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備忘録 大事にしたい文献

小生,ちまちまと研究に取り組んでいます.現在は保健指導.その中で大事にしたいなあと思う理解の一つに下記の斎藤環先生のnoteがある.

いうまでもなくすんごい方である.

対面の機会を失った保健指導はどのような効果や意義をもたらすか,改めて問い直すとき,斎藤先生の解説は所々,というか,繰り返し私を腑に落ちさせる.

何かを決めたい、依頼したい、説得したいと思うとき、人は会うこと、集まること、すなわち「臨場性」を求めがちだ。なぜか。そのほうが「話が早い」からだ。なぜ話が早いのか。それが「臨場性の暴力」の行使だから。
欲望の起源は他者であるとして、欲望の活性化をもっとも促進してくれるのは暴力だ。
苦痛や感情が共感され、文脈と意味が共有されること。そうした共振れは、有意味な対話の成立にはほぼ不可欠なのだが、オンラインではそれができない。

どうしてもこう,なんか引っかかっていることをうまいぐわいに表現してくださるのだろう.

研究テーマに置き換えてずっと考えている.
コミュニケーションの中で相手に「知識や理屈を獲得する」「変化へのきっかけにする」「継続の強化する」へ移行していくものとして,その時間の価値を作り出すには,
こちらは「聞く」から相手の行動の様子や抱えている情景をシェアさせてもらい,その受け取った情景を「伝え」たり,摂理や道理に照らし合わせて「解釈」や「選択」を付け加えるなどして,相手の「気付き」などの心の動きのきっかけを作り,正当な「納得」と「奮起」を起きるよう促す
そんな,プロセスをたどるのかなと思う
この場面・プロセスにおいて,斎藤先生が述べてくださっている,1つ1つが当てはまるように思う.

限られた時間(効率化)の中で,一定の信頼関係(共揺れ)を利用しながら,その人の自覚・無自覚な欲望(必要という方がいいか)を達成するのを支持する働きかけだ

しかし,斎藤先生は臨場性(対面)に求められる要素として述べてはいるが,この要素…オンラインの中にも含まれている(にちがいない)と考えて今まさに私は振り返っているわけだ…

話を文献に戻し,もう一つ最近であった中で大事にしたいなぁと思うのが下記.こちらも齋藤環先生が関わっている.

齋藤先生はopen dialogueの日本の立役者で第一人者であるからこそだからなのか,対話を通して人が人に与える影響について紐解くガイドのように語り掛けてくれる.

この現代思想の斎藤先生と東畑開人先生の対談では,中井久夫先生の「浅層心理学」の言葉まで出てきて,また腹落ちするのである.

どういうものがオンラインでできるかというと,いわゆるサポーティブな面セルですね(東畑談)
自我が弱って適応が下がってしまっている人に対しては,アドバイスしたり,現実検討を提供したりするのが役立ちます.復職支援とかはそうですが‥(東畑談)
その話は中井久夫さんがこの近年「浅層心理学」と言っていることに通じるように思います

残念ながら私が探す範囲で「浅層心理学」をしっかり提供してくれる文献がない…現在探し中である.
確かに,保健指導では,転移や逆転移を扱うほどのことはない(まれであると思うし,そもそもその訓練を受けていない).それにどちらかといえば,取り扱う範囲は本人にとっては優先順位が低い(わかってはいるけどやめられないの部分の動機づけ)エリアのことも多く,一回で解決することも少ないしあまり切迫も期待もしていない(ように思う).ちなみにそのために,次につなぐことをの機会を大事にするが故に逆転移のような状態のまま終結することはないのが私の感覚だ…

少しこの点補足したいが,多少なりとも求めに応じる場面では,斎藤環先生のnoteで触れられている通り,人間関係が対等になることはまれ(「ない」と斎藤先生は言っているが)であり,先に述べた多少なりとも暴力的なアドバイスも受け止める関係性が成り立っている.診察の場面などはそうだろう.そのため多少踏み込んだ,もしくはストレートな言葉も大事にされる向きがある.診察の場面など医療者が関わるときは当然インフォームドコンセントの要素もあるため,不明確なことを述べることもできないわけだが.
保健指導のみの場面ではどうであろうか.どちらかというと,サービスに近い気がすると思えば,治療的関係ではなく,なんというか,百貨店の洋服売り場でお客に合う洋服をお勧めしている感じというか・・・なんだかそんな感じ.医師の診察の雰囲気も持ちつつもだ.不思議だ.人にもよるが,へりくだるそんな印象すらあるのである.そう,対等にならない関係といっても医師の診察のそれとはちがう.うーん,わかってきたような気もするが...もう少しきちんと頭を整理したいところだ.

この浅い感じの中での攻防戦でありつつも,臨場性の感覚をオンラインでも再現しつつ展開していると言ったらいいか・・・
絶妙な技術は何であるかこの機会にやっぱり紐解かないといけないのだろう.

纏まりはないが,まずは,大事な文献に出会えたことに感謝.浅層心理学の提唱をされている中井久夫先生の文献に少しづつあたりながら,まずはこの二つをてがかりに進めるのである・・・

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