【ショート】夜光おみくじ #毎週ショートショートnote
ちかちかと星の瞬く暗い夜。
スーツ姿の男二人が人のまばらなホームの片隅にぼんやりと立ち尽くしていた。
「これがあの銀河鉄道・・・」
メガネの田中がつぶやくと、ツレの山田がこわごわと田中の顔を覗き込んだ。
「俺らやっぱり、あのまま死んだの?」
「たぶんな」
そんな二人の前に帽子を目深にかぶった怪しげな男が現れて、小さな木箱を差し出した。
「夜光おみくじ、買わんかね?」
折り畳まれた白い紙片を田中がそっとひらく。
するとおみくじはポッと燃え上がり、暗闇の中にゆらゆらと文字を浮かび上がらせた。
「おおっ」
「なるほど、こういう仕組みか!」
続いて山田のおみくじにも同じように火がついた。
「地獄!?? 嘘だろ、なんでだよッッ」
慌てふためく山田の目の前に再び文字が浮かびあがる。
そういえば生前からイジられやすいヤツだった。
二人をのせた機関車は銀河の彼方へふわりと消えた。
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