MUMEI Academy 2022 / 2021 compilation まとめ

お久しぶりです。白羽です。

無アカ2022が終わり、2021コンピも公開されました。
計4曲公開されましたので、感想や軽い制作後記を書き残しておきます。

MUMEI Academy 2022 「藍の空」

はい。

この作品、ホントに色々ワケアリな感じになりましたね。
正直狙ってやった要素もあります。

というのも、これを作り始める前に思ったんですよ。

やりたいことをやる。お前らの趣味嗜好なんぞ知らん。

ということで、LychniS -Flannel- とは似ても似つかないArtCoreという自分の得意ジャンルを選択。BPMも203とかなり高くまさに音ゲー志向という感じにしました。
譜面が微縦連ばっかなのも僕が微縦連好きなのが大きな理由です。あと、味気ない譜面を作るのに飽きていたというのも一因ですね。

ちなみに昨年と比べて平均が0.04上がりました。
こんな人の期待を真っ向から裏切るような作品でこれなので、ウケを狙ってればもうちょっとあったのかな?という気持ちもあるにはあります。

ですが、これはこれでよかった……と思います。
最近、「一度やりたいことをやらないと、そろそろ人にウケるものを作ることも出来なくなる。」という気配がしていました。
実際に、今 LychniS -Flannel- のような中速トランスの曲を作ろうとすると何もアイデアが出てこない状態に陥っています。多分一時的なものだとは思うのですが、作れないときに無理に捻り出し続けるのもつらいな、という気持ちです。

だから今回は出来るだけやりたいようにやろう。たとえ BMS としてウケが良くなくても、僕の音ゲーに対する価値観はこういうものなんだ、というのを伝えようと思った、それが「藍の空」です。

事後、あとぅす先生からsatelliteに入りやすい譜面の傾向を聴いて、今回の譜面と完全に食い違っていることに思わず笑ってしまいました。

曲について

インパクトのある曲。
強い印象を与え、記憶に残る曲。

今回は、それが僕の目標の全てでした。

冒頭いきなりAメロみたいなアレンジから始まるのはその意識の表れだったりします。イントロなんですけどね。

たとえば中盤の疑似減速も、Bass Drop中に減速するような聴覚効果があること自体は別にそう物珍しいことではないのですが、譜面はそれに追随しないようにわざとBPM 203のままで作られています。
譜面と曲がかみ合わなくなり、一種の矛盾感が引き起こされる展開としてこういった演出を想定しながら楽曲を制作していました。

あと、これは制作終盤に思ったことなんですが、曲尺がマジで全ッッッッ然足りねぇ。
個人的に音ゲー音楽として尺の限界は 2:40 くらいにあり、それ以上は音ゲー的に面白くない、あるいは音ゲー音楽として冗長なものになっている、と思っています。
ゆえに今回も必死こいて尺を 2:30 くらいに抑え込み、展開としては 4 分弱かけてやりたいものをギチギチに詰め込んだ形になっています。ただ、一部の方にはそれが「展開が豊富」というように映っており、間違いではなかったかなと思いました。

というのも、最近は Full Flavor というジャンルが個人的にマイブームです。このジャンルはEDM界でも流行り出していると思っているのですが、知らない方のために説明すると、
例えばこんな感じで 1 曲中で様々なジャンルが入れ代わり立ち代わり現れる
という特殊なジャンルです。その性質上、DnBのドラムパターンやHardstyle等のキックサウンドというような、これといった特徴的な要素をもつものではありません。

このジャンルに触れたとき、音ゲー音楽というのはぶっちゃけ何でもアリなんだな、という気づきがどこか僕の中に生まれた気がします。
音ゲーという大きなくくりで見れば、今やロシアンハードベースとかポルカとかが音ゲー音楽になる時代ですから、Full Flavor というのも複数の曲を 1 曲にまとめただけで特に音ゲー音楽としてダメなところは一つもないんですよね。

そんな事情もあって、この曲では、楽曲の展開は自分の体感では忙しないくらいがちょうどいいのでは?という特に理由のない基準を設けて制作に取り組みました。

設定

今回は特別な措置として「藍の空」に関わる設定をちょっと公開します。
ただし、これは僕の物語上の設定であってこの内容について絵師さんと協議してはいないので注意してください。

