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【地方競馬研究】2023年 最も走った競走馬


地方競馬研究#2

本ノートでは2023年地方競馬において最もたくさんの競争に出走した競走馬たちを紹介していきます。

地方競馬では一般的に

月2走以上出走すれば、出走手当と預託費とでトントンになる

とよく言われます。

確かに地方競馬の馬柱を見ると2週間から3週間スパンで出走する競走馬や、超高齢でも出走する競走馬などがいますよね。

りさママ生誕記念特別(netkeiba)より
9着にあの「シベリアンタイガー」がいる

たとえば中央競馬の迷実況でおなじみ「シベリアンタイガー」が13歳の2024年でも高知競馬で元気に出走しています。

そもそも何頭が年24走以上できるのか?

まずは年24走、つまり平均月2走以上する競走馬の割合を見ていきましょう。

年24走以上出走した競走馬の割合(2023) 筆者作成

データの通り基本的に月24走以上できる競走馬は超少数派です。

具体的に2.7%というのがどのくらいの割合なのか、上手な例は思いつきませんが実数としては
・2023年の出走頭数:8,605頭
・年24走以上の出走:223頭
なので、かなり限られたエリートであることが分かります。

競馬場ごとに傾向があるか

つづいて競馬場別の割合を見ていきましょう。

24走以上出走した競走馬の所属内訳(2023) 筆者作成

競馬場としては愛知や高知といったエリアが出走頻度が高く、南関東は少ないという、イメージ通りの結果になっているかと思います。

やはり南関東では馬の入れ替えが激しく、数を使わないといけないような競走馬は周辺の競馬場に行くようなシステムが出来上がっているようです。

高知などは出走手当と維持費の割合がちょうど良いという噂もあるので、そういった意味合いで利用しやすい競馬場なのかもしれません。

2023年最も走った競走馬

出走馬TOP2(2023) 筆者作成
メイクマイチョイス血統表 筆者作成

2023年に最も走った競走馬は38戦出走の岩手のメイクマイチョイスでした。38戦というのは月平均3.17走となり、毎月3回出走していることになります。

また驚くべきはその年齢で38戦走ったのは10歳の時。
これまでのキャリアで積み重ねてきた記録は190戦6勝(2024/06/11時点)と、もしかしたら今年中に大台の200戦を突破するかもしれません。

血統的には父アサクサキングスに母トップチョイスという配合。
アサクサキングスは07年の菊花賞勝ち馬で阪神大賞典などにも勝利しており、ステイヤーとして活躍していました。

産駒にはアイファーキングズハッシュゴーゴーとどちらかというとダートよりの産駒を出しており、産駒傾向としてもマイル以上の距離を得意とする種牡馬です。

母トップチョイスは現役時代は未勝利も、母となってからは様々な種牡馬と交配され、生まれてきた競走馬10頭のうち9頭は地方もしくは中央で勝利を挙げる優秀な母馬になります。

兄弟馬としてテイクユアチョイスがおり、多いデビューの後3戦目のOP桃花賞競争にてOP戦勝利をおさめています。
直近ではイスラボニータとの22年産駒が2023年オータムセールで400万円で落札されています。

ハバネロ血統表 筆者作成

つづいて2位は年34走のハバネロとなります。
こちらも岩手競馬所属です。
また34走も走ったのは7歳時というタフネスぶり。
後述しますが岩手競馬は高齢馬が比較的活躍しやすい土壌なのか、30走以上走っている競走馬の多くは岩手競馬所属且つ高齢馬となっております

ハバネロは父トーセンラー、母スパイシーソースとなっており、叔父にベルモントSやプリークネスS勝ちのタバスコキャットがいる名血です。
母スパイシーソースの産駒は中央での勝ち馬はいませんが、地方で複数勝上げる産駒ないしは孫産駒がおり

