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私立高校非常勤講師、出版社他|髙木勉さん(2)

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2020年10月29日(木)19:30~21:00
「しつもん×探究トーク」第3弾を開催しました。

高校の教師をしながら出版社を設立、いったん教師を離れさまざまな挑戦を経て、再び高校へ。とてもユニークなキャリアをお持ちの髙木勉さんをお迎えして、学校の内と外、それぞれの立ち位置から見えていた世界、様々なチャレンジの発端やそのプロセスで起きたこと。繋がりをつくり続ける髙木さんの活動をお聞きしました。

「しつもん×探究トーク」最新のお知らせは、しつもん財団ホームページをご覧ください。

<ゲスト講師> 髙木 勉氏
1993年、福井県生まれ。京都教育大学を卒業後、京都の私立高校の数学非常勤講師として就任。教育現場で働きながら、社会を学ぶためにウェブメディア『京都メディアスタジオ』を設立。インタビューを通し、様々な分野で活躍する方々に会う。これを機に「学校と社会をつなぐプロジェクトのプロデュース」「講演会の主催」「出版社設立」「オンラインサロンマネジメント」「ウェブ開発」など、教育の垣根を超え、活動中。
著書『Remember』 『学校を出よう世界を見よう』(tomorrowland books)
<対談者> しつもん財団理事 藤代圭一
教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力をはぐくむ「しつもんメンタルトレーニング」を考案、全国大会優勝チーム、アイスホッケーU14日本代表チーム、さらには地域で1勝を目指すキッズチームまで、数多くの実績を挙げている。現在はスポーツだけでなく、子どもの学力向上をめざす保護者や教育関係者に向けた講演・ワークショップをおこない、高い評価を得ている。著書に『しつもんで夢中をつくる!子どもの人生を変える好奇心の育て方』(旬報社)ほか。

「出会い」という体験を通して伝えたい

髙木:最初の挑戦をするときは、学校の先生になりたてで、外の世界ももっと見ないといけないなと思ったんです。自分が教えるならもっと知らないと。就職活動だけでは、まだまだということで「学校の先生をしながら何か会える方法はないか?できるなら、超一流に。」というすばらしい問いをしたんですよ。

藤代:笑。なるほどなぁ。

髙木:それで、なんかピンときたんですよ。「インタビューだ!」って思って。

藤代:なるほど。

髙木:インタビューだったら有名人に会えるって思ったんです。なので、インタビューをしてみたい。じゃあどうすればいい?っていうのを、グーグルとかで全部調べて。またホームページも必要じゃないですか。

藤代:はい。

髙木:ホームページの作り方も調べて。今もうすごい時代ですよね、ネット調べたら全部出てきますから。ホームページもお金めっちゃかかるかなと思ったら、無料で作れるホームページビルダーも僕の時代からあって。無料でできるんだ!と。ドメイン取得もそこまで高くない値段でできるんだということを知って、自分でやってみようというので、webメディアをやったんです。なので作った理由は、本当に有名人に会いたい。何かを伝えたいとかじゃなくて、有名人に会いたいからどうすれば会えるか?っていうところから始めて、webメディアを作りました。

藤代:今の話を聞くと、超一流と言われている、髙木さんが憧れている本物と言われる人たちに会うことによって、子どもたちに伝えられることが増えるんじゃないかとか、深みが出るんじゃないかっていう考えがあったということですよね?

髙木:ありましたし、自分が会いたいっていうのが一番なんですけど、この話を子どもたちにもするわけですよ。「この人に会ってきちゃった」って。子どもたちも、数学の授業はなかなか聞いてくれなかったんですけど、その話になった途端、目の色変えて聞いてくれたんです。

藤代:それは何が違うんですか?

