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京都市立桂川小学校教頭|鎌田賢二さん(1)

2021年3月20日(土)20:00〜21:30
鎌田賢二さんをゲスト講師にお迎えして、「しつもん×探究トーク」第8弾を開催しました。道徳を専門とされている小学校の教頭先生です。3月3日に東洋館出版社から「教えない指導」を出版されたタイミング。(出版後1日で重版!)この対談の聞き手をつとめる、財団理事の藤代圭一との共著です。

教えない指導(東洋館出版社)

教えないとは、もちろん、教えることを否定するものではありません。
「教えない指導=引き出す指導」
その背景にある秘訣をたっぷりとお聴きしました。

<ゲスト講師> 鎌田賢二さん
京都市立桂川小学校教頭
道徳教育を専門として、京都市小学校道徳教育研究会で「子どもが本来もっているものを引き出す」ための指導技術や教師のあり方を研究。平成27年度文部科学省道徳指導資料作成委員や他にも、小学校光村道徳教科用図書「きみがいちばんひかるとき」編集委員をしている。大学などでの講演、他小学校への道徳指導・助言、家庭教育学級など行っている。

<対談者>しつもん財団理事 藤代圭一
教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力をはぐくむ「しつもんメンタルトレーニング」を考案、全国大会優勝チーム、アイスホッケーU14日本代表チーム、さらには地域で1勝を目指すキッズチームまで、数多くの実績を挙げている。現在はスポーツだけでなく、子どもの学力向上をめざす保護者や教育関係者に向けた講演・ワークショップをおこない、高い評価を得ている。著書に『しつもんで夢中をつくる!子どもの人生を変える好奇心の育て方』(旬報社)ほか。

はじめに


藤代:お忙しい中、ご視聴いただきありがとうございます。藤代圭一と申します。ふだんは特にスポーツや教育現場でしつもんをするという仕事をさせていただいてまして、しつもん財団の中では「しつもん×探究トーク」ということで、毎月、ファシリテートさせていただいております。

なぜこういう機会をつくっているのか?について簡単にお話しますと、一昨年前までは、学校の先生を対象に全国各地で「発問力」や「しつもん力」を高める研修会を年に一回、夏休みの時期に開催しておりました。もう5~6年やっているんですけども、去年コロナ禍ということもあり、なかなかみんなで集まれないということで、どんなことが自分たちにできるかな?とメンバーみんなと話し合ったところ、実際に「探究」だったり「しつもん」を活かして学校づくりをしていたり、学級づくりをしていたり、子どもたちと関わっていらっしゃる方々にインタビューさせていただこうと。

その話を聞いてくださっている方へのヒントとか、明日からの実践に生かせるものがお届けできたらなと思っております。一昨年前までは会場の制限もあるので学校の先生だけを対象としていたんですけども、オンライン開催となり制限が外れましたので、学校の先生に限らずいろんな方にご覧いただけるようにしております。

皆さん、どちらからご覧いただいているかコメントいただきありがとうございます。ぜひ途中でも気づいたこととか感じたことはメモがわりでも構いませんのでメッセージ・コメントいただけると嬉しいです。

ということで、今回はですね、京都の小学校の先生でもあり、道徳のプロとして様々な道徳活動をされている鎌田(かまだ)先生をお迎えしております。よろしくお願いします。

鎌田:よろしくお願いします。

藤代:では簡単に自己紹介していただいてもいいですか?

鎌田:はい、スライドを使わせてもらってもいいですか?

藤代:はい、ありがとうございます。

鎌田:では京都なので、京都っぽい風呂敷からスタートさせていただきます。鎌田(かまだ)と申します。昭和50年の6月10日の6時10分生まれです。兵庫県伊丹市出身で、その当時は父と母と兄と4人家族でした。小学校2年生でサッカーの面白さを知って、小3の時にですね給食をぬかれそうになったことで宿題の大切さを知るというそんなこともありました。中学3年生の時に生徒会長として貴重な経験をさせてもらいました。小中高でサッカーのキャプテンをして仲間の大切さを知り、どちらかというと私は学校教育で運と幸せをつかんできた方かなと思っていて、今は恩返しというかそんな感じでやってます。現在は妻と息子と娘との4人家族です。

