泥にまみれる

2014年、ブラジルワールドカップ

当時勤めていた職場では、1人の女性が自分のデスクに、世界中のサッカー選手達の写真の切り抜きを貼りつけて誰よりもワールドカップを楽しんでいた。

サッカーに興味のない私は、イケメンでない汗まみれの選手たちの切り抜きを貼っている、彼女をからかっては、笑っていた。

でもふと、人の趣味趣向を笑うなんて失礼だなと思い、ワールドカップを観てみようとテレビ観戦を始めた。

ルールを理解していなくて見始めたワールドカップは世界中の熱狂に後押しされて、あっという間に夢中になった。決勝試合は、リアルタイムで観戦し、そのまま出社した。

特に自分の中で印象的だった選手はアルゼンチン代表のマスチェラーノだった。

中盤で大暴れしているその姿は、『がむしゃら』という言葉が当てはまった。

あれほど自分のことをからかっていた私がサッカーに夢中になっているのを、彼女は驚き、呆れていただろう。

彼女がデスクに貼っていた切り抜きの選手達のこともすっかり把握している状態にまでなった。

記憶に残るその切り抜きの選手達はたしかロッベン、イニエスタ、ルーニーだったような。

だけと、あっという間に夢中になったブラジルワールドカップは、あっという間にその幕を閉じた。

そのままサッカーにハマるかと思われたが、私の熱狂も終わっていた。

私の人生で、サッカーへの熱狂はあのブラジルワールドカップだけかもしれない。けど人生の中にそのひとときがあったことは、これから歳を重ねていくほどに味わい深い思い出になってくれるはずだ。

#スポーツがくれたもの

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