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Rainforest - あとがき


いつだって、雨は等しく全てを浸していく。

白羽です。

先日まで開催されていたMUMEI Academy 2023に、拙作「Rainforest」にて参加しておりました。

応援、大変ありがとうございました。

現在、最終結果はまだ集計されていません。暫定結果として作品一覧ページの情報に(Class C内の合計値のみ)Not Air補正を加えて計算した結果、

  • Class C 合計値 912 : 3位
    (内 Not Air率 72.9% = 加点 36)

    • 総合 6位

  • Class C 平均値 9.52 : 3位

    • 総合 4位

以上の結果となりました。
作品のプレイやインプレ、拡散など応援して頂いた皆様、大変ありがとうございました。

感想

本当に安堵というか、安心しました。もちろん嬉しいんですが、それよりも得体の知れないものに追いかけられていて、ようやく振り切ったというか、そんな感じです。
インプレ期間終盤になっても想像より登録順による差が大きく、いつ追い越されるか、前を追い抜けるのだろうか、という心理的負担がかなり大きかったです。なんなら"Fitter-A"には追い越される前提でいました。まぁ最終日はろくに告知もしないでTRIPLE AXEのライブに行ってたんですけどね!!!!(ヘドバンしすぎて翌日は首と腰がバキバキでした)

また、今年は私にとって4度目の無名戦/A-1系イベント参加となります。正直なところ、今年結果が出なかったら永久に卒業できないような気がしていました。というのは、私にとって昨年のMUMEI Academy 2022はどこか燻るような結果になったイベントだったことが大きな理由です。2021と同じクラスで出たにも関わらず、順位も点数も対して伸びない……というのは自分にとっては割と大きなダメージでした。(その後のBOF:ETでの59位はチームという枠組みの影響を強く感じたため、自分の中では個人の実績にカウントしづらいと思っていました)

そこから1年経て、ようやく頷いても許されるだろう、というような成績を残せたこと、その過程にあった全てのものに、感謝しています。

もう一つ。
今回、初めて「イベントの全作品(自分の作品は除く)に対してインプレッションする」(全インプレ)ことを試み、結果として達成しました(抜けがなければ)。
昨年もClass Aの作品にインプレしたのですが(1作品抜けてた)、全部つけるとなって初めて点数の付け方、バランスの調整など難しいと感じるところがありました。特に、後になって点数を上げたくなった作品がいくつもあります。次回以降、インプレの内容は精査した上で投稿しますのでお許しください……

余談

BOF:ETにて「ブラック・ラビッツ・グリモワール」のリーダーであり、その際私に直接チームへの勧誘でお声がけくださったReku Mochizuki氏は、奇遇にもその年=2022年のMUMEI AcademyでClass C 3位を達成しておりました。

これから

今回の成績上、今後のMUMEI Academy系イベントにおいて出禁という扱いを受ける可能性が生じました。これを鑑みて、正式な結果発表の前ですが、今後制作者としては参加しないことを宣言します。

代わりに、MUMEI Academyには先ほど少し触れましたがインプレイヤーとして参加していきたいと思います。

春にBMS制作をしないライフスタイルに耐えられなくてBた作やその他のイベントに作品でテロを仕掛ける可能性はあります。

曲について

3拍子+ArtCore+Trance+なんかたくさん=?って感じの曲です。
BOF:ETで公開したXtR;Blueは完全にジャンルが変わる形式のミクスチャーでしたが、今回は「別ジャンルの特徴をメインジャンルに取り込む」という形式でのミクスチャーになっています。

以下音楽的こだわり

  • 琴と笙の音が入っています。

    • 笙の音はまず聴き取れないのでバラしておくと1:15からの混雑したパートに紛れています。

    • 琴の音はラスサビでメインメロディのレイヤーとして鳴っている以外に1箇所で使用されています。探してみてね

  • 0:56〜と1:37〜のパン振りされた音はリバースピアノで、どちらも完全に同じ音を使っています。さらに、左右左右と4回に分けて鳴る音は全て3音の和音で構成されており、それを全て合わせるとオクターブこそ異なるもののC〜Bまでの全ての音を重複なく使っています。

    • XtR;Blueでも似たような12音技法もどきを使っています。

  • 1:15〜のパートでは::AbnormalityPurificator::と完全に同じAcidが鳴っています

  • ラスサビはにわかにPadが大きくなりますが、その部分だけ元から入っているPadに加えてPhasePlantのGranularオシレータで作ったPadを重ねています。マジで面白いので皆も買って(?)

