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4人(1人)協力プレイはなぜ生まれたのか RTA in Japan Winter 2022で星のカービィ Wiiを走った経緯

やり切りました…。
自分でも完璧な成果が出せたと思っています。
本記事では、星のカービィ Wii(以下、本作)のRTAを始めてから本番を終えるまでの活動を振り返ります。
お気持ちもわりと含まれてるので、苦手な方はご注意ください。

本作のRTAはソロマルチで性質が大きく異なります。
ソロはWiiリモコンを1つだけ操作し、マルチはWiiリモコンを1人で2~4個操作します。
ソロは1P1C、マルチは1P4C(Wiiリモコンを4個使う場合)とも言いますね。
複数人で操作するのは別のカテゴリーになるため、ここでは触れないことにします。

自己紹介

カービィシリーズのRTAをメインに活動しているRTA走者です。
カービィRTAへの情熱は誰にも負けないと自負しています。
YouTubeに解説動画を上げているほか、RTAの記録狙いや練習の様子をTwitchで配信しています。
YouTube https://www.youtube.com/@shirokirby
Twitch https://www.twitch.tv/shirokirby

ソロの時代

2017年

12月頃、星のカービィ ロボボプラネットのAny%に取り組んでいました。
ロボボで当時世界記録を持っていたよっしーさんがRTA in Japan 2でWiiのAny%を走られると知り、リアルタイムで見たかは覚えてませんが視聴しました。
本作のRTAをしっかりと見たのは多分この時が最初だと思います。
よっしーさんは複数のカービィ作品で速いタイムを出していた、カービィRTAの先駆者でした。

2018年

5月に星のカービィ トリプルデラックスのAny%のゆっくり解説動画を投稿し終え、その後本作の100%に取り組むことに決めました。
Any%ではなく100%からやることにした理由は、当時の100%のルートがほぼ全コピー能力を使用していて、見応えがあったからです。
その時の世界記録は海外勢のDemolition14さんが出した2時間41分17秒で、直撮りの動画ではありましたが、これを見た時に本作の100%の美しさに感動したのを覚えています。
これを解説動画にしたら絶対見応えある!とこの時から確信していました。

6月はひたすら練習し、7月に2時間41分38秒というタイムを出しました。
当時世界2位の記録で、この記録をゆっくり解説動画にしようとしました。
しかし、研究が足りず解説内容に行き詰まりを感じてしまったため、制作を断念しました。

その後はしばらく本作から離れ、カービィのすいこみ大作戦のAny%やトリデラの100%などを走っていました。
RiJをリアルタイムで追いかけ始めたのもこの時期でしたが、この時は応募する勇気がありませんでした。

2019年

カービィシリーズタイトルRTAリレーが4月に開催されることになりました。
本作のAny%が入っていたので、参加することにしました。
ここで初めてAny%に触れますが、100%の経験が活かされ、3月当時よっしーさんが持っていた1時間36分22秒の世界記録を更新し、1時間36分14秒を出すことができました。
その後100%にも復帰し、そのまま3月中に世界記録を2回更新して2時間38分22秒になりました。

この時点でカービィWiiRTAの王になったわけですが、1つの疑問が出てきます。
「カービィWiiの100%ってメインモードしかやらないから完全クリアじゃなくない?」
というわけで、モデレーターのDemolition14さんと話し合い、完全クリアRTAのカテゴリーを作りました。
メインモード100%、エクストラモード100%、格闘王への道クリア、真格闘王への道クリア、この4つを達成するとカービィマスターの称号が得られます。
カテゴリー名をKirby Masterとし、4月中に5回記録を塗り替えて、5時間44分6秒が世界記録となりました。
ちなみに5時間43分33秒という記録もありましたが、配信・録画環境の不調により音声がバグってしまったので残していません。
いわゆる幻の世界記録です。