母親は、家1軒デコレーションみたいな感じになってますけども、人に喜んでもらうことが好きな母親です。父親の方は、これ油絵なんですけど、自分を高めることが好きな側面があるかなと思います。非常にひょうきんなところもある父親です。まぁそんな中で生まれました。今が幸せであるというのが前提だったと思うんですけども、親は苦労話をよく言ってました。

こんな時大変やったでーとか。それでも今が幸せであるということだったので僕も『大人っていいな』って思いながら育った方かなと思ってます。「いつまでもあると思うな親と金と。ないと思うな運と災難」ということを言われて育ちました。

今は、ふじしーと一緒にしつもんメンタルトレーニングのインストラクター・トレーナーをさせてもらってたりとか、あとは日本スポーツクラブ協会のスーパーマスターインストラクターというのがあります。また学校関係の方では光村図書の小学校の道徳の編集委員をさせてもらってます。あとは道徳の研究会の方と小学校の教頭をさせていただいてます。長くなりましたがこんなところです。

藤代:ありがとうございます。今回は特に小学校の中で、さらに道徳の分野において活動されている『しつもんと探究』を実践されている鎌田先生にお越しいただいております。

皆さんにはメールでもご案内させていただきましたが、僕たち今回3月の3日にですね『教えない指導』という本を書かせていただきまして、東洋館出版から共著で出させていただいています。しつもんをどのように活用しているか?とか、それをどのように探究、どのように活かしていくかという僕たちなりに実践していることをお伝えしているので、書店に足を運んだ際とかご覧いただけたら嬉しいです。

今日は、みなさんがずっと聞き続けるものではなくて、できるだけインタラクティブに双方向性をもってトークイベントをしていきたいなと思っていますので、これからする「しつもん」の答えをコメント欄で教えていただければと思います。

しつもんに答える時のルールというものが3つあります。子どもたちと一緒にやる時も同じなんですけども、1つめは『しつもんの答えは全て正解』というルールです。2つめが『しつもんの答えが分からないも正解』、そして3つめが『他の人の答えをそうだよねと受けとめる』です。

それを踏まえた上で
「この時間が終わった時にどうなっていたら最高ですか?」

みなさん貴重な時間をさいてですね、この動画に向き合っていただいていると思うんですけども、この時間が終わった時にどうなっていたら「いやー参加して良かったな」と思えるでしょうか?こんなことが分かったらいいなとか、こんな気持ちになったらいいなとか、こんなことを感じられたらいいなとか、何でも構いませんのでメッセージで教えていただければと思います。それでは、どうぞ!

お、台湾から参加!ありがとうございます。東京から福島から。地震大丈夫でしたかね?千葉県から京都市から、神奈川県から散歩しながら。ありがとうございます。ぜひ皆さん、しつもんの答えを教えてください。

鎌ちゃん先生はどうですか?
この時間が終わった時になんかこうなってたら最高だなーってありますか?

鎌田:そうですね、また新たな視点を、僕が何か伝えるというよりもいただけるというか、新たな視点でこんなことができたらいいなという希望がいっぱいの明日が迎えられたらいいなと思います。

藤代:いいですね。あ、皆さん、ありがとうございます。

・月曜日の出勤が楽しみになったら最高です
・道徳の時間としつもんの関係に新たな気づきが得られたら最高です
・探究の真の意味が分かり、スッキリと思えたら最高
・明日の読書会への期待が高まっていたら最高
・道徳についての新しい発見があるといいな
・鎌田先生の素晴らしさが伝われば最高
・新たな気づきが生まれる時間になれば最高です
・しつもんの素晴らしさが分かれば最高です
・学校現場で活かせるものが得られたら最高
・子どもたちへの接し方が変わって、子どもたちが主体的に楽しく過ごせるようになったら最高です
・子どもの気持ちがその子どもの言葉として引き出せるようなしつもんがつくれるようになりたい
・みんなと共有するワクワク感を感じられたらいいなと思います
・道徳の授業をもう一度受けたいと思えたらいいなぁ

すごい!たくさんのコメントをいただきありがとうございます。

今日も途中でこうやってしつもんさせていただきますので、答えを教えていただければと思いますし、何も関係ない文脈でもコメントやメッセージ、しつもんをいただければできる限り、お答えしたいなと思いますので是非しつもんなどもお寄せください。

最初の試練

ということで、どこから話していこう・・・
そもそもじゃあ、鎌ちゃん先生がなぜ先生になったのか?ということを聞いてもいいですか?