髙木:何でしょうねぇ。僕が楽しく喋っているっていうのが、まずあるのと、

藤代:なるほど

髙木:やっぱ僕も高校生の時、そういう話知りたかったです。

藤代:うーん。なるほど。

髙木:だから、多分そういう話を聞きたかったんだろうと思います。
 
藤代:確かにそういわれると、先生の脱線話ってなんとなく覚えていることがありますよね。

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髙木:ありますね。

藤代:それが特に自分が知っている人の話しだったり、興味のあることだったりすると、その時の数学のことは覚えていないけれどその話を覚えているっていうのは確かにありますね。

髙木:ありますね。それが一番最初の挑戦でしたね。webメディア。

藤代:その時に、印象に残っていることって何かありますか?

髙木:インタビュー・・・直接会うことですかね。直接その方と触れ合うっていうのは、やっぱネットで聞く情報よりは、基本的に会いたい人に会いたいと思ったので。テレビでその方がインタビューしている映像が流れたんです。飲食店の方なんですけど。その方に話を聞きたいと思ったらもう、そのテレビの最中にメール打って、「見させていただきました!」って。後は、実績がないのでwebメディアも知り合いしか読んでない状態からのスタートだったんで、熱い思いしかないだろうって思って。映像で“すごい”って思ったんですけど、実際会って体感すると、言葉以上に自分の中にどんどん入ってくるっていうか。なので、人と直接会う、直接触れるっていうのは本当に大切だなぁと思います。

藤代:それはじゃあ、インターネットでもちろん情報も違うでしょうし、その人が出しているエネルギーとか、一緒に場にいると感じるものが全然違ったってことですか。

髙木:全然違いますね。会わなきゃダメだと思います。今本当にネットで、リアルより近くなってますけど、でもやっぱり直接会うのとでは、感じる情報が圧倒的に違うかなと思います。

藤代:そうですね。こうして今僕たちは見えていますけど、皆さんの顔が見えないのとは全然違いますし、確かに目と耳では会ってる感覚は共有できていますけど、香りとかそういうのは全然ないですもんね。

髙木:はい。

藤代:実際に自分が会いたい人に会うとか、行きたいところに行くとか、そういうことは結構大切にされているというか。

髙木:めちゃくちゃ大切にしてます。それでしかないかな、と思います。特に伝える仕事であり、教育者という立場なので、自分が聞いただけの情報をただ言っても伝わらないですね、やっぱり。何となくは伝わるかもしれないけど、心には響かない。どれだけ自分が体験してそれをそのまま伝えられるかっていうので、子どもたちへの伝わり方は本当に変わるんだなって思います。

藤代:なるほどなぁ。それ、道徳とか国語とかは何となくイメージするんですよ。授業とのリンクが。数学でも同じですか?

髙木:数学でも一緒ですね。

藤代:ええー。そうなんですね。数学の授業でどういった感じで紹介されているんですか?

髙木:数学の話し中はしないです。

藤代:うん。なるほど。

髙木:数学と結びつけるのは、数学と飲食店を結びつけるのもちょっと無理やりすぎるのもあるのと、学校の授業というのはカリキュラムがあるので、本当そこはある種問題点の1つかなとは思うんですけど、やっぱそれに追われちゃうんですよね。その中でもちょっとでも時間を作ったりとか、そういう話をしたい、みんなも聞きたいと思うんだったら、この授業集中しよう。

藤代:うん。うん。

髙木:50分かけてやるところを30分でできるんだったら残り20分をそういう話をすることができるので、それを伝えることによって逆に授業を集中してもらったりもしてます。

藤代:なるほど。

髙木:逆にそういうことできないクラスには、そういう話はできないです。

藤代:そうですよねー。やるべきことも決まっているっていう中で、先生がいつも全然違う話するんだけど・・・ってなると、なかなか大変ですよね。

髙木:あとは受験生。本当に大学受験のために勉強してますっていうクラスではそこまでしないですし、もともと担当は持たないようにお願いしています。

藤代:なるほど。おもしろいなぁ。外から眺める視点と、内側から眺める視点両方持っているっていうのが、髙木さんのある種すばらしい所だと思うんですが、それは頭だけじゃできないんですかね?例えば、中に居ながらでも外の感覚を持って中のことを眺めることもできそうな気がするんですけど。やっぱそれは難しいですか?

