これを20分にするで。ほんまにのう!
転校生の小牧は野うさぎに接触する。放課後に楽屋裏にきて。そこで頼まれる。セーラープリンスと友達なんだってね。わたしはセーラーア・バオア・クー。彼を追ってここへ来た。彼はひとりでセーラーワルプルギスの夜と戦おうとしている。セーラー戦士になって、そのときの契約条件で彼を助けてほしいの。わたしはすでに条件を使ってしまったから。おねがい。あなたの契約条件でセーラープリンスを元の加瀬しおりに戻してあげて。
セーラーワルプルギスの夜とは魔法少女でも魔女でもなく、魔法少女も魔女も見境なく殺している謎のセーラー戦士である。
わかった。契約する。と野うさぎは魔法少女セーラームーンになる。ところが契約条件をプリンスのために使わない。小牧は怒る。どうして!?
だって彼は自分で戦おうとしている。それを邪魔しようとは思わない。わたしもいっしょにセーラーワルプルギスの夜と戦う。わたしの契約条件は、あとに取っておく。それでもいい?
いいですよ。ただし30日間です。それ以降は契約条件は無効になる。なおクーリングオフもできないし、魔法少女をやめたいというのもなしです。
プリンスは人知れず魔物と戦っている。だがセーラーワルプルギスを探せば、いずれまためぐりあう。
野うさぎは魔法少女になって、さまざまなライブに出て魔物と戦う。そしてブリーフケースに輝きがたまる。だがすぐに創作に必要なエネルギーに使ってしまう。観客の歓声で潤っても、さらなる歓声を得るためにエネルギーが必要でブリーフケースがどんどん黒く染まっていく。創作に必要なエネルギーに歓声がまにあわないのだ。だんだん歓声のためにやっているのか、ブリーフケースを黒く染めないためにやっているのかわからなくなってゆく野うさぎ。
そんなある日。セーラーワルプルギスの夜が出るというライブハウスの噂を聞く。そこへ向かうセーラームーン。そこにはセーラーア・バオア・クーもきている。そしてセーラープリンスがくる。
どうしてセーラー戦士になったんだ。君は今夜、魔法少女の真実を知ることになる。
セーラーワルプルギスの夜は悪魔だ。悪魔のいちばん厄介なところはね、嘘をつかないところなんだ。真実を目の当たりにしたとき、君はほんとうに魔法少女のままでいれるのか。
小牧も言う。あなたはあんなに観客のために歌っていたのに、ある日からステージに立たなくなってしまった。セーラーワルプルギスの夜に何を言われたの?
魔法少女の真実さ。来るぞ!
セーラーワルプルギスの夜があちこちのライブハウスをぶっ潰しながらやってくる。北海道ローグ、神戸一番星食堂、福岡ジジ、高円寺無力無禅師、阿佐ヶ谷ドラム。ぼかーん!
プリンスもア・バオア・クーも一撃で吹っ飛ぶ。
そしてセーラームーンはワルプルギスの夜の声を聞く。魔王はなぜ魔王になったのか。ダンジョンはなぜダンジョンになったのか。おまえはセーラームーンにあこがれていたというが、セーラームーンの物語をどこまで知っているのか
よし。ここまでだ。まずはここまでを10分にまとめよう。一人芝居にすると不可能に近いが。人形劇にするのだ。いや正確には人形劇という記号化に挑むのだ。神話や童話は広大な物語をあえてそうとう短くしているし、成り立っている、それは神話や童話は記号化されているからだとわたしは思い、それを試みよう。
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