鎌田:なるほど。笑。そうきましたか。

藤代:最初から台本に無いことを聞きましたけど。

鎌田:そうですね。僕は元々、中学校とか高校のサッカーの監督というかコーチをしたかったんですよね。要するに中高の体育の先生になったら思いっきりサッカーができるので、全国とかを目指してやっていきたいなみたいな時期はあったんです。

そして大学に行って教育実習で小学校に行きまして、その時にすごいね、小学生の子どもたちが目をキラキラ輝かせて将来について語ったりとか楽しんだりしてる中で「あれ?自分は夢を描いてたはずなのに忘れてたな」「サッカーを思いっきりやりたいと思ってた夢を忘れてたな」と思うことがあって、そこから、ひょっとして子どもたちと接して頑張っていく中で新たな夢が見つかるんじゃないか?自分を常に高められる場所が小学校じゃないかな?と思って、今に至りますね。

藤代:へぇー、じゃあ最初は希望してたキャリアじゃなかったんだけど、目の前にいる子どもたちの目の輝きを見た時に、あ、こっちで何かをしていきたいっていう気持ちが芽生えてきたということですか。

鎌田:はい、そうですね。

藤代:で、すんなり先生になられたんですか?

鎌田:そうですね、講師して、大学の時はバイトもいっぱいしてたので、母親もまぁ、教師になるんやったら同じ仕事をずっとすることになるから色んな仕事をしといた方がええんちゃうか?みたいな話になって。それで色んなバイトをしつつ、講師で京都市の方で入れていただいたというのがあって、その縁があって京都市で採用という。

藤代:もう何年位なんですか?

鎌田:もう20年ですね。

藤代:すごい!20年の中で、すごい印象に残っていること、どちらかというと困難だったこととか、すごい大きな壁だったこととか、何か覚えてることありますか?

鎌田:そうですね、おっきな壁というか、僕はどっちかというと最初にいきなり試練というか、、自分自身、どっちかというといい加減なところもあるので。仕事として教師になるというのと、思い描いていた甘さというのと、いきなり1番最初に教えていただいたというか。

藤代:え、何があったんですか?それは。

鎌田:僕は2年生からスタートしたんですけど、その前の先生がすごく丁寧に子どものことを見れる先生で、褒めるのも上手やし、叱るのも上手やし、子どもたちがその先生を崇拝する位の方だったんですよね。その方が別の場所に移動して僕が講師として赴任したんです。当然子どもたち、僕も分からないので言葉も伝わりにくいし、難しい言葉をどうしても使ってたので、んでもう「褒めてくれあらへん!」とかっていうのもパーッと出てきて、保護者の方からも「先生ちょっと大丈夫ですか?」みたいな、ずっーとこう「先生いつ辞められるんですか?」くらいの勢いで。言わないですよ、そんなこと言わないですけど、でもそのくらいの勢いで話もあったような状況だったんですけど。

藤代:そうか、そういう意味では僕はそういうこと考えたことなかったですけど、すーごい個性がありユニークで慕われている次の先生ってプレッシャーめちゃめちゃでかいんですね。

鎌田:そういうことですね、僕はそれすらも分かってなかったので、もうその先生に電話して「先生、どうやってやってるんですかね?」って。笑。子どもたちは勝手に言ったらできるようにしてあるから大丈夫だっていう話になるんですよ。

藤代:あははは

鎌田:それがさっぱり分からなくて。。どうしようかな?っていう感じで、まぁ、保護者の方にも初めて先生になられたのでって、今はそういうことさえも言ってもらえないところもありますけども、言っていただいたので、例えば「宿題こんなふうに前の先生は見てましたよ」という話とか、

