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玉葱を切る、シンボルスカを知る。

私は、今に切らんとしてまな板に置かれた玉葱を前に、或る詩を思い浮かべた。20世紀を代表するポーランドの詩人、シンボルスカの「玉葱」である。 シンボルスカは矛盾を詠う詩人である。外側の薄皮から最も奥の芯に至るまで同じ姿を淡々と繰り返す「完璧なまでの愚鈍」さ、そして「矛盾なき存在」としての玉葱を詠い、自己の内部の厭らしさを”名誉”や”栄光”のために覆い隠す人間の姿を炙り出す。まさに、シンボルスカの真骨頂だ。 日々の暮らしに照準を当てて人間存在や世界を問い、時や場所を隔てても色

    • フランソワーズ・サガンの「仮面の後」

      言わずと知れたフランスの小説家・フランソワーズ・サガン(1935-2004)は1954年に大成功を収めた処女作『悲しみよこんにちは』で世界中の人々にその名を知らしめることとなった。その後も、『ある微笑』『ブラームスはお好き』『優しい関係』など多くの小説を残した。今やフランス文学アンソロジーのみならず、世界文学アンソロジーにもサガンの名は外せない存在である。 (画像はwikipediaより参照。Stiopik - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https

      • ハンス・ホフマンの余韻

        先月、「琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術」に展示されている屏風絵目当てでアーティゾン美術館へ足を運んだ時のことだ。 目当ての展覧会自体がまず興味深いものだったことは確かなのだが、もう一つの予期せぬ出会いがあった。この展覧会とは別で展示されていたある抽象画が、どうも気になって仕方がない。恥ずかしながら抽象画に関しては非常に無学であるし、今までも抽象画に特別な関心を持ったことが無かった私であるが、突然、なぜか、足を止めて向き合ってみたい気持ちが沸き上がってきたのだ。 そ

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