髙木:あ~無理だと思います。

藤代:限界があるって意味ですか?

髙木:無理だと思いますねぇ。地球にいながら地球がどうこうって、宇宙から見た視点は想像でしかないので。

藤代:まあ、確かに。

髙木:実際行ってみたら、「あれ?全く違うじゃん」になると思います。「思ったより違うぞ」って。それは出てみないとわからないですよね。想像はできますけど、想像だけだとやっぱり違いますよね、やっぱり。

藤代:ある程度までは俯瞰したり、メタ認知というかメタで見ることができるけど、実際自分の感覚を伴うとさらに異なる感覚が出てくることがあるんじゃないか?ってことですよね。

髙木:はい。体感しないと本当の意味の理解というか、もう1個深いところまでは自分で感じることができないと思います。同じ表現でも全然違うんじゃないかなと思います。

藤代:なるほどなぁ。皆さんもさっきやってみたいことっていうか、「週3日になったとしたらやってみたいこと」があったと思うので、ぜひ1回それをお試しでもいいのでやってみるといいかもしれないですね。いきなり2足の草鞋を履くのは難しいかもしれないけど「週末だけお弁当屋さんやってみよう」とか、「整体師さんの練習してみよう」とか。そういうのだけでも、ちょっと変わってくる感じがしますか?違う目線を持つという意味では。

髙木:全然違いますね。僕が一番思うのは、学校の先生とか自分の職業とは別で、趣味とかどんどんやった方がいいと思います。その趣味からの一番は人との「出会い」だと思います。僕の場合だと、メディアでインタビューした時に出会った人、そういう所でできた友達を学校に呼んで話してもらったりとか。そういうことは一歩外に行かないとできない。例えば助産師の方、僕の学校でも大学に看護の学部があって、そこに入りたい、看護師・助産師希望の人が多いんですね。それで、学生から「先生どうしたらいいですか?」って質問が来ても予想でしか話せないんですよ。そこで適当なことを言ってしまうより、リアルな人が話す方がいい。なので、リアルな出会いから友達になったら「ちょっと来て話してよ」ってお願いして、っていうことができる。僕の学校はそういう助産師の人の話を聞かせたいので、友達にぜひお願いしますっていうのはやったりします。

藤代:なるほど。なるほど。

髙木:外に出る一番の理由は「出会い」、これかなぁ?と思いますね。

藤代:知ることはできるけど、自分が実際、本当の意味で知ったりやったりするっていうのはなかなか難しい。

髙木:うん。僕が助産師のことを言葉にするには、助産師をやってみないとわからない。本当の人に助けてもらったらいいんだっていうことです。

藤代:なるほど、確かに。

『想像していた専業主婦生活と実際は全然違いました』

藤代:確かに!って、僕も想像しかないから何も言えないんですけど(笑)
髙木さんに質問が届いてます。

『専任教科でないとできない仕事がありますよね?担任とか。そういう仕事をしたいという思いはありませんか?』

髙木:そこが難しい所ですねー。担任の先生って1年間その子どもたちと。僕は授業なので週2回の2時間とか週3回の3時間しか関わらないんです。担任の先生になって、1年間毎日授業は別として、朝会ったりっていうのはやってみたいなと思うこともありますが・・・あります、ちょっとは。それに付随してくることが、僕はちょっと嫌だなって思う部分があるのと、あとは思ったことができなくなってしまう。学校の仕組み上っていうのもあるので。担任をやってみたいんですけど、他のこともやってみたい・やりたいという思いの方がちょっと強いですね。

