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マンション2次取得の話①〜タイミング

2016年に1次取得した月島のマンションを売却した話は以前のnoteの記事で書いたけど、今回は2次取得で新居を購入するに至った経緯を書いてみようと思う。

●購入の決め手

「2回目のマンション購入「経験」をしてみたい」という、一般の人には到底理解出来ないような理由で広域で新築・中古問わず物色していたのだが、そのなかで新居を購入する決め手となったのは単純に

周辺の中古相場よりも安かった
周辺の築浅中古物件よりも条件が良かった

ということ。非常に味気ない話ではある。
ところで、周辺の築浅中古物件より条件の良い新築マンションが周辺の中古相場より安いなんていう歪みが生じ得るのか、疑問に思う人も多いと思う。これは新居が世に出るタイミングが非常に良かったということに尽きる。

●マンション契約のタイミング

僕が新居を契約したのは2020年6月、まさに新型コロナウイルス感染拡大に伴う第1回目の緊急事態宣言が解除されたタイミングだった。順次各デベロッパーが新築マンションのMRを再オープン。このころは新型コロナウイルスの感染拡大の影響が読めずに世の中が不安に包まれる中、企業は感染拡大防止策としてテレワークを導入し始めていた。そんな混乱の中で、世間では引き渡しが数年先の新築マンションを購入するという空気感ではまるでなかった。
僕自身は逆に以下のような考えのもと、これをチャンスと捉えていた。

・平常時は高額で購入対象とならないようなエリアの物件が、割安な価格で世に出てくるのではないか

・今の状況は一過性。新型コロナウイルスが落ち着いた数年後は市況は持ち直すのではないか

この市況が悪いタイミングで割安な価格で契約ができ、契約から入居までの数年間で市況が回復し、引渡し時は平常時に戻っているという目論見。
完全に頭のおかしい人が考えるような仮説を立て、マンション購入へ向け前のめりとなっていた。タイムラグが大きい新築マンションを仕込むには絶好のタイミングなのではないかと考えたのである。

●マンションの選定基準の整理

この市況が悪い中で新築マンションを平常時よりも弱めな価格帯で販売するデベロッパーが出てくるだろうと想定して、以下の観点で情報を整理することにした。

・事業ポートフォリオのうち新築マンション分譲事業の比率が高いデベロッパーを洗い出す

めちゃくちゃザックリした考え方だが、マンション分譲事業は他業種との比較で商品1単位毎の単価が非常に大きく、販売個数が非常に少ない事業だ。景気が良い時は1個売るだけで大きな利益を得ることが出来るが、景気が悪い時は極端な話月間売上ゼロみたいなことが起こり得る事業である。そうした事業特性であるが故、景気が悪く売上が立たなくなると経常的な収入が無くなり、目先の資金繰りが逼迫する。最悪、手元の現金が無くなり倒産してしまう。まさにリーマンショック時に中小のマンションデベロッパーが前期黒字だった(過去最高益を計上した企業もあった?)にも関わらず資金繰りで行き詰ったパターンである。
これは新築マンションを販売しているすべてのデベロッパーに該当する話ではない。デベロッパーの中には賃貸マンションやオフィスビル、商業ビルを開発し所有することで賃貸収入や各種事業収入を得ている会社もある。このような会社は不況により新築マンションが多少売れなくなっても経常的な収入が入ってくるため、急激に資金繰りが逼迫することはない。
よって新築マンション分譲事業に偏っているデベロッパーが資金繰りの逼迫を懸念し、手持ちの新築マンションを弱気な価格で販売するのではないかと考えた。

・竣工後販売に対しネガティブなデベロッパーを洗い出す

新築マンション販売に係る企業のスタンスとしての話であるが、デベロッパーによって性格が異なる。例えば住友不動産は自他共に認める、竣工後販売を「是」とするデベロッパー。竣工後のマンションに棟内モデルルームを開設し、竣工前よりも値上げして販売することを想定している。だが一般的には日本のデベロッパーの新築マンションの販売スタンスは全戸竣工前完売である。この竣工前完売を前提としているデベロッパーの中で特に竣工後販売にネガティブなデベロッパーが販売するマンションに狙いをつけたいと考えた。

・商業の強い、住みたい街ランキングに毎年登場するような街に着目する

新型コロナウイルス感染拡大により、従来の商業地域は大きなダメージを負った。特に個人経営の飲食店への影響は甚大で、街の居酒屋の相次ぐ廃業や都心の商業ビルの飲食テナントの撤退は記憶に新しい。
また、テレワークの環境整備や不特定多数の人が密集した環境の回避といった状況の中で、従来の人気繁華街を持つエリアとその周辺は今後評価が下がり、一方で郊外の住環境が良好なエリアは見直しが入り評価が上がるのではないかという論調が増えていた。
しかし僕はこれには懐疑的で、たしかに一時的な見直しが入る可能性はあるが、中長期的な目線で考えると人口が減少していく中で郊外に分散していく未来が想像できない。恐らく、都心、郊外中核都市、地方中核都市に人口が集中するのではないかと思う。
従来からの人気エリアが不当な評価を受け、そういったエリアの新築マンションが弱気な価格で販売されるのではないかと考えた。

・1LDK、2LDKの住戸(実需寄りの効率的な住戸ではなく、嗜好性の高い住戸)に着目する

新型コロナウイルス感染拡大に起因するテレワーク環境整備に伴う需要で、自宅の中で仕事をするスペースを確保したいというニーズは飛躍的に増えたという。2LDKから3LDK、専有面積も70㎡から85㎡といったように。郊外の復権といった論調も出てきたりしていた。このようなニーズ、論調に対応するかのように、郊外や駅遠のファミリーマンションが多く世に出てくるようになる。デベロッパーからすると、これまでの都心寄り駅近物件に対しニーズが偏り過ぎていたために販売に困っていたであろう郊外物件を販売する絶好のマーケットが自然と形成された。今までは値下げしないと売れなかったのに、これからは強気の価格で販売しても売れる。
それに対し、都心寄りで販売される1LDK、2LDKで嗜好性の高い住戸は当面の環境では注目度が落ち、価格が据え置かれる、または弱気な価格で販売されると考えた。

次回では、上記のスタンスを取りながらどのように購入物件、住戸を選定したか書いてみようと思う。


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