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仕立屋とデコ屋敷本家・大黒屋

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2016年師走、プロジェクトは福島県郡山にあるデコ屋敷大黒屋から始まった。半年をかけた一着の作業着づくりと弟子入りから、仕立屋が見てきた二十一代目本家大黒屋の本音をお伝えします!
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2017年10月の記事一覧

弟子入りは愛の乱れ打ちだった。

作業着を作るために弟子入りを始めたあたし。 まさに潜入捜査。 そんな大黒屋はちょうど年末の繁忙期。 あたしの仕事はダルマが倒れないようにする為の底作り。 朝から晩まで粘土をこねくり回し、粘土を叩きつけ、粘土と格闘。 いい感じに毎日筋肉痛。 半地下半野外のような部屋に籠って作業するあたしに お母さん達が代わる代わる様子を見に来てくれるのだ。 「大丈夫?寒いでしょ?」 「疲れたでしょ?休憩してね」 「本当に助かるよ、お陰で違う作業が進められる」 東京で疲れたあたしの心にお

二十一代目・橋本彰一との出会い

あまり長い文章を書くと、読む方も書く方も大変なので、 なるべく端的な文を・・・と書いているこの文が無駄ですね。 スタートばかりした、デコ屋敷本家大黒屋での弟子入りストーリー。 そもそも、そんな職人との出会いは?! 私ら仕立屋と職人は、伝統工芸とは縁もゆかりもなく生きてきた。 (プロフィールはこちら) キッカケは、メンバーの石井がロンドンから本帰国してすぐに、 ふらふらしながらアーティスト・イン・レジデンスに参加したこと。 舞台は郡山市。居候先がこのデコ屋敷大黒屋だった。

大黒屋プロローグ

2016年、残すところ10日ほどに迫った師走に、 仕立屋はだだっ広い古民家にいた。 周りは星以外何も見えない。ここはデコ屋敷大黒屋。 居間のありとあらゆる所からダルマがこちらを睨んでいる。 この日から大黒屋二十一代目のもと、弟子入りが始まった。 張って子が生まれる=張子 急ですが、みなさんだるまってどうやって作られているか知っていますか? というか、だるまって手で持ったことありますか? 今ではなかなか自宅にだるま置いているお家って多くないと思うので、 なじみが薄くなっ