今改めて語りたい「VCRGTA2」ピザ屋の軌跡

VCRGTA2視聴のきっかけ

私がホロライブを中心にVTuberの配信を見始めたのは昨年9月からで、当初は視聴モチベーションが高く様々な配信を視聴していた。
そんな折、10月に私がそれまで見てきたストリーマーとVTuberが集うイベントが開催された。それが「VCRARK」である。
VaultroomとCrazy Raccoonが共同で開催する、ARKを舞台にした大規模イベント。それはアキ・ローゼンタールが外部交流イベントに乗り出し、ストリーマー界隈に存在感を示してその後の大躍進のきっかけとなる素晴らしいイベントだった。
一部のホロライブファンの中には、ホロライブメンバーのアイドル性を重視して外部交流に対して思うところがある人もいるかもしれない。しかし、もともとストリーマーを視聴してきた延長でVTuberを知っていた私としては、これまで見てきた世界と今見ている世界がつながるような魅力を感じていた。
そして年末。VCRの次のイベント「VCRGTA2」の開催が発表された。
VCRARKと同様にホロライブメンバーを中心に見るつもりではあったが、今回はVCRARKのときとは異なりReGLOSSの火威青と一条莉々華が参戦するということで、そのふたりの動向を中心に視聴するつもりでいた。
その結果出会ったのだ。この殺伐としたGTAの世界観をぶち壊しに来た存在――ピザ屋に。

花形ではない、だからこそ目立った

私にとって、GTAの知識はニコニコ動画で投稿されていた「指名手配度MAXだけど○○する」シリーズしかなかった。犯罪が横行し、銃弾が飛び交うGTAというゲームでは、ギャングが花形であり、それを抑止する警察との戦いが一番盛り上がる。逆にいえば、それ以外の役職ではあまり目立つものではないのだと思っていた。実際、のちに店長と呼ばれたホロスターズのアルランディスが当初ピザ屋に就くことに及び腰になっていたのは、裏方感の強いピザ屋に就職した結果あまり他の参加者と交流できないことを危惧したものであり、当初はいずれギャングに転身することを考えていた。
もちろん、ギャングや警察になった参加者を中心に追っていた人からすれば彼らが花形であることはその通りだと思う。しかし、そんな中でもピザ屋はギャングや警察に負けないほどの異彩を放っていた。
アルランディスが主体となり、「ド派手な販売車で街を練り歩く」「どんな場面でも出会った人にしつこいほどピザを売り込む」といったスタイルで数多のギャングや警察の配信枠に姿を現し、強烈な印象を残して去っていく。
その印象付けが功を奏した例が、イベント期間半ばで発生した「戦場のピザニスト」事件であったと思う。アキロゼ率いるネオポリスが合同で襲撃作戦を行っている現場に販売車で乗りこみ、そこで売り込みを行ったことで、警察のヘリ1台がそれに気を取られてギャングへの対処が遅れ、地上でも銃撃戦の前に現れて警察の油断を誘った。
この作戦の直後までピザ屋がギャングに加担していると疑われなかったのは、それまでの「ピザ屋はどこでもピザを売り込んでいるからこの場にいてもおかしくない」と思われるだけの積み重ねがあったからこそだろう。