ちなみに、Any%と100%では、WiiUダウンロード版/英語版が最速環境ですが、入手困難だったためWiiUダウンロード版/日本版でプレイしていました。
Kirby Masterではリセットボタンを使うため、Wiiディスク版/英語版が最速環境です。
これなら入手できたので、Kirby Masterは最速環境で走れました。

Kirby Masterにハマっている間にカービィリレーも開催されましたが、余裕で区間賞を取りました。

カービィリレー終了後は100%を詰め直し、6月までに世界記録を3回更新して2時間36分32秒になりました。
この時点で(ソロでの)更新余地が少なくなってきたので、ゆっくり解説動画を作ることにしました。
7月に動画を完成させ、YouTubeとニコニコ動画に投稿し、YouTubeの方は200万再生を超える人気動画となりました。

この時期にRTA in Japan Online 2019があったので、本作の100%を応募していました。
この時のRiJは、過去に採用されたゲームは採用されにくい時代だったので、Wiiは通りにくいだろうなとは思っていました。
この時は3カテゴリーまで応募できたので、トリプルデラックスのAny%とDededetourも応募していました。
そして採用されたのはトリプルデラックスのDededetourでした。
当時世界2位で、世界1位がおおいぬさんでしたので、おおいぬさんに解説をお願いして引き受けてくださいました。ありがとうございます!

RiJO2019後もう一度Kirby Masterをやり直し、幻の世界記録を本当の世界記録にするために頑張りました。
かなり苦戦しましたが、9月に5時間42分20秒というタイムで達成できました。
この記録を出した後、3年間のブランクが入りますが、この間にも他の走者と情報共有をしていたりしました。

RTA in Japan 2019は、星のカービィ 20周年スペシャルコレクションの全作リレーを走者7人集めて応募していましたが、落選しました。

マルチの時代

2020年前半

本作のRTAは走っていませんでしたが、世界記録の更新を目指している走者に更新案を共有していました。
この時点まで、誰もマルチプレイを使ってRTAを行っておらず、マルチプレイを縛るのは暗黙の了解となっていました。
一応、speedrun.comのルールにはマルチプレイの事は書かれていなかったので、カテゴリーが同じになるか分かれるかはともかく、使うことに問題はないだろうと思っていました。
そこで、マルチプレイによる更新案も出していきました。
ただ、2つ以上のコントローラーを同時に動かすのはやはり難しく、自由度が高すぎる故に、最適化を考えるのは困難でした。

8月頃、モデレーターであり、世界記録を狙う走者でもあるDemolition14さんから質問が来ました。
簡単に言うと、ソロとマルチでカテゴリーを同じにするべきか、分けるべきか、マルチカテゴリーを作らないべきか、ということでした。
この時僕はAny%、100%、Kirby Masterで世界記録を持っていたので、大きな権力がありました。
僕としては、マルチプレイの可能性を見てみたいという思いが強く、カテゴリーを分けてしまうとソロが中心となり、マルチが発展しないだろうと思っていたので、カテゴリーを同じにするべきと答えました。

また、この時期はカービィのエアライドのRTAに熱中しており、エアライドではマルチが許可されているおかげで、マルチプレイの色んな可能性に触れられた、というのも大きいです。
RTA in Japan Online 2020ではトリを務めたので、見てくださった方も多いと思います。
この時はWiiとエアライドとみんなのリズム天国で応募していて、採用されたのがこれでした。
解説は同カテゴリーで応募されていたTHEチキンさんにお願いして引き受けてくださいました。ありがとうございます!