藤代:すごい!保護者の方が教えてくれるんですね。

鎌田:そうなんですよ、参観が終わった懇談会では研究会みたいになって。「先生あそこはこういう風に言ってあげた方が子どもはノリますよ」みたいな、すごいなぁと思って「いやいや、ありがとうございますー!」という感じで、同僚に教えていただいたというより保護者の方に。

藤代:それって、もう僕すごいなと思うんですけど、僕は最初のキャリアとしてサッカーのコーチになって、保護者の方からの目線って毎日あるんですよ。毎日授業参観みたいなサッカースクールだったんです。で、やっぱ、サッカーの指導についてジャッジされたくないなと思ってたんですよ。お父さんお母さん方より僕の方が知ってて、だから余計なこと言わないでくださいと。余計なこと言おうもんなら、申し訳ないですけど、あのお父さん分かってないっすよねって愚痴をスクール内のコーチの方に言って、できるだけしゃべらないようにしてもらいましようっていうようなアクションを取ってたんですけど、、鎌ちゃん先生はそうじゃなくて、最初から「いやー自分はできないんですよー」ということをオープンにして、意見を受け入れていたということですよね?

鎌田:「できないんですよ」とはさすがにね、そこはオープンにすることはできなかったですけど、やっぱりそうやって教えていただいたり、何よりも子どもの反応が変わってきたので、最初は「嫌い」ぐらいの感じになっていくじゃないですか、やっぱり。褒めれないというかどう認めてあげたらいいのか分からないというか、2年生ってできないもんなんやって、できないことを探し出したので、そこで「いや、実はこんなふうにできてましたよ」とかっていうのを聞いた時に、親の意見に耳を傾けざるを得なかったなという。プライド以前の問題やったんじゃないですかね。笑。まだまだそんな力がない状態だったので。それがかえって良かったのかなーって。自分の方がもっと教師として子どもの指導なんか分かってるみたいになってたとしたら、今の自分は無かったかなと思いますね。

藤代:そういう時期は逆になかったんですか?僕の方が知ってますよ、ちょっと黙っといてくださいとか。

鎌田:黙っといてくださいというのは無かった、無いというか、例えば診断名がついた子どもたちに対して、ある程度手立てはたくさんあるんですけど、もちろんそれは個別のその子にしか打てない手立てというのもたくさんあるんですね。でも担任としては30人以上見てる訳で、その子だけにかけられる時間というのはそんなにたくさんというのは難しいんですけども。。その話の中で、あれもこれも全部やってくださいってなった時には「ちょっと待ってください」と。僕もできる限りのことはしてますけど「ここはできません」というのは言うといてあげないと。

藤代:なるほど。

鎌田:そういう意味での「ちょっと待った」というのはありましたけど。できないというのはあんまり言いたくなかったので、自分自身としては。できる限りのことはやってあげたい、、ん?やってあげたい??それも違うな、、やってね、子どもの成長に繋がったら自分が嬉しくなるので結局。子どもの成長で子どもの笑顔とか親のありがとうございますって言ってくれるのとか自分の中で次の活力となる循環がずっとあったので、まぁ、あんまり言われて制するようなことはしていないですね。

ポジティブな面を引き出す保護者との関わり

藤代:今日ね、一応大枠の流れは決めてたつもりだったんですけど、のっけから全然違う方向に行っていて、そっちに僕は身を委ねようかなと決めているんですけど、、

当時の保護者の皆さんが、もちろん今は全部がそうだとは言わないんですけど、先生を責めるだけじゃなくて一緒に子どもを育てていこうというような気概があったんじゃないか?というコメントもいただいていて。

本来、あんまり海外がどうこうって言いたくはないですけど、海外どこに視察に行っても、子どもたちは地域で育てるものだから、先生が伸ばせる部分もあるけれど、お父さんお母さんが伸ばせる部分もあって、第三者のおじさん、おばあちゃん、おじいちゃんが関わって伸ばせる部分もあると。地域で育てていくことって大事だよねっていうのは僕も共感しているんですよね。ただ一方で今、先生の皆さんて、それがしずらい環境かなというのももちろん理解していて、その中で鎌ちゃん先生が保護者の皆さんと子どもを一緒に育てたいなぁという視点から、保護者の皆さんと関わっていたこととか、大切にしていることとか何かありますか?

