『マンスフィールド・パーク』2

上巻を読み終え、現在は下巻(第三部)に入りました。

途中展開が落ち着いてしまったかなと思う所もありました。しかしそれはむしろその後の展開への地ならしだったのかと、主人公ファニーとクロフォード兄妹の上巻終盤から下巻冒頭にかけての立て続けのやり取りに心底ハラハラしながら感じました。

しかし、物語全体を通してノリス夫人の存在感が大きく、ファニーとダブル主役、コインの表裏ではないかと言いたくなるほどです。
ノリス夫人がファニーに対して扱いがあまり雑すぎて、恩着せがましく、そしてドケチな人であることは間違いないのですが、そのことを非難したくなるというより「ああ、もうこの人はどうしていつもこうなんだ…。でももうこの人はずっとこういう人間なのだなぁ」という、諦めと苦笑、哀愁の混ざった感情に自分がなるのが不思議です。
こうしてノリス夫人を描き出した著者オースティン(もしくは主人公ファニー)のやや皮肉混じりの洞察にただただ舌を巻くことしかできません。

解説は上巻しかまだ読んでいませんが、必要な背景知識がコンパクトにまとめられておりとても勉強になりました。小説の書かれた1800年前後にコース料理はまだイギリスでは普及しておらず、この後にロシアからコース料理の文化が入ってきたそうです。

物語後半も楽しみたいと思います。