結果として、speedrun.com上ではソロとマルチは同じカテゴリーとして扱われることになりました。
Controllersという変数が追加され、1がソロ、2+がマルチを示しています。
https://www.speedrun.com/krtdl
変数は、フィルターを使うことでどちらか1つだけを表示したりもできます。
以下のリンクは、Any%のソロの記録だけを表示したものです。
Any% (Main Mode) - Kirby's Return to Dream Land - speedrun.com
このように、ソロでやりたい人はソロだけの記録を表示して比較ができるようになっているので、この形で問題はないと思っています。

カービィシリーズは全作品好きなので、ゲームによってマルチが許可されたりされなかったりするのが、個人的にもやもやしており、できれば全作品許可されるように持っていきたいとも思っています。
もちろん、マルチはハードルが高く、これを中心にしてしまうとRTAの発展が阻害される可能性はあります。
ですが、本当にそのゲームが好きでRTAを走りたい人なら、リーダーボードの在り方に関係なくRTAを走ると思います。
何よりRTAはできるだけ早くクリアするというゲームプレイであり、1人マルチプレイは公式の意図に反するとも思わないので、走者の都合以外で禁止する理由がないのです。

カービィの生みの親である桜井さんがYouTubeに上げた動画に、「ズルを許す」という動画があるのですが、これはRTAにも言えると思います。
RTAのルールも厳密にし過ぎない方が面白いです。
もちろん色んな考え方があると思いますし、僕の考え方が正しいとも思ってません。そもそも正解はありませんからね。

2020年後半

8月にマルチが許可されると、マルチRTAの開拓がどんどん進みました。
Demolition14さんはこの戦法を使って、9月には僕が持っていた100%の世界記録を2時間35分53秒に塗り替えました。
この時大きかったのはレベル3(3-2~3-3)でトルネイドを活用するルートが開発されたことでしょう。
3-3の半魚人像マップでドラゴストームを2Pに持たせて、1Pはトルネイドで高速で進むというルートです。
これだけで数十秒は短縮できたんじゃないかと思います。
その後もいろいろ案は出ていたのですが、この辺りから追い切れなくなっています。

RTA in Japan 2020では、前回エアライドが採用されたので、エアライドの代わりにすいこみ大作戦を応募。他2ゲームは変わらずWiiとリズム天国です。
そして採用されたのはすいこみ大作戦でした。
また、みんなのリズム天国がバックアップに入りましたが、披露はできませんでした。
修行中ナキラさんとの並走で応募しましたが、多分彼のおかげで当選して、僕はおまけみたいな感じだったと思います。
彼はマジモンのすいこみ大作戦星人なので。
解説はおおいぬさんで、この解説のためにこのカテゴリーを走ってくださいました。ありがとうございます!

2021年

RTA in Japan Summer 2021では、すいこみ大作戦の代わりに20周年スペシャルコレクションで応募。他2ゲームは変わらずです。
そしてどれも落選してしまいましたが、おおいぬさんのロボボが当選し、トリデラとすいこみ大作戦の解説でお世話になっていたので、ロボボの解説をさせて頂きたいと思い、解説役を志願して受け入れてくださいました。
当時の参加レポートは記事を残しています。

RTA in Japan Winter 2021では、応募できるゲームが2ゲームに減ったので、Wiiと20周年の2つに絞りました。
結果は落選。今回は解説としての出番もありませんでした。
たまには休むのも良しですね。というか毎回のように出ているのが異常なんですけど。
また、この時からRiJの採用傾向として、過去に採用されたゲームがもう一度採用される事が増えました。

2022年~RiJW2022応募

2022年3月に海外勢のNippoさんがWiiで天井抜けバグが発見します。

さらに壁貫通カギすいこみも。

これにより、大幅なタイム短縮が可能になり、ちょっとした祭りになりました。
僕もこのバグを使ってAny%の5-5の中ボス2体スキップを見つけました。
やはりマルチRTAには可能性を色んな可能性を感じられますね。

その後、4月にNippoさんはWiiの100%の世界記録を更新し、2時間34分47秒というタイムになりました。
Nippoさんはマルチプレイの戦略をかなり多く取り入れ、かなりルートが変わってしまいました。
彼の記録動画のサムネイルが面白すぎるので貼っておきます。
この人がリモコン4つ合体させてる人です。
そう、この人が常識をぶっ壊しました。