初心者の受け皿としてのピザ屋

当初はアルランディスひとりで切り盛りしていたピザ屋(takeraをはじめ参加者はいたが全員ギャングに転身した)だったが、当人の粘り強い勧誘の結果、侵略者とおこをピザ屋に迎え入れることに成功する。
その後、もともとピザ屋を予定していた火威青と一条莉々華と合流するだけでなく、昏昏アリアや赤井舞茸、狂蘭メロコ、遠藤霊夢といった初参戦メンバーが参加していき、以降は誰ひとり欠けることなく最終日を迎えるに至った。
正直なところ、ピザ屋メンバー全員のアーカイブを追えているわけではないが、これだけ多くのメンバーがピザ屋に加入したのは、ピザ屋という仕事がVCRGTA2世界内で一定の知名度を獲得した結果、リスナーの間で「(警察やメカニックのような承認制ではなく)自由に就ける白職の中では一番外部交流して稼げる、店主が真面目でいい意味で尖っていない」ということが知れ渡っていたのも一因としてあるのではないかと考えている。
とくに赤井舞茸は友人のごっちゃんマイキーが先にアルランディスと交流があり、人となりを知っていたのが大きいだろう。
そうして集まって人たちがアルランディスを中心にドタバタコントしながらピザを作り、時には過激な売り込みで警察や救急隊、メカニックを沸かせ、時にはネオポリスやお肉の組といったギャングの大口取引をこなしと充実したVCRGTA2生活を実現した。
イベント期間後半ではピザ屋メンバー全員の衣装が侵略者とおこと同じAmong Asの衣装に統一され、ある種のトレードマークとして認知されるようになったことでVCRGTA2世界での確固たる地位を築き上げたように思う。
毎日欠かすことなく複窓でピザ屋の配信を追っていたからこそ、イベントが終わった後は言い知れぬほどの喪失感に苛まれた。ただ配信を眺めていただけの私ですらそうなのだから、当事者であったピザ屋メンバーが感じた喪失感というのは察するに余りある。それだけ濃密で楽しい時間だった。今でもピザ屋メンバーのアーカイブを見ることがあるし、ピザ屋オンリーで更新を続けている切り抜きチャンネルも存在しており、その余韻は今も残り続けている。

GTAが持つ魅力を痛感したVCRRUST

先日開催された「VCRRUST」は、それ自体は面白かったものの、VCRGTA2と比べてしまうと感情移入の具合は薄かったように思う。それは、移動手段が乏しくスマホもなかったため参加者間の交流が少なかったとか、PvEが中心でARKのようなレイド攻撃から集団で身を守る必要もなかったことが一因ではないかと思う。しかし、そう頻繁にVCRGTA2クラスにのめりこむイベントができてしまうと、またしても睡眠不足が加速するのでほどほどにお願いしたい。
そういった意味では、多くのストリーマーが参加している「ストグラ」という企画は、GTAという作品が持つ魅力をうまく活かしているように思う。VCRGTA2では期間が短かった分濃密な時間を過ごし、終わった後のロス感も大きかったが、ストグラでならGTAの持つ魅力を活かしながらまったり推しのストリーマー・VTuberがGTAの舞台で活躍する姿を応援できる。
私は最近ストグラに参戦したVEEの秋雪こはく(ストグラ内では狐火こはく)の視点を視聴している。VCRARKやVCRGTA1・2で見せたファーム適正とAPEXプレデター経験のあるエイム力でどんなふうにストグラの世界を盛り上げてくれるのか楽しみにしている。
次回のVCRイベントがどんなタイトルを採用するのか、そこに誰が参戦し、どんな物語が生まれるのか。今から楽しみで仕方がない。

おわりに~2024年夏コミに参加しますという話~

……というように、私は不定期でVTuberに関するNote記事を書いてきましたが、今年の夏コミではVTuberに関連するコラム記事と、VTuberの配信を視聴する理由でもあったVTuberモノ小説を一冊にまとめた同人誌を頒布いたします。
スペースは2日目8/12(月) 東ナ-09b「涼風郡」となっております。
コラム記事の内容はまだ案の状態ですが、
・大投資時代における、VTuber視聴という趣味と可処分時間・可処分所得との向き合い方
・ホロライブが目指す一般化における現状と課題
・実写多めの個人女性VTuberが増えた背景考察と生存戦略
といった感じで、普段のVTuber個人や事務所にフォーカスしたミクロな感じのNote記事とは異なるマクロ視点を中心にした記事を予定しています。
また、VTuberモノ小説は昨年の冬コミで制作した「Infrastructure as a VTuber」という、女性アイドルVTuber事務所のインフラ担当として就職したらなぜかスタッフVTuberになった男の話の続きを制作いたします。今年の冬コミで第一部の完結を目指すくらいのペースで書き進めておりますので、ご興味のある方はぜひお立ち寄りいただけると嬉しいです。

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