子供
パープルパルピナ(父タイキシャトル):106戦9勝
ビレッジキング(父キングヘイロー):62戦5勝


プリンセスキラリン(父キングヘイロー):49戦9勝
クラウンロベルト(父ブライアンズタイム):33戦8勝
マジョレット(父シンボリクリスエス):75戦8勝

と出走数も勝利数も稼ぐ地方競馬向きの牝系となっております。

直近では半妹にあたるソウメイ(父ビーチパトロール)がすでに佐賀競馬場でデビューしています。

出走数の多い競走馬(2023) 筆者作成

その他の出走数の多い競走馬は上記画像の通りになります。
このうちエスケーオーカンは高知所属、ピュアステートは金沢所属ですが、残りはすべて岩手所属となっており、岩手の高齢化が心配されます(笑)

筆者集計環境下のスクリーンショット
岩手が上位に並び、下の方からは愛知が怒涛の勢いで続く

性別で差は生まれるか?

24走以上出走した競走馬の性別内訳(2023) 筆者作成

上位陣が牝馬が多かったので差が出てくるかと期待しましたが思ったほど牝馬と牡馬とで差が無いようです。
強いて言えば騙馬は少ない傾向があると言えるでしょうか。

種牡馬から見た傾向

続いて種牡馬の傾向から確認していきます。
一口馬主でもPOGでも、その血統から活躍しそうな馬を探し出すのは基本戦略となります。
割合が2.7%しかいない、年24走以上できるモーレツ競走馬も血統の観点から絞り込んでいけるかもしれません。

平均出走回数の多い種牡馬(2023) 筆者作成

2023年に出走した競走馬の平均出走回数を調べてみました。
なお数のバラつきを抑えるために地方競馬に30頭以上登録されている種牡馬に限っています。

1位は1頭当たり年平均15走しているノヴェリストになります。
平均15走なので平均値でも月平均1走以上してくれています。
ノヴェリストは現役時代にキングジョージ6世&QESやバーデン大賞などGIを4勝している超名馬で、日本での産駒としては22年のアルゼンチン共和国杯勝ち馬のブレークアップや、19年の京成杯勝ち馬で最近障害競走を走ったラストドラフトなどが挙げられます。

地方競馬でノヴェリスト産駒で最も出走数が多いのは全体順位3位の年32走したブライテストダークになります。

ブライテストダーク血統表 筆者作成

ブライテストダーク自体は中央競馬時代は芝1800mを中心に使われておりましたが7戦未勝利で地方転厩。
そのあとは浦和→岩手と1回の転厩を挟むものの、コンスタントに競争に使われています。

平均出走数2位は2頭同着でトーセンジョーダンネオユニヴァースになります。

トーセンジョーダンは出走数の多い産駒が多いイメージがあったのですが、ネオユニヴァースはかなり意外な結果となりました。
トーセンジョーダンについてはこちらの動画でも言及されているようです。

ネオユニヴァースは意外な感じがしましたので2022年の成績も確認しましょう。

平均出走回数の多い種牡馬(2022) 筆者作成

2022年と2023年の両方を見ると、下記の種牡馬はタフネスな子供を産む可能性が高いかもしれません。
・トーセンジョーダン
ロージズインメイ
・ノヴェリスト
アイルハヴアナザー

ただし上記種牡馬についてnetkeiba OWNERS-βで直近の種付け料などを確認すると、
・トーセンジョーダン:Private
・ロージズインメイ:種付7頭(2023)
・ノヴェリスト:種付12頭(2023)
・アイルハヴアナザー:帰国
と日本では十分な子孫に恵まれておらず、庭先やセリなどで手に入れることは今後難しいかもしれません。
狙うとしたら楽天サラブレッドオークションサタデーオークションでの出品でしょうか。

まとめ

まとめ

基本的には年24走以上するような競走馬を手に入れるのは難しい。
ただ血統的にはノヴェリストやトーセンジョーダンといった種牡馬の産駒であれば平均出走数は稼げる傾向にあるようです。

また競馬場選択もおそらく重要で、岩手や高知、愛知といったエリアが厩舎ノウハウもあり、出走手当狙いで保持するにはお勧めしやすい地域になりそうです。


引き続き、興味に思ったことを調べていきますので、フォロー、♥などよろしくお願いいたします。

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