RTA in Japan Summer 2022の頃になると、Wiiのブランク期間が長くなっており、応募してもまず通らないだろうというくらいになってきました(と勝手に思ってるだけですが)。
また、この時期は星のカービィ 夢の泉の物語星のカービィ ディスカバリーのRTAを新しく覚えたこともあり、Wiiの優先度は低くなっていました。
ディスカバリーは僕よりも速いポカさんが応募されていたので、僕は夢の泉とエアライドで応募しました。
エアライドはRiJO2020後もかなり頑張ったのでもう一度やりたいという思いでした。
結果はどちらも落選でしたが、ポカさんのディスカバリーが当選し、ポカさんからディスカバリーの解説依頼をされたので、引き受けさせて頂きました。

少しディスカバリー解説の反省なのですが、ディスカバリーはあまり記録を詰めずに終わってしまったので、どこがタイムを詰めるポイントなのかをあまり把握しておらず、RTA・走者の凄さを伝える点においてはイマイチになってしまいました。
ポカさんとは1時間程度の打ち合わせを1回行っただけなので、こちらからもう少しリハーサルなどをお願いしたりするべきでした。

ここまで解説を2回引き受けさせて頂いて確信したのですが、僕にとって一番良い解説は「走者の人が凄いと思える解説」をするという事に気づきました。
これはTwitterのタイムラインに流れてきたアジーンさんの解説論についての配信のクリップを見て、これだ!となりました。

RTA in Japan Winter 2022では、エアライドを諦めてWiiと夢の泉で応募することにしました。
エアライドもブランクが広がってきたので、難しいだろうと思っていました。
Wiiはもっとブランクがあったのですが、直近で頑張った夢の泉が通ると思い、Wiiはついでに応募する程度くらいにしておきました。
応募説明文はめちゃくちゃシンプルです。これでもどれかは通ると思ってました。

RTA in Japan Winter 2022への応募内容

Wiiデラックス発表

2022年9月13日、『星のカービィ Wii デラックス』が発表されました。
この時ディスカバリーのRTAを走ろうと思ってたのですが、完全にWiiに引き戻されました。
このタイミングでやらないと二度とWiiに戻らないかもしれない、やるならこのタイミングだ!という思いでWii復帰を決めました。
Any%と100%で自分の記録が抜かれていたので、世界記録の奪還と、Kirby Masterの記録をマルチで更新することを目標にしました。

まず、Any%と100%の最速環境である、WiiUダウンロード版/英語版を準備しました。
ただ、正規の方法では、海外版WiiUを用意する必要があり、数万円かかってしまいます。
なので、裏の方法を使って、日本版WiiUに英語版をぶちこみました。
やってることがグレーなので、RiJ本番では使っていません。

また、NippoさんがRTAの練習用MODを作っていて、これも導入しました。
めちゃくちゃ練習が捗りました。マジでありがとうございます。
今年で本作のRTAが劇的に発展したのは、このMODのおかげとも言えます。

その後、初めてマルチの戦略に触れることになるのですが、想像よりもはるかに難しかったです。
操作の暗記量も難易度も半端じゃありませんでした。
僕が自身過剰なのかもしれませんが、「RTAは人がやっているから頑張れば何でも真似できる」と考えていました。
ですがマルチプレイに関しては結構苦手分野で、独立した操作というのがなかなかできませんでした。
リモコン4つ合体は僕には無理だと判断し、2つずつ合体させることにしました。これならまだ何とかなると思いました。

まず、Any%から挑むことにしました。
ここで当人には申し訳ないのですが、今はspeedrun.comに登録されておらず、RTAを引退した方について触れさせて頂きます。
その方が当時の世界記録を持っていました。
その世界記録を抜くべく、新ルートを模索していきました。
もともとAny%では、マルチ戦略は一部のボス戦でしか使われていませんでしたが、僕がAny%に参入したことにより研究が進み、ほとんどのボス戦で使われるまでになりました。
また、一部の中ボス戦でも使うようになりました。
昔は移動も戦闘もウィングでOK!という感じだったのが、今は移動はウィングで戦闘はせーのでドン!という感じになりました。

