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フロッキン狭小壁

 木造住宅を設計していると、耐力壁が邪魔で開口部(窓)を広く取れないなと悩む事が多いです。ビルトインガレージも同様です。木造の耐力壁は基本的に90㎝(面材なら60㎝)を基本としているので、結構壁が大きくなります。狭小住宅ならなおのことです。

 そこで、フロッキン狭小壁の登場です。ダイドーハントと栗山百造の狭小耐力壁製品で、比較的簡易に木造住宅に組み込むことができます。柱芯間の寸法は350㎜が可能であり、全幅455の狭小の耐力壁が実現するため、木造住宅で広い開口を作りやすくなります。もちろん耐力壁なので耐震性を損なわず開口を大きくできます。倍率も1階なら7倍相当、2階でも5倍相当確保できるのでプランの柔軟性が大幅にアップします。

 プレカットに組み込む形でのパッケージで販売されています。在来工法に対応しているため、採用の難易度が低いです。ルールも比較的明瞭で、ユーザー登録なしに施工マニュアルもダウンロードできるなど、設計しやすいです。ただし4号特例の壁量計算では設計は不可で、基本的に許容応力度計算を行うことが必要です。

 例として、木造構造計算ソフトHOUSE-ST1での入力方法を紹介します。

 まず、グリッドを調整して、入力したい位置にフロッキン狭小壁が入る幅を確保します。

芯芯350のグリッドを確保(これだ柱外面間は455となります)

 耐力壁を入力します。壁の配置コマンドで、
①壁倍率にチェックを入れ、
②フロッキン狭小壁の耐力表を見て「壁倍率換算参考値」の倍率を入力します。
③その次に、みかけ変形角を1/120にします。

換算壁倍率7倍(中柱標準納まりの2300以上2600以下の場合の例)


ダイアログのOKをクリックし、壁を配置します。

壁を入れます。7倍の耐力壁の入力となります。

つぎに柱を入れます。

柱を入れます。実際に使う柱を入力します。

次に、柱のβ値を入力します。柱頭柱脚の金物算定に影響が出てくるので使用方法は慎重に!普段使わない「拘束β」のコマンドで、フロッキン狭小壁の耐力表の「検討用壁倍率換算参考値(柱頭柱脚金物算定用)」より納まりの種類、柱寸法と壁高さから、βを調べて入力します。表の倍率(今回は105角柱で中柱型標準納まりで壁高さが2500なので8.1倍)を入力した壁倍率(今回は7倍)で割って、出隅でない柱の曲げ戻し係数0.5(出隅は0.8)を乗じて算出します。(8.1倍÷7倍)×0.5=0.58(切り上げて0.6)。

この例ではX方向配置なのでX方向に0.6を加算しています

これで本当に必要な金物が算出されます。入力が手軽ですね。他社の狭小壁は2階で利用できないものが多いのですが、フロッキン狭小壁は2階建ての2階でも条件付で利用できます!!利用できると非常に設計の幅が広がりますので、是非、構造計算ソフトを買って、構造計算をマスターして、安全で開口部の広い建物の設計に挑戦してみてください!!

 

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