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【#ハリィしろかわのゆるゆる映画教室】第47回 アメリカン・ニューシネマとレイティングシステム①



■1960年代、時代は公民権運動やベトナム反戦運動、ウッドストックへと移り変わる。弱体化したハリウッドでは、従来のヒット作の法則が見直されることになる。

エリザベス・テイラー主演の「#クレオパトラ」の製作費が膨らみ、制作会社の20世紀フォックスが倒産寸前に追い込まれたことで、大規模史劇・スペクタクルものは1960年代後半にはスクリーンから一時撤退することになる。

同様に、ミュージカル映画も「サウンド・オブ・ミュージック」(65)以降、大ヒット作に恵まれず、赤字になってしまう作品の方が多かった。

大手映画会社の年配の重役たちには、「イージー・ライダー」(69)などの60年代の反体制文化から派生する映画がヒットしても、その魅力が理解できず、その一方でロバート・エヴァンス(パラマウント社)ら若手の実力プロデューサーが台頭してくる。

■観客の価値観が時代を経るごとに変化した結果、従来の映画検閲制度だったヘイズ・コードは廃止され、新たにレイティングシステム(アメリカ映画協会MPAAが業界で統一し、完成された作品の上映対象の分類を定める、現在まで続いているシステム)が導入される。

これにより、新たに「アメリカン・ニューシネマ」と呼ばれる従来の規制から解放されたかのような作品群が生まれることになる。

しかし、その一方で、映画業界は一層、露骨な性描写や暴力シーン、冒涜的な言動に注意を払うことになる。

■アメリカン・ニューシネマの代表作とも言われる、アーサー・ペン監督作「#俺たちに明日はない」(67)は従来のハリウッド映画を打破する多くの要素が含まれている。

・元々はフランソワ・トリュフォーやジャン・リュック・ゴダールなどのフランスのヌーヴェル・ヴァーグ群に監督依頼があったこと

・制作を進めたのは兼主演のウォーレン・ベイティであること

・ハッピーエンドではない結末

・従来とは段違いの暴力描写(一つのショット内でピストルの発砲とその出血を伴う被弾を見せる演出、ラストの派手な銃弾の雨あられによる生々しい惨殺場面等)

(つづく)

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