10月中はずっとAny%の記録狙いをやっていました。
自己ベストを5回更新して1時間36分14秒から1時間32分42秒まで縮めました。
引退した方はこの間にも世界記録を縮めていて、1時間32分24秒という記録が出ていました。
競争相手がいたため、この時が一番モチベがありました。
ですが、10月末頃にその方は引退を宣言し、記録動画も消えてしまいました。
speedrun.comにも記録を載せないでほしいと言われたので、リーダーボード上の世界記録を僕が持つことになりました。
正直かなりショックな出来事で、モチベもかなり減ってしまいました。
その方からは引退の理由も聞き、お互いに納得はしています。
ですが、減ったモチベは戻ることがなく、本記事投稿時点でのリーダーボード上から閲覧できるAny%の世界記録は、幻の世界記録と戦っている時のもののままです。

10月の間だけでしたが、競争相手がいる中でのRTAはとても楽しかったです。
本当にありがとうございました!

Any%の世界記録を受け継いだ後、100%とKirby Masterの世界記録を更新することを目標に、練習を始めます。
ぶっちゃけこの目標はすぐに達成できそうでした。
ここでRiJでWiiの100%が当選しないと、多分もう誰も応募しないし、ただただ当選してほしいと思っていました。

RiJW2022当選~準備

当選時の心境と解説依頼

11月6日、RiJの当落発表が出ます。
Wii100%が当選してめちゃくちゃ嬉しかったです。
しかも、RiJの中では最長のカービィRTAになります。
Twitter上での反応は、かなり期待されていました。
去年テレビ朝日で放送されたテレビゲーム総選挙で、カービィWiiはカービィシリーズで最も人気が高い作品であることは分かっていたので、期待の声がたくさん上がるのは分かります。

“テレビゲーム総選挙”順位まとめ。TOP100公開! 1位は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』! ランキングをゲーム画面とともに紹介 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com (famitsu.com)

それだけでなく、shiroさんだから期待という声もかなりありました。
これは嬉しいのですが、shiroさんという名前が一人歩きしているとも感じます。

また、今回はカービィ作品だと8枠応募されており、Wiiの応募だけで3枠あったのですが、採用されたのは僕だけです。
Wii100%が採用された場合、長時間だからカービィは1枠になるだろうとは思っていました。
ですが、カービィ1枠しかないという事に対しての不満はわりと散見されました。
これが結構僕には刺さっていて、カービィ勢代表として本気でやらないといけないと思いました。

解説の決め方については、同カテゴリーの走者解説のプロの2択で考えていました。
僕はかなり一匹狼タイプなので、他走者との交流がかなり少ないです。
なので、友人感覚で解説を頼める人がいませんでした。
今回は同カテゴリーの走者で解説できそうな人がいなかったため、解説のプロを呼ぶ方向であらかじめ考えていました。
RTAイベント等で解説の請負をされている方は何人か知っていましたが、解説の考え方や実績を考えるとアジーンさんだろうなと思っていました。

僕がアジーンさんをはっきり認知し始めたのはRTA in Japan 2019のスーパーメトロイド辺りからだったと思います。
実はメトロイドのRTAを走っていたこともあった程度には、メトロイドシリーズが好きなので、この回は印象に残っていました。
あまりネタに走らない真面目な解説をされる方です。
この解説は僕の好みでもありました。
僕はRTAにあからさまなウケ狙いの(笑える)面白さは求めておらず、タイムを追求すると自然と生まれる(興味深い)面白さを求めるタイプです。
アジーンさんは間違いなくこの面白さを伝えてくれると確信していたので、アジーンさんに依頼することに決めました。
当選して翌日には連絡し、翌々日には快諾して頂けました。本当にありがとうございます!

