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安部菜々が永遠の17歳であるということ

皆さんは安部菜々をご存じだろうか。

『アイドルマスターシンデレラガールズ』(以下デレマス)というソーシャルゲームに登場するアイドルの一人である。

彼女の魅力や特徴は様々であるが、ひと際目を引くのは「年齢:永遠の17歳」というプロフィールである。

もちろんこれは自称で、親しくしている同僚アイドル、CDデビュー時の中の人の年齢、数字のキリの良さなどから10歳鯖を読んでいるという説が最もメジャーである。

公式でもこの設定はたびたびネタにされており、ボロを出して慌てる様子がよく描かれている。また、非公式なアイマス界隈ではある種のミームと化していて、時代遅れのコンテンツには彼女の愛称であるウサミンという言葉がついて回る。

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ところで、話は変わるが皆さんは最近ニコニコ動画を見ているだろうか。私もつい最近知ったことだが、現在、アイマスカテゴリが謎の盛り上がりを見せているのである。

発端はバチ氏の投稿した「たべるんごのうた」という動画で、内容自体は辻野あかりとあかり考案のマスコットキャラクター「りんごろう」が山形産のりんごを宣伝するオリジナルソングを歌って踊るという至ってシンプルなものである
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しかし、動画の最後にBB(ブルーバック)素材を付けたことから、これを用いたMADが数多く投稿されており、少し前のBMBBブームを彷彿させるような流行り具合である。

そして、その中には「鳥の詩」「バラライカ」「ture my heart」などニコニコ初期を支えた昔懐かしの楽曲をモチーフにしたMADも数多くみられ、そういった動画にはすべからく「ウサミン世代」というタグが付いているのである。

このタグを見たとき、まず私は驚いた。

安部菜々登場当初はニコニコ動画(β)のサービス開始から4、5年だったが、年を経て10年以上前となり、なるほどニコニコ初期はウサミンというミームが適用されるようになったのか、と。

そして気付いたのである。

安部菜々は仮想であるがゆえに永遠に「永遠の17歳」なのだということに。奇しくも安部菜々のプロフィールの半分は事実だったのである。

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デレマスはキャラクターが年を取らない、いわゆる「サザエさん時空」のコンテンツである。

ただし、サザエさんと違い、たとえ彼女たちの時は止まっていても時代は進んでいく。

携帯電話にじゃらじゃらとストラップを付けて「恋空」を読んで泣いていた中高生はもうどこにもいない。タピオカ片手にインスタ映えを狙うのが今の若者像なのである。

そして、デレマスはアイドルをプロデュースするゲームというだけあってキャラクターの大半はティーンエイジャーであり、ティーン=流行に敏感というのが世論である。

つまり、彼女たちは時の流れに抗いつつも流行を追わなければならないという非常にややこしい存在なのである。

実際、彼女たちの大半はインスタをやっているだろうし、主食はタピオカミルクティーとチーズドッグに違いない。

こうして、彼女たちは時代と共に変わっていくし、逆にどれだけ時代が過ぎ去っても変わることのない彼女たちのアイデンティティもあるのだろう。この対比を味わえるコンテンツは少ないのではないだろうか。

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私見ではあるが、『アイドルマスターシンデレラガールズ』はまだまだ続くコンテンツである。
彼女たちのアイデンティティ自体が早苗さんのボディコンのように時代遅れにならないことを切に願いながらも時代とともに変化していく彼女たちの姿をこれからも楽しもうと思う。

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