藤代:なるほどなぁ。みなさんもどんなタイミングでも質問してください。すべて拾えるかどうかわからないですが。コメントもいただけたらとても嬉しいです。そうですよね。確かに1つの仕事を、子どもたちもそうだと思うんですけど1つの物事にずーっと興味関心を抱いて探究できる子もいれば、逆に、Aを探究して飽きて、次はBを探究して飽きて、Cっていう物を探究して、飽きて。っていう子もいるじゃないですか?でも全体的に見ると、次Dをやった時に、AもBもCも活きてるってことがありますよね。これって結構見極めるのは難しいですよね。髙木さんは、後者のタイプだと思うんですけど、1つのことをすべて探究しますっていうよりも、いろんな視点を持って、でも最終的には子どもたちに伝えたり、活かしたいというものがあるという感じですよね。

髙木:そうですね。子どもにも色んなタイプがいるから、自分が1つのことしか知らなかったら、教育者として、別のことが来た時に心からOKって言えないというか。例えばYoutuberになりたいという子どもがでた時に、僕の友達でもYoutuberがいるんです、仕事にしている。実際にその友達から話を聞いているかいないかで、本当の意味で応援できるかどうか?「Youtuberやめときなよ。本当は安定しないんでしょ?」とか、「稼ぐのはごく一部だよ」とか、私の想像よりも、友達作って色んなことを知ることによって「こういう人がいるよ。」って話をできるようにしたいなと思っているんですね。教育で。

自分の「軸」の見つけ方

藤代:なるほどなぁ。髙木さんのやりたいことがたくさんある中で、最後のベースは、教育に帰ってくる感じを僕は受けているんですけど。

髙木:そうなんですよ。僕結構色々やるタイプでめちゃくちゃブレるんですよ。ブレまくり。あっちこっち行っちゃうタイプなんですけど。メディア作ったり、出版したり、システム開発したりで、去年1年、学校から離れた時期もあったりとか。そういう時に、やっぱり同じ場所を通ってるんですよね。あっちいったりこっちいったりするけど、毎回なんかここを通るな。みたいな。ここだけ色が濃いぞ、みたいな。このライン。それが何かわからないんですけど、教育なんです。僕の中で。

藤代:へぇー。

髙木:軸は作らなきゃいけないって、自分で作る人もいると思うんですけど、僕の場合は色んなとこ歩いて行ったら、めちゃくちゃ濃いところがありますけど・・・みたいな。何となく教育っていうワードに戻ってくるなぁって。

藤代:なるほどなぁ。

髙木:これは、ブレることによって見つかったというのがあるんですよね。

藤代:そうですね。髙木さんの話を聞いて思ったんですが、自分を知るって、外に行かないとわからないこと多いじゃないですか。僕は日本にずっと住んでいて、日本の良さを知ったのって海外へ行った時で。「日本ってめちゃくちゃ清潔じゃん」とか「みんな優しかったんだなー」とか「料理美味しいし、高い所も安い所もあって、めっちゃいいじゃん」とか。自分のその場所ってそこにいるとわかんなくなっちゃうことがあるから、髙木さんは意識してか、意識していないかはわからないですが、外に行ってみて、行ったり来たりしながら「やっぱここ大事にしたい」ということが見つかってきた。

髙木:ああ。そうですね。出るからこそわかりますね。

藤代:なるほどなぁ、そうかー。「外から見る」が大きな意味ではなく、学校の先生を辞めなくちゃいけないとか、半分辞めるとかそういうことじゃなく、ちょっと外から眺めるきっかけがあると、内側のことを違う目線で見られるようになるって感じですかね。

髙木:はい。ちょっとでいいんですけど。やっぱ一番やりやすいのは好きなことをすることだと思います。

藤代:自分がってことですか?

髙木:自分が。趣味でもいいです。すきま時間にサーフィンが好きだったらサーフィンに行ってみる。そこで何かあるかわからないですけど何かあるかもしれない。そこでの出会いでいっぱい変わるかもしれない。やっぱ出会いだなと思うので。誰かと出会ったらまた新しい視点が入る。どうすればいいかわからない、時間がないんだったら、すきま時間に好きなことをやってみようっていうのは、ひとつ伝えてますね。

藤代:子どもたちに言っているということですか?

