世の中のほとんどのことは直接的か間接的かの違いだけである、というようなことを森博嗣がスカイ・クロラの中で言っていた。 中学生の時に読んだ本だが、この言葉をずっと覚えている。 この本を読んでから14年ほど経って秋、とある美術館のこどものコンクールにて書作品の展示依頼がきた。 当時、賞を受賞した私の作品と今の作品を並べて展示したいとのこと。 作品についての打ち合わせの中で少し取材を受けた。 "こどもたちへ伝えたいことは何かありますか" そんなことはこれっぽちも考えたことは
きけばいいのに とりのこえを かぜのこえを なみのこえを きけばいいのに おまえらはきこうともしないくせに わかろうとする わかれるわけがないのに わかれるとおもっている わかれるわけがないのに わかれるとおもいこんでいる
お前は宵闇の海を泳いでいる 空より高い使命を携えて お前は泳ぎ疲れることがない 時には深海へ沈み たちまち浮上する お前は戯言など吐いたりはしない ただ美しい海を感じている しかし 身体は水に触れているのに お前自身は乾いている それでも お前は泳ぎ続けている だが嘆くことはない やがて波打ち際の陽が お前に潤いを齎すだろう そして刹那 悠久の命を手にいれたまえ 令和五年八月未明 淺川紫雪
どのように生きたら 私は死ねるだろうか どんなことそして どんなことをしなければ 私は納得できるのだろうか 殺すつもりで書いている ひずんだ価値観、いつわりの優しさ、まがいものを いいえ 弱い自分自身を。 この世のほとんどは 私のものだが この世のほとんどは 手に入らない なにもかもが遠い 唯一残るものは 怒り 破壊衝動が心 私のよわさが私をつよくする そうやって 息をしている 令和六年八月十二日 淺川紫雪