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乃木坂46 ロケ地を巡る⑥

【東京都千代田区】

「夜明けまで強がらなくてもいい」


24thシングル「夜明けまで強がらなくてもいい」表題曲(2019年)

4期生の遠藤さくらが表題曲センターに抜擢され、同じ4期生からは賀喜遥香と筒井あやめが選抜入りを果たしました。発売は2019年9月4日。この年は、2月に7thバスラが開催され、西野七瀬の卒業コンサートが行われました。入れ替わるように4期生が表舞台に立つ様になり、そうした流れを受けるように7月にドキュメンタリー映画の第2弾が公開されています(「いつのまにか、ここにいる」Documentary of 乃木坂46Ⅱ 7月5日公開)。前後して真夏の全国ツアー2019が愛知・ナゴヤドーム(現バンテリンドーム)からスタート。その最中の7月8日に初代キャプテンの桜井玲香が卒業を発表。8月14日の大阪・京セラドーム公演で秋元真夏が2代キャプテンに就任発表。乃木坂46が新体制でスタートする中、披露されたのがこの曲でした。

MVのメインとなるダンスシーンが撮影されたのが、東京・大手町にある「大手町1stスクエア」です。
所在地は東京都千代田区大手町1丁目5−1
最寄駅は東京メトロ東西線・丸の内線・千代田線・半蔵門線・都営三田線の「大手町」駅。
C12番出口を出るとすぐです。

大手町ファーストスクエアの正面広場でMVは撮影されました。
訪れたのは5月下旬の日曜日。ビジネス街なので閑散としていました。
MV冒頭のシーン
群衆の中に佇む遠藤さくら
かなり俯瞰目に撮らないとMVの画角になりません・・・

MVでは4期生3人が制服姿なのに対し、他のメンバーはそれぞれに違う衣装を身につけています。冒頭のシーンで大量に行き交うエキストラも全く異なる衣装で無表情に歩き去っていきます。

行き交う人の流れの中で、耳を塞ぐように立ち尽くす3人とメンバーの姿が映し出され、それぞれの別撮りシーンがオムニバスのように挿入されていきます。

都会の喧騒と雑踏の様に過ぎ去っていく時間の中で、戸惑い、翻弄され、時に傷つき、落ち込む猶予もなく日常は流転し、ただ毎日が過ぎていく。今いる場所が、どこなのかもわからない。すれ違う人に聞こうとしても、誰もこちらに興味はないようだ。無関心にただ自分の目的に従って、一方向へ歩いていく。ざわつく心を落ち着かせるために、そっと耳を塞いだが、声は容赦なく耳の中へ入ってくる。光が見えない。暗闇の中にいるようだ。

MVは、怯えたように耳を塞いでいた3人の若者が、光を求めて手を伸ばすさまを描いているように見えます。それはそのまま、当時の4期生が置かれていた状況そのものを指すようにも思えます。

既に完成されてしまっている乃木坂46というブランドイメージの中に自分達が入っていくことへの喜びと不安。それらは表裏一体であり、切り離して考えることはできない、と。出来上がってしまっている一つの流れに身を委ねて仕舞えば簡単だけれど、それは耳を塞いでいることと同じではないか。ここで手を伸ばさなければならない、伸ばした先に何があったとしても。

そして掴んだものを離すな・・・

「夜明け」はこののち、何度となくテレビやライブで披露され、「ごめFin」と並んで遠藤さくらの代表曲になっていきます。無観客・配信で行われた9thバスラ(2021年)では、セットを広範に組めることを利用して大掛かりな演出が行われました。天に向けて手を伸ばす遠藤さくらの姿がとても印象的な、個人的に9thバスラの中で一番好きなシーンです。

この曲が発表された翌年、2020年。年明け早々に白石麻衣の卒業が発表され、8thバスラで25thシングル「しあわせの保護色」が披露されますが、時を同じくして世界は大きく変わることになります。

今もまだ、「夜明け」を求めている最中であり、この曲が持つ意義も大きいと感じています。

白石麻衣は、このMVの撮影を通して、卒業の意思を固めたと語っています。2列目で踊っていた白石は、自分の目の前で懸命に踊る4期生のメンバーを見て、「もう自分が抜けても大丈夫だ」と感じたそうです。

センターで踊る遠藤さくらの姿に、初期の生駒里奈の姿が重なったと。


2022年8月1日

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