髙木:子どもたちにもそうですし、先生同でも「どうしよう?」っていう話があったりとか。自分だったら好きなことやってみる。

藤代:なるほどー。結局、柱は教育だったみたいなところが僕はすごく興味深くて。なぜそこなのか知りたいなと思うんですけど。でもそれってみんなあるじゃないですか?そこに対する思いって。「今の仕事に対する思い」ありますよね?誰でもね。そこをちょっと聞いてみたいなーって思ったので皆さんに「しつもん」しますね。髙木さんにも聞きますから、ちょっと待ってくださいね。

髙木:わかりました。

藤代:しつもんとしては、、そうだなぁ。仕事という言い方になってしまうのですが、
「なぜ、今の仕事を選んでいますか?」にしようかな。

その答えを、コメント欄で教えていただければと思います。
髙木さんの場合は、仕事というか「軸」って言い方の方がいいのかもしれないし、その「色が濃い場所」っていう意味になると思うので。仕事に限定しなくてもいいんですけど、自分の中で色濃いそこを選んでいる理由があるとすれば何なのか?ということを聞いてみたいです。コメントお待ちしてます。

髙木:わぁ、すごい。「ブラックプレジデント」の名言を調べてくださった方がいます!

『お前らの将来はどうせボールペンだ。文字を書くためだけの道具でインクがなくなったら捨てられる。お前らにこいつ以上の付加価値があるか。お前たちにいったいいくらの値がつくか考えてみることだな。』

髙木:あーしびれるー

2人:あはははは

藤代:厳しい系の方がしびれる方もいますよね、グサッとくる!

髙木:ブラック企業を最高!と思いました。

2人:あはははは

『いい先生に出会えたから恩返しをしたかった』
『私も色々と好奇心にまかせて動いてブレまくるのですが、濃い部分は自然と気が付いてくるんですか?それとも意識的に自分にとって何が柱か問いかけていましたか?だとしたら、どんな問いをされていましたか?』

髙木:問いがあったか?ということですか?「教育」ってわかるための。

藤代:うん、ブレてるなぁって思いつつも「この軸」っていうか「芯」を探すような問いをしていたのですか?という質問です。

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髙木:実はいっつもやってるんですね、問い。僕がお世話になっている方がやっているんですね。高橋歩さん。世界中でバーや飲食店をやったり、出版社をやったりしている方がいつも自分に問うているメモ帳があると。これはWordとか、僕だったらPagesなんですけど。誰にも見られない鍵をかけたメモ帳で、そこで自分に質問をしていると。「最近どう?」「何か嫌なことあった?」とか質問をしているっていうのを聞いて、僕はもうやってみたい!と思って。そのメモの名前が「A‘s(えーず)メモ」って聞いたんですね。それで僕も「T’sメモ」って呼んでいて。

藤代:あはは。つとむ‘sメモですね。

髙木:そこで「最近どう?」って聞いたりとか「教育で何がしたいの?」「どんな先生になりたいの?」っていうのは、自分で意識的に聞くようにしてました。このメモを作る前も白い紙に書いたりっていうのは、先生になる前から、ずっとやっていましたね。

藤代:自分で「しつもん」を作って、自分で答えるっていうメモ帳があるんですね。

髙木:あります。

藤代:おもしろい。

髙木:これ、毎回同じことを聞くんですよ。「最近どう?」とか「教育、どうだったら最高?」みたいな感じで聞くんですが、毎回同じになるんですよやっぱり。メモ帳の3分の1くらい同じこと書いてるんですよ。

藤代:笑。

髙木:同じしつもんに答えて「やっぱそれか!」「これだなぁ」「いいこと言ってる俺!」みたいな感じで、「じゃあやろう!」って、ずっと続いていましたね。僕のメモ帳は、本当にメモというか、ずっと同じことを書いているんです。

