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HOUSE-DOCの部分開口に注意

HOUSE-DOCには、部分開口という便利な機能があり、これを使うと柱がない壁などの表現の幅が広がります。上左は1820の間隔の間に柱がないけど、壁が910あるよ、の表現です。上右は、柱が真ん中にあり、上側が開口、下側が壁となっています。この2つを混同している人がいるので注意が必要です。

このタイプは、入力して差を見るためには建物として計算しなければならないので、実験していない人が多いかと思います。

はい。全ての面をg(構造用パネル)で囲みました。違うのは1通りは、部分開口で入力、3通りは柱をいれて分けて入力です。この時点で剛心が右にずれていますね。つまり左側より右側が強いということになります。普通に考えれば当たり前ですが、入力したら診断結果が出るよ、的な意識が低い診断者なら間違える可能性はあるかと。

では、1通りの計算結果を見てみましょう。1a-1Aと1C-1Eは910の基準耐力5の壁。もし1A-1Cも壁部分が910なので、前の2つの壁と耐力が同じになるはずです。しかし・・・1A-1Cは開口タイプはは掃きだしになっております。1820全て掃き出しとなります。少なくとも基準耐力5の耐力とは見なされていませんね。

では、3通りを見てみましょう。3つの910の壁はそのまま評価。垂れ壁は垂れ壁として評価されます。合計してみればわかりますが1通りと3通りで耐力は異なりますね。

なんでこんな複雑なモデルにしたかというと、この部分開口は、壁として認識できないからです。

単純なこのモデルで同じことをやってみましょう。剛心の緑が3通り上にありますね。では計算結果を見てみましょう。

はい。1通りはまったく評価されていません。垂れ壁等は、隣接した無開口壁(有耐力)がないと評価できない耐震診断のルールをHOUSE-DOCが適用したからです。なので、部分開口は壁として評価されていないことが、この例でもわかりますね。

では、耐震診断のルール通り、この部分開口に隣接する耐力壁を取りつけてみました。これなら垂れ壁(部分開口)は評価されます。緑印が若干左に偏っています。これは部分開口が評価された証拠です。

はい。計算書を見るとこのとおり1A-1Cが掃き出し開口として評価されていますね。

最後に意地悪で、無開口壁の耐力がないものを入れてみます。マニュアル通りなら掃き出しは評価されません。

はい。全く評価されなくなりました。

そんなに大きなことではない、と感じるかもしれませんが、多くの要素を集計する耐震診断では、積み重なると大きな差になります。こういう部分をしっかり評価していくことが木造耐震診断では重要だと思います。



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