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耐震等級3を信じるな

おはようございます。DJしろなまずです。
私の事務所では、構造計算で耐震等級3を取得することが多いのですが、別にお客様に強く推奨しているわけではありません。取得に関してはお客様の任意です。ただ事前に無断で構造計算してしまう癖があるので、できあがったら耐震等級3をクリアした建物だった、なんてことはよくあります。

しかし、この耐震等級3はくせ者です。そもそも「建築基準法(耐震等級1)の1.5倍の強さ」という、一見すごい基準だが、あまりにも基準があいまいです。そもそも建築基準法の基準が曖昧ですし、なぜ1.5倍なのかも意味不明。そして、同じ耐震等級3でも、求める方法で大幅に耐震性が異なる・・・こんな基準を信じられますか?おまけに「なんちゃって耐震等級3」とか「耐震等級3相当」とか意味不明を超える不正に近い表現も横行して、耐震等級3の言葉が一人歩きしています。

2025年に建築基準法が改正され、壁量基準が適正化されます。あえて強化とは書きません。建物の特性に合わせて、従来よりも適切に建物を評価できるようになります。さすがに長年検討してきただけあって、なかなかよい落とし所ではないかと感じます。建築基準法は「最低の基準」を定めるわけだから、性能が高すぎても問題なのです。そこでその上位のグレードが耐震等級2や3なのですが、これが十分なのかどうか、誰もわかりません。よくわからないものの1.25倍と1.5倍ってだけですからねえ・・・。

設計者による個人差はともかく、せめて基準だけは明確にしてほしかったです。品確法と構造計算の方法だと、明らかに構造計算による方法のほうが強くなるような複数のルールはあってはならないと思います。

また、耐震等級3だから必ず地震で倒れないという保証もないのです。個人的な感想ですが、整形の木造2階建てなら、構造計算による手法で耐震等級2を取得できていれば、あまり倒壊の心配をする必要はないかな?と過去の地震の倒壊データをみていると感じます。(地盤状況によって異なるが)。

 木造2階建てで耐震等級2しか確保できないプランだったら、形状的に不安な建物の場合が多く、ごく普通の耐震等級2を取得できる建物だったら、だいたい耐震等級3も取得できてしまうのも事実です。しかも建設コストはほとんど変わりません。ちょっとのことで、2か3か・・・という場合は迷わず3を選ぶべきかと。もちろん構造計算を行った場合の比較ですが・・・。矛盾していることを言っているように感じるかもしれませんが、現状、耐震性を比較・評価出来る指標は耐震等級しかないので、仕方ありません。絶対耐震等級3がいい、といっているわけではなく、できるんだったら、できるだけ耐震性を上げる方が良い、と言っているのです。

この考えは、壁量計算の場合も同様で、できるだけ安全に配慮する考え方は間違えではないです。指標ばかりにとらわれず、形状なども含めて安心な建物を増やしていきたいものです。


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