まずはジャケットの子ですが、空峰 藍(そらみね あい)という名があります。
峰は山の頂点という意味をもつ言葉で、苗字は空の頂点に立つ的なイメージです。
一人称はボクです。ボクっ娘はかわいいぞ。

年齢はこの楽曲の時点では 11 歳くらいです。やっぱり幼女は最高だぜ!(いいえ)
あと、寒そうな恰好をしていますがこの楽曲の時点で彼女がいる場所はそんなに寒くないつもりです。でも厚着させるとかわいいから許してくれ。

そんな彼女ですが、とある役目のために「世界の外側」という場所にいます。ここでいう世界とは何かというと、
例えば昨年の無アカで投稿した作品 LychniS -Flannel- の少女がいる世界と、その前の年の BOF に投稿した作品 Ether:0 -Revolver- で描いている世界は全く別モノなのですが、
これらの世界はそれぞれ「世界の外側」という空間に水球の形で浮かんでいます。
彼女の役目は、誰かの叶わなかった願いや、救われなかった悲願を拾い上げて、それが叶う世界の夢を、その持ち主に見せることです。これまでの作品はすべて、その「夢」の一つにすぎません。なお、彼女が持っている杖はその夢を作り出すためのツールです。

ということで、これが彼女を取り巻く世界の形です。
彼女がどこへ向かうのか、それは今後ぼちぼち明らかにしていこうと思います。

ということで藍の空はここまで。
ここからは MUMEI Academy 2021 Compilation に収録されている楽曲についてです。

LychniS -Flannel- cordierite revive ver.

MUMEI Academy 2021 Compilation PRIDE. DISK 1 / Track 3

MUMEI Academy 2021 の class B にて公開した楽曲です。つまり、初めてこの曲の midi を打ち込んだ日から数えるともう 1 年半近く経っているわけです(この曲の初版制作には半年かかりました)。

このアレンジは、既に公開済みの Extended 版からさらに改良を加える形で制作したのですが、その Extended 版ですらもう 10 か月も前のものだと言うのですから、時間の流れというのは恐ろしいものですね。

長い年月をかけて、僕の音楽はあの時と比べてまた大きく変化しています。

それと同時に、かつて小さく純真だった花畑の少女も、少しずつ大人になって、様々な景色を見てきたでしょう。
もちろん、明るい記憶もあれば、暗い記憶もあるはずです。

この曲は、そんな彼女の「回想」と「これから」をイメージした再アレンジになっています。

ということで、ここからは少し制作についての話を。

この曲のプロジェクトファイルは、一年近く前から一切手を付けられていない状態でした。
正直どうしようもないくらいグチャグチャで、音を差し替えようにも mix が酷すぎてどうすればいいのか自分でもわからない。そんな状態でした。
ということで、プロジェクトファイルから midi を全て抽出(Reaper にはトラック毎に midi を出力する機能がないので、一つずつ手作業でした)。ほとんどゼロから音を作り直して、mix は全部やり直して、さらに展開にも手を加えました。

最も特徴的であろう変更点として、基本が「キックは 4 つ打ちのまま、スネアは元の 1/2 倍」と少しゆったり目なリズムになっています。
これには色々と意味合いがあるのですが、そうしようと思ったキッカケはこれです
https://www.youtube.com/watch?v=CZGFm-O5IOU
https://www.youtube.com/watch?v=IW_4WcRNFkQ
これは上が最初に出たバージョンで下は後に出たリメイク版なのですが、下の方を(変に意識せず)聴くと 2, 4 拍めのキックが(多分)抜かれて 2 ビートっぽく聴こえるんですよね。Neko Hacker の方々は天才です。
これが僕は大好きなのですが、自分の曲でこれをしたら流石に間延び感が凄くなってしまって、キックは 4 つ打ちになりました。
場所によってはスネアを 2,4 拍目に戻してグルーヴ感に差を付けたりもしています。

「原曲をなぞりつつも今出来る最大限のアレンジをするとどうなるか?」というテーマのもと、上記のドラムパターンだったり、ベースのパターンが原曲と全然別物だったり、Lo-FiパートもLong ver.と全然別モノだったり、といった感じで割と大きい変更をいくつかしています。

