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【#第3回心灯杯】 AIの行く末 (最後まで無料で読めるよ)

最近は、AIなんてのが流行りらしくて・・・人工知能って言うんですかね?
機械と人が対話できる。 そんな時代らしいですね。
そんな時代でもコロナなんて、厄介なモノの流行もあって
みんなで集まって、ワイワイ騒ぐ・・・なんてことも
難しくなりましたね。

ここは、そんな人と人とのコミュニケーションの形が変わってしまった近未来。 人と人とが、何も考えずコミュニケーションを取れていたのは、すっかり過去の時代。
人々は、少なくなってしまった他人とのコミュニケーションの結果、出来てしまった心のスキマをAIロボットで補っています。
そんな少し未来のお話。


他人とのコミュニケーションが減り、寂しさを我慢しながらも一生懸命働いた。
少ない給料で貯めたお金を握りしめて(近未来なんだけどね)
AIロボット屋を訪れたN吉。

N吉「おっと、ここがAIロボット屋かぁ〜 おいらもやっとこさAIロボットが買える身分になれたってもんだ。」
入り口のロボット 「いらっしゃいませ❤️ ようこそ❤️どんとこいロボット館へ〜❤️」
N吉「おぉ〜 びっくりしたぁ これもロボットかぁ 本当に良く出来てるな まるで人間みたいだ。」
店員「いらっしゃいませ お客さま どのような商品をお探しでしょうか?」
モニターから、柔らかい男性の声がした。
モニターの画面を見ると、へらへらした男性の顔が映っている。
N吉「おっとこれもロボットか?」
店員「いえいえお客さま、私は生身の人間でございます。」
N吉「生身って、お前さん・・・モニターじゃないか・・・」
そうそう、外を出歩く人がめっきり減ってしまった近未来。
お店は完全予約制が多く、お店での接客もできるだけ接触しない仕組みが
出来上がっているのデス。 接触しない接客を積極的に・・・yo!

N吉「これのどこが人間なんだってぇ〜」
モニターをぺちぺち叩く来吉
店員「お客さま、おやめになってください!」
N吉「うるせー こっちの方がよっぽど人間じゃないか」
と言って、N吉が入口のロボットの顔ぺちぺちと叩いた瞬間・・・・

びーびーびー

けたたましい警報音が鳴り響いた。
「わっわっ 何だこれ〜」悲鳴を上げるN吉
店員「当店自慢の警備システムでございます。 そのまんま町のN吉さま・・・」
N吉「げげっ なぜ、住所と名前が・・・」
自分の住んでいる場所と名前がバレて、慌てるN吉
店員「当店自慢の指紋認証システムでございます。 今すぐ警察の手配もできますよ」
N吉(はっ まさか、さっきのロボットで指紋を・・・)
N吉「ひぇ〜 それだけは、ご勘弁を・・・」
 (いやいや、N吉よ・・・予約して来店したじゃん・・・)

店員「それではお客さま、お買い物でよろしいですね?」
N吉「ハイ・・・」しゅん
店員「当店には、大きく分けて2種類のロボットがございます。 一つは、見た目が人間っぽいロボット。 入口に居たロボットがそのタイプでございます。
見た目は人間ぽいですが、性能では劣ります。 あらかじめ登録されていて決められた言葉しか話せません。 予算の大部分を見た目に使っているためです。
もう一つは、見た目はただの球体ですが、豊富な会話が可能な機種。
AIが搭載されており、どんどん言葉を覚えて成長します。」
N吉「それだったら、会話型のロボットの方がよいかなぁ 寂しい時の話相手になってくれたり、優しく励ましてくれたり・・・いくら見た目が良くても、それだけじゃ、役に立たないよな・・・」
店員「お客様ロボットは良いですよ〜 充電さえしておけば、どこまでもお客さまに尽くしてくれます。
人間と違って、見返りも求めません。」
ここぞとばかりに、グイグイと営業攻めする店員。

N吉「その機種には、どんな種類があるんでぃ?」
急に江戸っ子、N吉
店員「そうですね。 優しくて従順タイプ、元気な妹キャラタイプ、熱く語りかけてくる熱血タイプ」
N吉(熱血タイプはいらねぇな・・・熱血タイプなんて、誰が欲しがるんだ?)
N吉「他にはどんなのがあるんでぃ?」
も一つ江戸っ子、N吉
店員「そうですね・・・最近の流行りはこの最新型のツンデレタイプでございます。」
N吉「てやんでぇ ツンデレだと・・・」
究極江戸っ子、N吉
店員「ハイ、最近の流行に乗って、このタイプがどんどんと増えております」
N吉「お〜 増えるツンデレタイプ・・・マシマシのツンデレタイプ・・・とても、魅力的だ・・・よし、ソイツをもらおうか」

店員「ハイ、お買い上げありがとうございます。 このツンデレタイプ。 当然、最初はツンツンでございます。」
N吉「おうおう、それで、そっからデレデレしてくれるんだろ?」
何だか、すごくヤラシそうに問いかけるN吉。
店員「ハイ、左様でございます。 しかも、お客さまが話しかける言葉で成長していき、優しくて従順タイプになったり、元気な妹キャラになったりします。」
N吉「お〜 それはどんな風に成長するか今から楽しみだね」
店員「そうですね。では、さっそくスイッチを入れて・・・と。 まずは、名前を登録してください」
N吉「え・ぬ・き・ち・・・っと」

ツンロボ「よっN吉、しけたツラしてんな」
N吉「おっ 早速ツンツンだ・・・」
罵倒されているのに、なぜか嬉しそうなM吉・・・いや、N吉。

店員「お買い上げありがとうございました。 それでは、お客さま。 ロボットは、そのままお持ち帰りください」
N吉「えええ〜 持って帰るって、コレけっこう重いよ? 転がしちゃダメ?」
ツンロボ「バカ、転がすな・・・ちゃんと・・優しく・・・運んで((ノд`*)っ))」
N吉「おっ 少しデレた 仕方ない、担いで帰るか・・・」
よっこいしょっと。 かなりの重量に足をぐらつかせながらも
なぜか、少し嬉しそうな表情のM吉・・・いや、N吉。

えっさ、ほいさ、どっこいしょのこらさ・・・
元気で陽気な掛け声を上げて、担いで走るN吉。


N吉「ふぅ〜〜。やっと家についた。 どれどれ、さっそく話しかけてみよう」
N吉「大丈夫だったかい? いや〜 ここまで運ぶの、大変だったよ」
・・・「そうだろ。 やっぱり身体を動かすのって良いよね?」
・・・「足にいい感じで筋肉がついてきたんじゃないのか?」
・・・「よ〜し、その勢いで次は、腕立てと腹筋だ〜」

N吉「あれ?」
熱血ロボット「ん?どうした? もう全メニュー終わったのか?
じゃあ、次はあの夕日に向かって走るぞ〜」
すっかり、熱血タイプに成長していたのであった。

N吉「おい、何だよ、熱血タイプなんていらねぇよ!! 金、返せよ!」
怒りに任せて、熱血ロボットをぺちぺち叩くN吉。

びーびーびー

もの凄い警報を響かせて、迫ってくる熱血ロボット。
追い立てられるように、夕日に向かって走るN吉。
走っている途中、どんとこいロボット館の前を通ると・・・
「行ってらっしゃいませ」入り口のロボットが、優しく来吉の背中に声をかけるのであった。 

N吉に真実のAI(愛)は、舞い降りるのか!・・・

(完)

参加させていただきました。 とても、楽しかったです。

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