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筋かいと構造用合板どちらが強いのか?

一般の方からすると、耐力壁は「筋かい」というイメージが未だに強いです。耐震補強のときに、筋かいを使わないと不安になる方がいらっしゃいます。通し柱と同じようにただのイメージなのでしょうか?

壁倍率で比較

筋かいには種類がいくつかあり、現在主流になっている45㎜厚の筋かいは2倍という壁倍率が定められています。

現在の新築で主流となっているのは、外壁に構造用合板を貼り付ける工法です。所定の釘ピッチを守るなどルールがありますが、2.5倍という壁倍率が定められています。釘ピッチなどを狭めると更に倍率が上げられるルールがあります。それを適用すると3.7倍になります。

壁倍率は大きいほど壁は強いので、筋かいより構造用合板のほうが強いということになりますね。

筋かいは、たすき掛けにして倍率を倍にすることができます。その場合は4倍です。たすき掛けにした場合は、構造用合板より強いことになります。

壁倍率の比較
 2倍(筋かい)<2.5倍(構造用合板)<3.7倍(構造用合板)<4倍(筋かいたすき掛け)

耐震診断の壁基準耐力で比較

実は、耐震診断では、壁の強さが変わってきます。耐震診断の場合、長期的視点が減り、純粋に地震について強いのか?が重視されてきます。そのため、壁倍率ではなく「壁基準耐力」という指標を使います。

筋かいの、壁基準耐力は3.2kN/mです。タスキがけだと6.4kN/mです。kN/mは強さの単位です。壁倍率と同様、大きい方が強いです。

構造用合板の壁基準耐力は5.2kN/mです。壁倍率と同様、筋かいより強いが、たすき掛けより弱いですが、なんとなく構造用合板が有利になっているような気がしませんか?筋かいは、地震に対して抜けやすいという欠点があります。筋かい金物という金物でとめてはいますが、それだけで完全に欠点克服というわけにはいきません。大地震だけ想定して基準を作っている耐震診断では若干不利と判定されています。その点構造用合板は、釘を均等にたくさん打ち付けていて、そのような欠点が少ないです。なので有利なのです。もっともきちんとした施工をしないと駄目なのは言うまでも無く、きちんと釘を打たなければ、想定する強さにはなりません。

先ほど3.7倍と評価された高倍率の構造用合板は、壁基準耐力ではどれくらいになるのでしょうか?近い仕様(CN50釘@75mm)では、大臣認定のものがありますが、こちらは壁基準耐力が7.4kN/mとなり、筋かいダブルを上回ります。(大臣認定の壁倍率は3.8倍

そんなわけで、筋かいと構造用合板どちらが強いかは「場合による」が正解です(・・・)。単体では筋かいのほうが構造用合板のほうが強いとも居ますが、筋かい単体の場合は強さに方向性があり、圧縮には強く引張りには弱いという特性があります。よって純粋に筋かいのほうが強いともいえないのが現状です。

特性も違いますので、どちらか片方のみ使うというよりは、適材適所で使っていくことが重要だと思います。壁倍率は強ければ良いと思われがちですが、強い代償として、強い金物を使わなければなりません。構造用合板にしろ筋かいにしろ単体では威力を発揮しにくく、基礎や金物の補強が不可欠です。またバランスも重要になります。常に一番強いものを使っておけばよいわけではありません。





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