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木造耐震診断ソフトの選び方

これって、昔、某雑誌に耐震診断ソフトの記事を依頼されて書いたとき、修正が反映されていなくて恥かかされた記憶があって(それから雑誌の記事依頼はすべて断っている)トラウマになっているのですが、今では自分も至らなかったと反省しています。

さて、木造耐震診断ソフトの選び方ですが、今回はソフト名は出しません。次の点と価格を考えて選べば実務に支障がないと思います。

・一般診断法だけでなく精密診断法1ができること

 これは必須だと思います。診断では一般診断で十分だと思いますが、補強設計では極めて厳しいです。リフォーム屋さんなどで外装の仕事が取りやすくしたい!とかで一般診断法で補強やリフォーム案を作るというのは、営業戦略上ありだと思いますが、ある程度使い込むと補強にお金がかかって、どうしたものか?と逆に悩むことも増えます。最低でも精密診断法1ができるソフトを選んだほうが良いです。

・その地域、団体などで指定のソフトであること

 よく○○の団体は、そのソフト限定である、などということがあります。団体に入る前に他のソフトを買ってしまい困ったことになって相談に来る方が数名いらっしゃいました。やはり所属している地域、団体が推奨しているものが良いと思います。

・市販ソフトで事業の継続性に一応信頼がおけるところのソフトであること

どんな大企業だって、事業撤退や倒産はありうることなので、絶対はありません。しかし個人でフリーソフトのような形式で作っているもののほうが、なくなる確率は高くなります。また長らくバージョンアップされていないもの、急に方針が変わってしまったものなど注意が必要です。長く使う物ですから、同じソフトを使い続けたいものです。

・金物(柱頭柱脚)算出できるもの

 未だオプション扱いの会社があるのですが、耐震補強に金物算出(N値計算法)がないものを導入するのはやめたほうがよいです。後で買うから・・・といってオプションだけ買わないのも論外です。耐震補強は壁を増やすだけでは駄目で、金物選定が重要です。ここを外してはなりません。オプションの場合も必ずセットで購入しましょう。

・日本建築防災協会の木造住宅耐震診断プログラム評価を受けているもの

 自治体などの補助金対象の耐震診断を行う場合、日本建築防災協会(通称 建防協)の評価のあるソフトが選ばれやすいです。指定している場合もあります。信頼ある建防協の評価プログラムのほうが長く使えると思います。というのも、評価は更新制で、更新するのにも結構なお金と手間がかかるからです。それを続けることこそ、継続していく意志が強いということを感じます。

 使い勝手や機能も大事では?とよく質問を受けますが、木造の耐震診断くらい入力が少ないものは、どれを使ったってそれほど入力に窮したり、機能不足に悩まされたりしないものです。図面下図、振動アニメ、豊富な入力もモード、精密診断法2対応、Wallstat対応、特殊な金物対応、補強案作成補助・・・など、機能があっても意外と使っていない人が多いようです。耐震診断や補強はスピード命。そのスピードもどのソフトを使ったって、大きく変わるものではありません。使い慣れればどれでも良いな、と感じるはずです。それ以上に詳細なことをやろうと思うと、結局ソフトではなく、自分の手計算などの技量のほうが大切になります。

私も今まで10本以上木造耐震診断ソフトを触ってきましたが、これは駄目だな~というものはわずかでした。なので上記に気をつけつつ、導入しましょう。


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