11月13日、スケジュールが発表されます。
2日目の早朝ということで、おそらく視聴者が一番少ない時間帯です。
だいぶ不満の声がありましたが、僕は全時間参加可で出していたので、僕は悪くないです。
まあオンラインだから深夜早朝はほぼ確定でしたけど…。
僕にとっては深夜早朝はまだ走りやすい時間なので問題はなかったです。
仕事が繁盛期なのでオフラインは日帰り参加しかできず、負担もかなり大きいので、オフライン参加は諦めていました。夏ならワンチャンありますけど…。
あと手元カメラはオンラインだけの特権です。

また、寄付額投票の案を運営に出しておきました。
最初は寄付額チャレンジの話は出ていなかったので、ウルトラソードでとどめを刺す・刺さないの2択の投票を想定していました。

マルチ100%の完全習得

当選時点ではマルチ100%は習得できていませんでしたので、必死に練習しました。
幸い当選前から練習していたので、時間的には多少余裕がありました。
11月10日には、大きなミスをするも世界記録を2時間32分26秒に更新。
このタイミングで、Any%の走者であるおおいぬさんが、100%のルートを再構築してくれました。
いきなり更新案を大量に出されたので、正直めっちゃ大変でした。
非常に難しい技もあったので、そこは自分なりに難易度を落として、リスクとリターンが釣り合うようにルートを再調整していきました。

僕はかなり安定を取るタイプの走者で、新しい技を採用する時、その技で短縮できる量より失敗した時のタイムロスの量を見ます。
見栄えよりもタイムの期待値を重視する感じですね。
例えば、ディスカバリーのRTAでは、レオンガルフスキップという技があり、RTAでは必須級の技となっているように見えます。
実際は全くそんなことはなく、僕の100%の自己ベストではあえて採用していません。
理由はもちろん成功率が低いから、普通に倒した方が期待値が早いからです。

Wiiの100%でも見栄えする攻めルートはいっぱいありましたが、そこはタイムの期待値を考え、取捨選択をしていきました。
かなり大変でしたが、100%ルートの完成度は相当高くなりました。
更新案を考えてくださったおおいぬさん、本当にありがとうございます!

11月12日に、アジーンさんと最初の挨拶の通話をしました。
この時に、今後のスケジュールと、こういう解説にしたいという話をしました。
最初の通話をした後、アジーンさんが議事録を残して下さり、さすが解説のプロ…!と思いました。

新しくなったルートで、11月20日に世界記録を2時間27分44秒に更新。
大きなミスはまだありましたが、だいたい習得できたので、このタイミングで解説の原稿を書き始めることにしました。
ソロルートはゆっくり解説動画を作っていましたが、マルチルートの解説資料は全くない状態でしたので、ゼロから作る必要がありました。
原稿は1マップごとに整理し、色分けして重要度が分かるようにしました。
結構な負担になりましたが、このような原稿が作れるのは走者本人だけですので、この作業は妥協しませんでした。
せっかくなので、この解説の原稿は公開しておきます。

11月23日に、アジーンさんから初見プレイの進捗報告が来ました。
Wiiリモコンとセンサーバーが必須とは知らず、雨の中慌てて近くの駿河屋に買いに行ったそうです。申し訳ない…w
小学館の攻略本もその時に買ったそうです。

12月3日に世界記録を2時間25分48秒に更新。これが本記事投稿時点での世界記録です。
大きなミスもなく、ようやく100%を完全習得したと言ってもいいレベルになりました。
ソロの記録が2時間36分32秒なので、マルチで10分以上更新したことになります。

その翌日にアジーンさんから100%クリア報告が来ました。
その後、ゆっくり解説動画、世界記録動画、普段の配信を見て頂きました。
12月8日に書き上げた解説の原稿をアジーンさんに共有しました。

カービィマスターへの道

100%は満足できる記録を出せたので、次はKirby Masterです。
アジーンさんからも解説頂いていましたが、100%は副業です。
僕は完全クリアRTAにこだわっているので、100%はKirby Masterの区間の一部という認識をしています。
Twitterでもこういうまとめを出していますね。
この表を全部自分で埋めたいくらいには思っています。無理だけど。