Frying Pan!!!!! (Shiroha "Bass" Remix) / oratoruk

これの原曲自体は前から知ってはいたんですけど、Progressive Jazz ってジャンルだったので最初はこれの Remix は難しいかな~って思ってました。
実のところこういう曲って一度も書いたことなくて……。

ですが実はオラトルク先生もこのコンピに出ていて、Twitter でリミックスの他薦待ちしてたんですよね。
ということで、僕が LychniS -Flannel- をお願いしますって言ったんですよ。
それが三月末だったんですけど、そこから一か月くらいした後完成したとのことで先にリミックスを聴かせてもらったら、アコースティックな感じの超絶良曲になって帰って来たんですね。

マジか~~って顔をしながら自分から Frying Pan!!!!! のリミックスをさせてくださいって言っちゃいました。おいおい。Jazz 書いたことないんじゃなかったのかよ。

そういえばさっきから Frying Pan!!!!! のことを Jazz って呼んでますが、ジャケットからもわかるようにこの曲は単なる Jazz の要素だけではなく、
初手カウベルが入ってきてラテン音楽かと思えばシンセリードは Pulse 波メインだし、終盤はちょっと民族感のある4度5度のハモりが多用されていてと、これで class A とか嘘を吐くのも大概にしろと言いたくなるようなガチ曲なんですね。
ただ、僕らが作っているような音楽とは全然違う Jazz として纏まっていること。そこを崩すしかない、と僕は思いました。

ということで、僕が好んでいるのはベースミュージックとかその辺りなので、ドラムを全部ぶっ飛ばして Drum'n'Bass にしてしまいました。

BPM 175 だと元のフレーズをそのまま置いただけで相当な密度になるので、曲そのものの方はほとんど弄らずちょっとスパソを入れる程度にして、ドラムンベースの上に乗せる。
結果、元から色んなエッセンスが入った曲に、さらに EDM がぶち込まれることになり、それだけでとんでもないことになりました。

ということで、この曲のジャンルは Jazz'n'Bass です。よろしくお願いします。

マグワアト (Shiroha "menace" Remix) / ザラエル

なんでそうなった?って言われたらめっちゃ困るタイプのリミックスになっちゃいました。
僕にもわからないんです。

原曲はまさに冒険の真っただ中といった感じの 3 拍子でファンタジーな曲でした。

なのに、リミックスすると決めてからそのメロディを改めて聴いたとき、ある一つの考えが頭に浮かんできてしまいました。
「高 BPM でメロディを 4 拍子に直す。」

結果、原曲のメロディを何とか残しつつもその 3 倍くらいの量の音を追加したサビが完成。
Bass Drop を挟んで同主調に転調する展開を勝手に付け足して、随所に曲の一番印象的な要素だけしか残っていないという状態に。

これはいけない、と思って原曲の冒頭でガバキックが聴こえるからという理由で思い出したかのようにガバキックを数発。2 回目の Bass Drop 中にもダメ押しで。
原曲のファンタジー感が完全に失われていることから目を背け続けた結果、完成しても一向にそれらしくならなかったため、言い訳を考えつつメロディが鳴っているところを増やすなどしてようやく完成。

ちなみに考えた理由は「ラスボス戦っぽい感じにしようと思って」というものでした。それでもこれはないだろ。
ただ、ザラエル先生に見せる顔がないという気持ちだったのですがどうしてこうなった?とは聞かれなかったので多分大丈夫なんだろうなと思います。
あと、menace は「脅威」という意味の英語で、ラスボス戦というモチーフを少し汲んでいたりします。

少し話は変わりますが、この曲のメロディにはⅥ(G♭)がよく使われています。僕は短音階のⅥはどうしてもメロディに乗せづらくて避けてしまうのですが、この曲は自然な感じでそれを活用しているので、凄いと思うと同時に自分の技量や慣れ的に聴かせるのが難しく、そのあたりはかなり苦戦しました。

終わりに

こんな一気に何曲も公開されたのって初かもしれません。
どれも頑張ったので、全部聴いてくれ(強欲)。

というかこんな沢山作るなよ おかげで今モチベ切れてるぞ

ということで次は Blessed Magical Story で会いましょう。
最近クソ暑いので、皆様の健康のため冬の曲をお届けします。

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