘違いして 殺気立って
はどうしても勢いをつけたくて、ハモリを2つつけています。

足りないところは他のものでカバーしないとね。

そしてここからが僕の特に大好きなポイントになるのですが。

可哀想な他人

の“か”の発音が物凄く好きなんです!
ものすごく上の位置(何となく伝われば幸いです)からストン!と綺麗に置かれてるじゃないですか…
しかもしかも音としてはストレートなのに声が尖ってるんです、とてもインパクトがありますよね。

か!〜いそぅなひと、という感じの流れが好きすぎるんです。

ああ、ここが立てたい部分なのだな、と一発で分かるんです。

で、なになに?と思っているところで
関心 無関心 と比較的無機質な発声が続きます。

色とりどりのハウスダスト、の発音がおざなりなのも好きです。

特にハウスダ“スト”のところですん、と落ちていくのがたまりません。発音をわざと途中で引っ込めて口をすぼめているんだと思います。
そこで雑な感じを出せるのが、出そうという発想が天才すぎる、と思います。
※弱酸性さんは紛うことなき天才であります。

そしてそして!
混在の一部を“廻る”のまとわ!

“ま”

“わ”
でございます皆様!!

Mの発音をあんなに綺麗に出せる人間、なかなかいないと思うのです。

ま行は、そもそも唇をくっ付けてから離れる行程で、ある種のもたつきがどうしても出てしまう発音になっているというのに、そのもたつきが一切ないんです、ここの“ま”には。

そして、綺麗にMAと入って、そのまま音だけをくるっと返しているんですよ、どういうこと?どういう技ですか?理解できますか?

濁りの一切ないMAからのぐるっと回ってWAですよ、とても人間業とは思えません。

しかも、わの小ささ!
(可哀想な他人、のところの“わ”も割と小さめな発音なのでもしかしたらこの曲はそういう風に統一してるのかもしれません)

ここの“わ”には主張がほとんどない。でもちゃんと音として認識できるんですよ、これってつまり、弱酸性さんはものすごく滑舌がいいということなんです(周知の事実ですが)。

発声はナチュラルなのに音階移動はぐるっと回して歌っている、どういう喉の使い方を習得すればこんな凄技が出来るんでしょうか、弟子入りしたいくらいです、本当に天才すぎます。

まさに“廻る”感覚を音に落とし込んでいるのが尊敬ポイントです……。

ちなみに、僕はこの辺で熱く語りすぎて引かれているのではないかと今更ながらヒヤヒヤしています。(もう遅いですかね?)

ずっと探し続けてる、の“続けてる”の発音も、一つ一つ少し重ために発音しているのが好きです。
音と音の境目が分かりやすくて、ここの発音を流さないことでグッとこのフレーズが立つ効果があります。

縫った顔を隠してまではサラッと歌っているのに対して、笑ってみろよでガラッとテイストが変わります。

激情が読み取れますね。

最低で最悪な今日をオワリの為に生きている

“さ”いていでさい“あ”くな今日を
オ“ワ”リの為に“生”きて“い”る

最低、最悪、オワリの為、生きている
というフレーズがそれぞれ強調されている事が分かります。

生きている、の“い”が語頭だけではなく2回目の“い”も強く発声されていることから、強調したいのだな、と読み取ることが出来ます。

(ちなみに僕がここまで発音や口の開きにやたら言及するのは高校時代の放送部の朗読活動が影響していると思います、人によってはしつこく感じるかもしれません、申し訳ない。“性癖”なので許してください笑)

対して僕は“生きている”を流して歌いました。
語頭の“生”は強く発声しましたが、生きているというフレーズを僕の発声で立てるとなると、他のフレーズの発声を組み立て直す(発声がガラッと変わる )ことになり、雰囲気がまた全て変わってしまうと判断したからです。

僕の声質だと特に“あ”の音が立ちづらいです。
僕の発声は息が多く含まれているので、普通の人よりも“あ”の音が柔らかくなってしまいます。

※ちなみに、ここで有効になるのがエッジボイスです。クリアな声質な人よりもウィスパーな声質の人の方が“効く”と思いますので同じ悩みをお持ちの方がいたら是非有効活用してくださいまし。

神様は何を見てるの
の部分は分厚くするためにハモリを後ろから前に持ってくるイメージで歌いました。
何をあたりで助走をつけて“見てるの”で、表にドン!と出てくる感じのイメージです。
(分かりづらかったらすみません)

沈んでいく、のところも自分の声質を加味して最後わざと震えさせてみました。

雰囲気を損なわない、でも自分を活かすカバーをすることを念頭に置いて、たくさん工夫したつもりです。

是非本家様とボクのカバーを交互に聞いて
違いを楽しみつつ、この曲の素敵な世界観を味わって頂ければなと思います。

長くなりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。

紫宇くりぃむ
執筆 2022/08/09 18:35

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