大・タイガー立石展 @埼玉県立近代美術館・うらわ美術館 備忘録1

念願だったタイガー立石さんの展覧会に行くことができました。
埼玉県立近代美術館、うらわ美術館のどちらも素晴らしかったです。

 私のタイガー立石さんとの出会いは、幼少期に読んだ『月間たくさんのふしぎ』の絵本『ぼくの算数絵日記』でした。その原画を、今回うらわ美術館で見ることができたのは本当に嬉しかったです。
 展示を通じて、アヴァンギャルド、漫画、商業デザインと多方面に活躍していたことを知ることができました。これだけ才能豊かな方なら、ある一つの専門プロとなることもきっとできたのだと思います。しかし、タイガーさんが一方面に絞らずに、留まらずにいてくれたおかげで、絵本という形で私も出会えたのだということを実感しました。(同時に、タイガーさんの時空間を行き来できる表現、絵の力を感知して、タイガーさんに絵本の話をもちかけた関係者の方の目の付け所もすごいと思いました。私の知らなかった絵本『ぐにゃぐにゃ世界の冒険』では、実は数学のトポロジーという概念を扱っていたとのことで、大人でも中々理解できないような空間を、タイガーさんだからこそ、絵本として表現できたという展示解説にはなるほどと思いました。)

 図録も見ながら、余韻を味わいたいと思います。

(以下は備忘のメモです。)

・タイガーさんは過去からタイムスリップして描かれた作品とも、逆に未来からの使者が描いた作品ともどちらでもあるように感じました。空間だけでなく、時空をものともしないと表現すべきか、その感覚が見ているこちらも面白いの一言です。

・画面いっぱいに様々なものが描かれている作品も多いのに、なぜか疲れないのが不思議でした。色々な題材が描かれていても、それらがどこかで有機的につながっているからそう感じるのかもしれません。

・明治、大正、昭和をそれぞれ描いた大作(近代美術館展示)は生で見ると驚きました。洛中洛外図ではありませんが、しかし時代絵巻であると感じました。『明治青雲高雲』の中心は高橋由一の『鮭』で、吊るされた鮭の洋画が明治の中心にあるということに不思議な納得感がありました。

・『水の巻』は、底知れぬものを感じるのみです。

・文明が進む一方、むしろ人間(社会)は動物化していくような未来図も晩年の作品から感じました。

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