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娘は学校の授業を熱心に受けているようだ

娘「パパ~、今日も昔話の本を読んでくれる~?」

寝る前に、絵本を抱えてお願いをしてくるのが、最近の日課だ。かわいい一人娘にせがまれて、断る父親はそうはいまい。今日も主人公たちになりきって、おもしろおかしく読み聞かせをするのだ。

パパ「どれどれ、今日の話は何かな?」

娘「浦島太郎だよー。」

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パパ「おじいさん~♪。おしまい。」

娘「・・・」

パパ「(おや、眠っちゃったかな?)」

娘「・・・わからないなぁ~」

パパ「え? このお話難しかった?」

娘「ううん、『浦島太郎』の主題がわからなかったの。」

パパ「・・・・・・主題か~。」

しゅ だい 【主題】
① 中心となる題目。メーン-タイトル。 ⇔ 副題
② 談話・文章・研究などの、中心となる問題。テーマ。 「会議の-にとりあげる」
③ 芸術作品に、作者があらわそうとする基本的な思想内容。テーマ。
④ 楽曲の中心となる楽想を端的に表現している音楽的素材で、楽曲全体の発展の基礎となるもの。長い旋律から短い動機的音型に至るまでその規模はさまざまで、一曲が複数の主題をもつこともある。 → 首題
                     weblio辞書より引用

「学校のお勉強で、このお話の主題はなんでしょうってよく聞かれるの。パパは、『浦島太郎』の主題ってなんだと思う?」

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みなさんは、この質問に対してどう答えるだろう。

もし『桃太郎』や『したきりすずめ』、『さるかに合戦』ならもう少し説明しやすかっただろう。

ところが、『浦島太郎』はそうはいかなかった。

心優しく、なかなか手に入らない魚と引き換えに、いじめられていたカメを助け、そのお礼に竜宮城へと連れていってもらった太郎。

美しい乙姫や踊りの得意な魚たちに接待してもらって大喜びな太郎。

これまで食べたことのないごちそうやお酒を飲んで、時間を忘れてしまう太郎。

寂しく過ごしているだろう母のことや故郷のことを思い出して、地上に戻りたいとお願いした太郎。

乙姫の誘いも振り切って、地上に帰ることを貫いた太郎。

300年の月日が経っていた現実を受け止めきれず、開けてはならぬという約束を破って、玉手箱を開けてしまう太郎。

白い煙に巻かれ、よぼよぼのおじいさんになってしまう太郎。

心優しき青年が、そうあるべき行いをして、カメを助けたお礼を受けたばかりに、寂しい思いを抱かせたまま最愛の母を亡くし、自分自身も誰一人として知らない故郷にたった一人。

昔から伝わる読み人知らずの『浦島太郎』の主題とはなんだろう。

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娘「ねぇ、なんだと思う?」

私「そうだね~。パパは、目の前の出来事がどんなに楽しそうでも、その場の状況や感情に流されないで、しっかりと自分で選択することの大切さを教えてくれてるのだと思うよ。そうしないと、自分にとって本当に大切なものを失ってしまうかもしれないから気をつけなさいってね。そしてきっとそれは、どんな人にでも起こることなんだろうね。」

娘「ふ~ん!」

パパ「…ちゃんは、『浦島太郎』主題ってなんだと思う?」

娘「う~ん。。。。ママを一人にしちゃだめ!」

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私は、子どもとの対話を通して、これまでよりも深い学びを得られたように思うが、子どもたちは、一番大切なものをいつも一番大切にしているのかもしれないと思った夜だった。




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