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ハンコは本当に既得権益の遺産なだけなのか

最近盛り上がってるハンコの話について少し。
まず、私は押印廃止推進にどちらかと言えば賛成ですが、手放しで止めればいいとは思っていません。


それは、結論からいうと、ハンコが庶民の尊厳を陰で守っているところがあるからです。

法律的な手続きには、いろんなところでハンコが求められますが、内容によってハンコが要らなかったり、実印を求められないときもありますよね。
あれは、単純にいえば、手続きの重さによって、本人確認の必要性の度合いが変わるので、その中でなるべく利便性を高めるために、どうするか法律等で決められています。


そして、実は、一般の人が知らないところで、法律的な手続きは、本人確認がそれほど重要視されないものも割とあります。
それは、利便性や民事不介入などの点から、国民の良心を信頼して、こうなったと市民が言ってるんだから、本当にそうなのか確認をほとんどせずに、変えますという公的手続きも結構あるんです。

今の法律制度のルーツはほとんど欧米ですが、そこは契約と訴訟の社会です。そして、自己責任と事前予防の考えが強いです。
だから、人は起こることで悪くならないように予防が必要で、起こってしまったことには責任があります。

あなたが知らないところで誰かがやったことでも、あなたに悪い影響があれば、あなたは戦わなくてはいけません。
でも、日本にはそこを補うためにいろんな行政対応が実はあります。
そこで、重要視されてるのは実はハンコです。

ハンコは100均みたいなものでもそれぞれ印影が微妙に違います。もちろん筆跡でも本人確認はしますが、印影も重要な証拠です。役場の人は印影をものすごく慎重に登録印と精査しています。
ハンコを法律的な手続きで求められるのは、事後のトラブルを防いで、市民を守るための防波堤に事実上なっているからです。
ハンコって、ある意味で言えば、役場に登録して、ちっちゃい棒を家で大切に保管さえしていれば、自分の権利が法的に守られる、すごい制度なんですよね。

電子署名があるじゃないか。
確かにそうですが、実際に電子署名やられたことある人どのくらいいるでしょうか。一生に何回かやるかもしれない手続きに、高い設備や面倒な手順を踏んでオンライン申請するなら、いっそ役場に行ってハンコをつけばいいんでしょという人をたくさんみてきました。

これはこれで問題ですし、これから段々、整備されていくでしょうが、気になるのは、ハンコがなくなるデメリットの方です。
マスコミに煽られて既得権益の負の側面だけを見ないことです。続いていることには利点があるものです。


少しと書きながら、また長くややこしく書いてしまいました。雑感でした。

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