鎌田:『保護者の方と一緒に』というよりも、学校の役割って『学校で子どもたちがどんだけ力を付けられるか・引き出せるか』ですね、僕の場合は。と思っているので、保護者の方は子育ての部分でも悩まれていることはあると思いますし、ポイントになると言ったらあれですけど、学校の先生はそうでもなくても、保護者の方は、子育てがうまくいってることを学校の先生にほめられるという経験がまず無いんですよね。

藤代:あ、なるほど。

鎌田:悪いことをした時に連絡がくるんですよ。

藤代:確かに!

鎌田:悪いことした時はすぐ電話かかってきて、保護者の方もどちらかというとかかってきたら悪いことを言われるんじゃないかとビクビクされている方も結構いらっしゃったんです。

藤代:確かに。学校から電話かかってきたら何事かって、ケガしたか悪いことしたか。

鎌田:やっぱりそういうふうになってしまうところがあるので、そこら辺は僕は逆で「こんな楽しいことありましたよー」とか、出会った瞬間から、「実はねーこの問題の時にすごくいい発言してたんですよ」とかね、「うちの子そんなんする訳ない」って言われるんですけど、「いやいや、家ではそうですやん!」とかいう話をして、「でも学校でその姿を僕は見てますもん」ってなると、「いや、そんなの信じられないですわ」みたいな感じで言ってるんですけど、「でもね、家でたぶんワーッ!ってなってる分、学校で頑張ってますしね」って言うと、保護者の方は結構喜ばれるんですね。「ちょっとシンドいけど、家で散々わがまま言ってるけど、なんとかしたろ」って持ち帰ってくれたりとか。そんなんはありましたね。

どっちかというと悪いことはあんまり言わないというか、無いので。もっともっと、こういう部分良かったですよーという話とか、懇談会ではもちろん、よくふじしーも言ってますけど、子どもたちにこういうふうに聞いてあげてくださいねーという話では、「何かあったん?」って聞かないでくださいねーと。「何かあったんやろ?」って聞くと不愉快なことしか探せないんですよね、子どもたちは。だから「今日いいこと何があったのー?」とかっていうような、いいことって言うのは挟んでおいてくださいって言いますね。それでも「ないわ」って言うときもあるけども、いやいや一緒に考えたらいいやん!っていう話をしないと。結局、親って子どもの発信でしか情報を得られないんですよね、学校教育の。

藤代:そうですよね、そう言われてみたらそうですね。学校の中にいることに関してってことですよね?

鎌田:そうなんですよ、まぁホームページ上見れることっていうのも表面的なことだけなのでね。やっぱり子どもの発言で心配したりとか、嬉しくなったりとかすることが多いので、その時に保護者も聞き方を間違えたら、、例えば、「今日なにがあったん?なんかあったん??」って言われて「いや別に~」って、「何かあったはずでしょ!?」って、そういう感じでずーっと言うと、「そういえば落ちた消しゴム友達に蹴られたわ」っていう話になって、「あんたそれ、いじめちゃうの!?」っていう話になったりとか。笑。そういうふうになっていくと、大変なことになりますよってよく言ってましたね。

藤代:へぇ。さっきのその、わざわざ電話はしないですよね、たまたま学校にいらっしゃった時とか、たまたま出会った時に、「実はね、、」ってその子の成長だったり、良かったことだったり、うまくいってることをお伝えすると関係性がよくなってきて、お母さんたちも子どもたちのポジティブな部分に目を向けられるようになったんじゃないか?っていうことですよね。

鎌田:そうですね。それとか、あとはもう、「お母さん、どうやってこんなふうに育ってるんですか?」みたいな話をすると、「そんなこと考えたことないですわ」って言われて。笑。でも立派ですやん!めちゃめちゃいい子ですやん!っていう話になると。

藤代:じゃあ、みなさんにも聞いてみましょうかね。あなたが、今ご覧いただいているあなたが、今日よかったことは何がありましたか。
「今日1日を振り返ってみて、今日よかったことは何がありましたか?」