『小さいころから母親のもみほぐしをするのが好きだったことを思い出し、今の仕事を選んでる』
『人の命にかかわる大切なお仕事を陰でサポートできることを誇りに感じている』
『尊敬する人の紹介で。その人の期待に応えたい。最近ブレてますが』
『国語が好きだから、国語の教員になりました』
『勤務している方の仕事は、やりたいことを続けられる条件がある』
『子どもたちのためにも、子育てしながら地域に貢献したいと思い、今の仕事を選んでいる』
『仕事で人生の大きな出来事に関わることができるので、キャリアコンサルタントをしている』

藤代: みなさん、すごい。今の仕事を選んだ理由というのがやっぱりありますね

『家族のために、ということですかね』
『障害者の就労支援から、学校の先生になりました。ものすごく疲弊してしまい家のことも仕事のこともボロボロになった時、友達に声をかけてもらいました』
『転職するとき、必ず自分に「今の私幸せ?楽しい?迷いない?」と聞くようにしています』
『自分が成長でき、幸せを感じられる場所だから』

藤代:なるほどなー。さっきのメモの話しでは「最近どう?」ってしつもんは、色んな答えが返ってくるじゃないですか。「ちょっと疲れてるかなー」とか「最高に楽しいよー」とか「ちょっと最近悔しいことがあって」とか。そこから「じゃあ、お前はどうしたい?」ってことを、メモに聞いてるってことですよね。

髙木:聞いてますね。最終的にそこにたどり着きます。どんどんリアルになっていくというか。「最近どう?」って聞いて「ちょっとわからない」ってなって、「なんでわからないの?」って聞く。どんどん聞くといつのまにか具体的になっていって、よくわからなかった「どう?」が、最終的に「じゃあこうしよう」っていう行動にまで移せるようなメモにしたいですね、最終的には。まぁ、ならなくてもいいと思うんですけど、その答えがシンプルになるまで。しつもんもそうだと思うんですけど、ふわふわし過ぎると無理じゃないですか。何を答えていいかわからない。よりシンプルで分かりやすいしつもんの方が答えやすかったりすると思うんですけど、自分の答えもシンプルになるまでやっていく。例えば、学校の子どもたちにも「自分がこうすればいいんだ」っていう、1つの答えにたどり着くまで聞いたりとか。

藤代:そうですね、本当に僕たちも意識してやってることの1つに"どういうしつもんをするか?"ということを大切にしていて。髙木さんがおっしゃってましたけど、例えばそうだな。僕は光だと思ってるんですね、しつもんて。"どこを照らすか?"ということだと思ってて、それはどこの箇所をっていうのもそうだと思うんですけど、光ってぼんやりとした光もあるじゃないですか?全体をぼんやりと照らす光もあれば、間接的にそこだけを光らすこともあれば、レーザーポイントのように1つの場所だけ遠くまで届く光もありますよね?

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髙木:なるほど。

藤代:その光をどこに当てるか?ってことを意識してしつもんするっていうのがあって。最初からレーザーポイントのしつもんてキツかったりするじゃないですか?子どもから見ると。例えば「お前はどうやって生きていきたいんだ?」っていうことをいきなり言われたら、ちょっと避けたいですよね、レーザーポイントは。

髙木:なるほど!

藤代:そうすると、じゃあ、「最近どお?」ってぼんやりと聞かれた方が、例えば「楽しいよー」、「何が楽しいの?」ってなってった時に「サッカーやってて楽しいんだよね」「将来どうなりたいの?」って、だんだんだんだん光の照らすポイントが明確になってくると。もちろん関係性が最初からあればズバンと行けるんですけど、なかなかね、びっくりされちゃいますよね。ビジネスで初対面の人に会った時に「将来の夢なんですか?」って聞かれたらびっくりしちゃうし。笑。

髙木:すごい!深いなーしつもん。すごいですね。

藤代:ありますよね。いいしつもんて難しいですよね。髙木さんにとって良いしつもんでも、僕にとっても良いしつもんでも、ここにCさんがいて、Cさんにとったらあんまり良くないしつもんっていうのもありえるじゃないですか、人によって変わるっていうのが難しいですよね。

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