続く発熱

9月中頃。38度台の熱が出て、私は仕事と学校を休みました。年に何度かはこれくらいの熱が出ることがあったので、薬を飲んで寝ていれば夜にはよくなっているだろう、とその時は考えていました。

しかし夜になっても、翌朝になっても熱は下がるどころか上がっていき、インフルエンザを疑い勤務先の病院で検査を受けましたが、結果は陰性。解熱鎮痛剤を処方されました。

もらった解熱剤を飲んでも下がらない熱。さすがに不安になり、近くのMRI検査を受けられるクリニックで診てもらいましたが、脳に特に異常はみられないといわれました。自分の身体に一体何が起こっているのだろうと、不安はさらに大きくなりました。

次の日の夜。まだ熱は下がらないままでした。地域の夜間救急へ行き診察を受け、帰宅途中。今まで全然なかった食欲が急に戻ってきて、牛丼をテイクアウトして家に帰りました。ずっと食べたくなかったのに何で急に食欲がわいたのか自分でもよくわかりません。熱はまだ38度台と高かったにも関わらず気分はとてもよく、胃の気持ち悪さや不快感、身体のだるさなどが感じられませんでした。

あとから一緒に病院に付き添ってくれていた先輩たちに話を聞くと、夜間救急の待合室で急に歌いだしたりしていたそうです(私は全く覚えていません・・・)。

帰ってきて牛丼を食べているとき、「こんなに美味しい牛丼食べたことない」「これが最後の晩餐かぁ」などと言いながら食べていたそうです。この辺りは、自分でそういうことを言ったのをうっすら覚えています。牛丼を間食した後、私は今までにないくらい強い不安感をおぼえます。

昼までは気持ち悪くて少ししか食べられなかったのに、なんで今牛丼を完食できたんだろう?

あぁそうか、もう私死ぬんだ、と思いました。

そう考える自分を変だとも思いませんでした。ただ本当に、そう思ったのです。たぶんもう、今日死ぬ、とそう強く思いました。なんでかはわかりません。不思議な感覚でした。沖縄にいる家族や、友達との思い出。お世話になったいろんな人の顔が頭の中でバーッと流れました。死ぬ前に両親に遺書を書かないと・・・この時、両親に電話をかけようという考えはなぜか出てきませんでした。

部屋にいた先輩たちの前にひざまずき、「今まで本当にありがとうございました。もう死ぬので。ありがとうございました。」と最後の挨拶をしました。いつも冗談を言うような性格だったので、この時はまだ先輩たちも私がいつも通りのおふざけでおかしなことを言っていると思ったようです。

先輩たちに挨拶をしたあと私は、Twitterで繋がっている友人たちには私の訃報は伝わらないだろうと考え、「今まで本当にありがとうございました」と呟きました。

その間に先輩が、私が職場で練習用に借りて持っていた血圧計を持ってきました。先輩は、変なこと言ってるし熱もあるから測ってみるか~くらいの軽い気持ちだったようですが、なんとでた値は上が180と明らかな異常値。

私は血圧計を持ってきた先輩の姿は頭に残っていますが、ここから先の記憶は全くありません。








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