カービィシリーズの完全クリアRTAまとめ

12月8日~21日にかけて、Twitch感謝祭というイベントがありました。
レイドで移動させた人数に応じて景品がもらえる、Twitchパートナー限定のイベントです。
これのおかげで、この時の配信モチベはかなり高かったです。
12月14日に、世界記録を5時間28分5秒に更新。
17日に5時間20分36秒、20日に5時間20分12秒を出しました。
20日が時間的に最後の記録狙いとなり、残念ながら5時間20分をギリギリ切れませんでしたが、ソロの5時間42分20秒という記録から22分も縮めることができました。
また、Twitch感謝祭の景品で、カニが貰えることになりました。
協力してくださった皆さんに感謝です。

Kirby Masterは100%を2周しないといけないので、イベント向きのカテゴリーではありませんが、やりがいはとてもありますね。
最後の格闘王区間は、特にやり応えがあって好きです。
格闘王単体のタイムアタックとは違い、安定性が求められるので、違った戦略が必要になります。
真格闘王への道をハンマーで行くかニンジャで行くかはかなり悩みどころだったりします。

アジーンさんとの最後の調整

12月17日、アジーンさんがロックマンのRTAイベントで解説をされていて、それが終わった後打ち合わせをしました。
この日から本番まではアジーンさんを独占できる状態でした。
今回のRiJ、アジーンさんに依頼した人が僕だけだったのは意外でしたね。

打ち合わせは世界記録の動画を画面共有しながら僕が解説する感じで行いました。
解説の原稿も共有していたので、重要じゃないところは飛ばしながら、細かいところは画面を止めながら話しました。
これがだいたい3時間。

12月19日に、RiJの寄付額投票・チャレンジが確定。
12月22日に、TwitterでRiJの告知ツイートを投稿。
目標額は前日の昼間に決めるとのことだったので、告知ツイートでは続報をお待ちください!という形で宣伝しました。

その日にリハーサル1回目も行いました。
この時はアジーンさんがちゃんと解説できているか、間違ったことを言っていないかを意識して聞きながら走りました。
かなり解説の原稿通りに喋ってくださいましたが、喋ることがない区間が出てきたりしました。
原稿には豆知識的なことも書いてたので、それをうまく入れたりして調整して頂きました。
また、ボスを倒した時やTwitterの告知ツイートで投稿した見どころポイントで、拍手を促すようにお願いしました。

12月24日にリハーサル2回目を行いました。
この時点でかなり本番に近い完成度になっていました。
打ち合わせの時に言ったかなり細かい知識も入れて下さり、間が空くこともなくなりました。
長いRTAなので、この辺まで入れてちょうど良い感じでした。
これなら間違いなく大丈夫だ、と安心しました。
ちなみに、僕は敵キャラや仕掛けの正式名称はかなり頭の中に入ってて、解説の原稿にも正式名称で書いてたんですが、7-2のギガトンハンマーで壊すアレが炎の魔人像とかは覚えてなかったし原稿にも書いてなかったので、攻略本めっちゃしっかり読んでますやん!って思いました。
ちなみに、最後のシューティングに出てくるゲーミング金平糖は、ディメンションメテオと言うのですが、攻略本にはかなり分かりにくいところに書いてありました。

この日にかいのかせきさんがRiJおすすめツイートを投稿されました。
画像4枚目でWiiがドーンって紹介されてました。
このツイートは記事投稿時点で2.6万リツイートされてます。流石やなぁ…。
このツイートもあって、Wiiが一気に注目を浴びたと感じましたね。
紹介ありがとうございました!

