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盆踊り

子どもの頃、毎年夏休みに近くの公園で盆踊りが開催されていた。

小さい頃は、盆踊り以外で夜に外出することなんて数えるほどしかなかったから、
あの提灯で照らされた光景はとても幻想的で、
いつもの公園なのにまるで違う世界に迷い込んだような不思議な感覚になったものだ。

会場では、
やぐらに置かれた太鼓を近所の子どもや大人が代わる代わる叩き、
やぐらの周りをぐるぐる回るように浴衣や法被を着た人をはじめとした近所の人たちが
楽しそうに踊っていた。

僕は壊滅的に踊りのセンスがないので、
いつもお揃いの浴衣を着た踊りの上手い大人達(近所の何かの会の人?)に手取り足取り教えてもらいながら、
滑稽な動きで踊っていた。



ずっと同じエリアに住んでいたため、
実は大人になるまで気づかなかったのだが、
盆踊りで踊る曲は地域によって全然違う。

だから人によって「盆踊り」と聞いて頭に思い浮かぶ曲はきっとかなり違うのだろう。

僕が盆踊りと聞いて思い浮かぶ曲は、
「名古屋ばやし」「大名古屋音頭」と
「炭坑節」だ。
これらは僕の近所の盆踊りで毎年必ず流れていた曲。
なぜこのラインナップに福岡の「炭坑節」が混ざっているのかはよくわからないけれど、あとの2曲は曲名からすでに地域のカラーが出ていて歌詞も確か名古屋弁だったと思う。

ちなみに僕の友人にどんな曲が思い浮かぶかと聞いたら、「ダンシングヒーロー」だと言われた。
本当?


僕が今住んでいるところでも、
来週末に盆踊りが開催されるようだ。

今の場所に住むようになってからは、
盆踊りに参加したことはない。
けれど毎年盆踊りの日の夜には、
ベランダに出て冷たい飲み物を飲みながら、マンションの間からわずかに見える会場の提灯の明かりと、響いてくる音楽や太鼓の音を聴くのを楽しみにしている。

それを聴くと、
あの幻想的な公園の情景が思い浮かび、
「あぁ夏だなぁ」としみじみ感じるのだ。


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