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木造の耐風基準の変遷

木造の耐震基準は新耐震・旧耐震など、興味が多い人が多いので、知っている人が多いと思います。しかし木造の壁量は地震だけで決まるわけではありません。風圧力も重要です。特に細長い建物は、地震では無く風で壁量が決まることがあります。

木造住宅の風圧力での壁量を算出する場合、X方向とY方向の2方向の見附面積に、係数をかけて必要壁量を求めます。現在の基準は50㎝/㎡(0.5m/㎡)です。見附面積が10㎡であれば、5mとなります。各階共通ですが、1階は、2階部分の見附面積も加算します。

では、いつからこの規定ができたのでしょうか?ネットや文献の情報によると、壁量規定ができた当初(昭和25年)には、存在していませんでした。1971年(昭和46年)の改定で、風圧力に対し、見附面積に応じた必要壁量の規定が定められた、とありますので、この時期なのでしょう。しかしネット上では、その壁量がどれくらいなのか?現行と同じなのか?書いてない場合がほとんどです。そこで1973年版の木構造設計規準・同解説を紐解くと、P6にありました。この部分の注に施行令第46条3項参照とあるので、これで間違いないでしょう。

平屋及び2階建ての2階 30(50)
2階建ての1階  45(50)
※括弧内は現行の数字

です。やはり新耐震以前は数字が緩かったようです。しかも規準には、海岸に面するなど風が強い敷地にある場合は、1.5倍をかけ、市街地内など風当たりが弱い敷地は、2/3倍にするといった内容が書かれています。現在の施行令でも、50を超え75以下の範囲で特定行政庁が定められるので、1.5倍は頷けますね。2/3は大丈夫か??とも思えますが、あくまで昔のことです。

現在は、台風の上陸も増え、風の影響も増えてきています。地震だけでなく風を踏まえた設計をしていきたいものです。


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