コメント欄で教えてください。ご自身のことですね。子どもがどうだったーとかではなくて、ご自身の答えを考えてみてください。悪いことしたときの連絡はどうするんですか?というしつもんが来てますけど。笑。

鎌田:悪いことをした時の連絡ですか?悪いことしたらしたらしたで言いますけどね、割合を変えるということですよね。

藤代:そうですよね、今まで10:0だったのを5:5ないし、変えていくってことですよね。

鎌田:ガラス割ったりとかね、することもありますからね。喧嘩もありますしね、もちろん。

藤代:よかったこと、何がありましたでしょうか?どんな些細なことでも。

・桜の花と一緒に写真が撮れました
・餃子が上手に焼けました
・ゆるされる朝寝坊をしました
・発熱をしたがPCR検査をしたら陰性だった
・必要とされていると実感できたこと
・子どもが水球の選手でネットで試合を応援できたこと
・久しぶりに吹奏楽の練習に参加したこと
・公園で子どもたちとゴミ拾いをしてそのあと美味しいお弁当を食べたこと
・昨日は体調が悪くご飯も食べられなかったが、今日はこれに参加できたことです
・前髪を切って視界がひらけたこと
・今更ですが何とカッターの使い方を学びました
・たまたま行ったお店で満開の桜が見れた

ということで、よかったことを見つけようと思えば、要は意識すれば、1日の中でもたくさんあって、ただ僕たちは無意識でいると、うまくいったこと・良かったことよりも、うまくいっていないこと・良くないこと・悪いことに目が向いてしまうから、意識的に向けられたらいいですよね。

なんか僕もこれ、すごく印象的で、昔、本にも書いた気がするんですけど。僕はもともとサッカーのコーチをしていた中で、スペインの指導者の方は子どもたちを育成するのがとっても上手だと言われていて、スペインに見に行ったこともあるし、来日されたこともあるんですよね。それを見に行って、すごいな!と思った瞬間があるんですよ。それが、僕たちスポーツのコーチってうまくいかない時に笛を吹くんですよ、ピピッ!て。で、「今なんでそのプレイしたの?そうじゃなくてこういうプレイした方がいいよね?じゃあもう1回やってみよう」って言うのが標準、普通だと思うんです。僕もそう教えてもらったんですよ。でもスペインのコーチたちは真逆で、笛を吹くのはうまく行った時だけなんですよね。

鎌田:おーーー!!

藤代:良いプレイをしたときに笛を吹いて、「どうして君はその選択をしたの?」って聞くんですよ。その子は嬉しいですよねまず、良かったプレイを取り上げてもらったこと。で、その理由もみんなの前で発表できて承認された気持ちになる。で、これもすごいなと思ったんですけど、良くないことを指摘する時って、一応僕も笛吹いて、大きい声で言って、他の周りの選手たちにも聞こえるように言うんですよね。同じようなプレイしないでねっていう意図で。でも大抵聞いてないんですよ、周りの選手は。「あいつまた怒られてるよ」とか「また注意されてるよ、プレイ止めるなよ」っていう感じですよ。でも一方で、よかった時の指摘は、みんな聞いてるんですよ。褒めることだけが全て良いことじゃないんですけど、褒められたいという欲求は子どもたちあるんですよね。そうすると、いいプレイ、「僕もあーいうプレイをすると褒めてもらえるかもしれない」というのが働いて、みんな聴く姿勢ができるんですよね。これは僕にとっては大発見で、すぐ変えました。今まで怒る時しか笛吹いてなかったから、子どもたちが戸惑っちゃって、最初大変だったけど。笑。

鎌田:それはそうですよねぇ~。笑。

藤代:保護者の方との関係性は、そういった接点をもって徐々に徐々に、お子さんの成長だったり、良いところをフィードバックしていくというのが意識してたポイントですかね?

鎌田:そうですね、もうかなり、というか、それが自然にできるようにしてましたね。良いことを話そうと思うと、良いこと探しを絶対にしないといけない・・絶対にしないといけないというのは変ですけど、まぁまぁ、シフトしていくので、無理なくやっていけるのかなという感じはあります。

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