本番

しっかり準備してきたので、緊張はしませんでした。
画面が切り替わったら、30秒以内にスタートするのを目標にしていたので、それは達成できてて良かったです。
これまでの経験から、スタート前にいろいろ喋ると思った以上に長くなるし、YouTubeでは離脱される原因になるので、ここは徹底して短くしました。

本番で意識したことは、ミスしても声を出さないことです。
もちろん、ルート変更が必要なミスをしたら、リカバリーの説明をするつもりでしたが、細かいミスには何も触れないようにしました。
これ、言ってしまうと、ガバというコメントが付くんですよね。これが嫌なんですよ。
2-2で間違ってワドルディ召喚した時は思わず声出ちゃいましたけどw

大きめのミスを挙げると、

  • 3-3のバルーンボム運び(ハシゴに捕まったせいでデデデのワープ位置変わった。2連パラソルドリルは失敗しても問題なかったはず)

  • 4-3のバルーンボム運び(ダッシュが入らなかった)

の2つですかね。どっちもバルーンボムじゃねぇか。
小さなミスだと、

  • 4-5の最初のカギ吸い込み(スライディングでリカバリー)

  • ゴライアス戦(せーのでドン不発)

  • 6-1のスフィアローパー戦(3発目が間に合わない)

  • マホロア第2形態(ウルトラソード前の1発を外す。喋ってたせいw)

この辺りでしょうか。もうちょっとあるかもしれませんが。

7-3のカギを取るための天井抜けは、チャンスが1回しかないのですが、成功して良かったです。

7-3終了時点で世界記録+7秒と言っていましたが、今回使っていたのはWiiディスク版で、世界記録はWiiUダウンロード版なので、実質世界記録よりも早いです。
7-3終了時点でロード差は10~15秒と見積もっています。
Wiiディスク版はローア船内の読み込みに時間がかかるため、チャレンジステージ区間で+10~15秒されると思います。
これに加えてウルトラソードのとどめが+30秒弱くらい。
なので、本番で出した2時間26分37秒(世界記録+49秒)というタイムは、実質世界記録並か、それより早いということになります。
ちゃんと測ってないので憶測です。すみません。
WiiUダウンロード版を使わなかった理由は、上の方でも書いてましたが、リージョンロック解除というRiJではグレーなことをやっていたからです。

手元カメラが上下反転していた(正確には普段の配信で上下反転させていた)ことに気づいてなかったのですが、特にツッコミはなかったし、カメラで見せるものもなかったので、結果的にはまあ良かったです。

本番でこのような世界記録に匹敵するタイムを出せたのは本当に嬉しいです。
まあ、100%の世界記録はもうちょっと詰めれると言えばそうなんですけど。
Kirby Masterが本業だから許して。(Kirby Masterももっと詰めれるんだよなぁ…)

アジーンさんの解説も、走者の凄さを伝えることに全振りして頂けて、本当に素晴らしい解説でした。
アジーンさんに解説を依頼して本当に良かったと思います。

反響

今回は今までで一番ファンアートが多かったです。
片っ端からリツイートさせて頂きました。めちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます!

また、出番終了した辺りで、角川つばさ文庫さんがWiiの小説の宣伝ツイートをされてました。
ロボボとディスカバリーの時もされてたので、完全に狙ってますね。
本番でこの小説の宣伝は、余裕があったら入れようと思っていたのですが、入れられなかったですね。すみません。

TwitterやTwitchのフォロワーもかなり増えました。
あんまり数字気にしてないので、どれだけ増えたかは把握してませんが。
でも、いいね・リツイート・お疲れさまリプライ等はとても嬉しいです。
今後とも応援よろしくお願いいたします。

最後に

今回、僕がRTAを始めた初期の頃からやり込んでいたカービィWiiをRiJで披露することができ、本当に嬉しく思います。
本作は僕がカービィちゃんにハマったきっかけになった作品であり、10年の時を経て今回その作品でRiJに出られたというのは、とても感慨深いです。
採用してくださった運営の方、技術・Twitter管理・チャットモデレーター等のボランティアの方、RTAのルートを考えてくださった走者の方、ファンアートで盛り上げてくださった方、視聴してくださった皆さん、そして、解説を請け負ってくださったアジーンさん、ありがとうございました!


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