世界観との対比

「自然への解釈」を大きく二つに分け、音楽上で描写しています。

  • 美しさ、癒し、解放感、神秘性など好意的な捉え方→古典的展開、王道進行を用いた分かりやすい構造

  • 破壊、無慈悲さ、把握しきれないことからくる恐怖など→和音並行移動や変則的なリズムなど理解が難しい、あるいはあえて破綻させられた構造

    • これを制作時のメモから書き写しながら、神秘と恐怖ってブルアカみたいだな……って思いました

  • 美しいものも恐ろしいものも全部含めて自然と呼ぶの、良いですよね どんな異常独身男性でも受け入れてくれそうなので

これに、あとは如何にして音ゲー音楽としての風格を持たせるかという一点だけを考えました。

楽曲展開

冒頭からガッツリ変なコード進行をしました。よくあるコードワーク的なものを完全に逸脱した、我々の社会から切り離された場所のイメージです。

ベースドロップはこう、森の中にいるときに聴こえる様々な音(鳥の鳴き声とか、葉の擦れる音とか、ほらこう、いろいろ……)をイメージしてます。してるんだよ。ドラムサウンドはその中を規則的に歩いているイメージ。

0:41からのAメロ的なところと0:49からの大きく曲が崩れるところは叙景詩なので、好きに風景を思い浮かべてください。それが正解です。

1サビはここまでゴチャついた曲に耐えてきた皆様へのサービスタイムです。自然の美しさに触れて感じたものそのまま。

1:15からはイメージの混合、今まで見てきたモノが気づけば思い出になる程の時間を15小節に突っ込みました。ここでは敢えて曲を破綻させています。

1:30〜ラスサビは、1サビよりも音程が下がっています。思い出として昇華した感情にもう一度浸るような感覚と共に、自分なりの解釈を加えるという意味で少しだけ音が豪華になっています。

まとめ

物語的な曲、自然といくつかの顔を見せる曲というのは過去にいくつかありましたし、それがメインだったのですが、今回はみずから「自然」というものに切り込みを入れて様々な描写をする、という新たな試みによる作品となっています。

そんなある意味新境地な楽曲、お楽しみ頂けたなら幸いです。

白羽でした。

いつだって、雨は等しく全てを浸してゆく。
枯れ果てた心を潤すように、それは流れ落ちてゆく。
















個人的おすすめ作品

ここからは自分の作品ではなく、このイベントに集まった他の作家の方の作品を(心苦しいですが)いくつか絞ってオススメさせていただきます。
なお、順位などは暫定となりますのでご了承ください。

Class Aから~

作品No.10 / Nima - Fiction

あんた何やってんだよ。
というのはさておき、氏にとって2作目のBMSでありながらClass Aで圧倒的優勝を飾った本作をはじめにご紹介します。
氏は元々イラストレーター及び映像作家であり、BOF:ETでは私の作品「XtR;Blue」で映像を担当いただいております(その時点ではExa名義でした)。
その実力をフルに活かした圧倒的クオリティのBGAに加え、楽曲もClass Aとは何だったのかが分からなくなるような完成度であり、来年度はClass BどころかCにいてもおかしくないでしょう。

作品No.37 / KN-5 - Lost

とんでもない音とムードでプレイヤーを呑み込みにくる作品です。
ノイジーで暴力的なサウンドは明らかに今年のClass Aの作品内でも頭ひとつ抜けたクオリティであり、遠くから聴こえるピアノも不気味な雰囲気を上手く作り出しています。
キック連打音と同時に映像が激しく振動する演出があるのですが、滅茶苦茶ビビります。本当にプロすぎ。

作品No.38 / こんさん - Metropolis Starliner

あんた何やってんだよ(再)
BMS初制作でありながら、過去にないハイレベルな戦いを切り抜けてClass A 3位を獲得した作品です。
(序盤インプレの点数基準を厳しくしすぎて9点をつけていますがどう考えても10点です。本当にすみません。)
初手のシンセ音6つの時点で「風格」がありますよね……その後のベースの刻み方、息の長いメロディ、何もかもがバケモンすぎる。プレイしながらどこか現実ではないところに旅するような、Class Aの域を完全に逸した体験で満ちた作品です。

余談ですが、イベント終了の翌日7/11に秋葉原のGAME PANICで音ゲーをしていたところ作者本人が降臨してしまいました。完全に想定外。

作品No.49 / Gimo - FORS∀KΣN

Class A特大詐称枠にしてゴリゴリの音ゲー音楽です。学校壊れるわ。Class A 4位入賞の作品です。
開幕から「これが音ゲーコアだ!」と言わんばかりのデカいメロディラインに芯の太いキック、サビかと思わせておいて突如のシュランツと作者の音ゲーに対する造詣が伺えます。マジで度肝を抜かれました。
Gimo氏はMUMEI Academyへの参加は2回目であり、昨年からの進化具合も凄まじいです。別人と言われても驚かないくらいの躍進と共に何もかもを破壊した、音ゲー好きにオススメの作品です。

作品No.72 / 25Ohms - BloddoN

音がガチです。もうそれだけでClass Aなんてレベルを超えちゃってます。
あまりにも堅実でまとまりの良い作品です。音作り、ミックスの面で言えばClass BどころかCでも相当上位に食い込めるレベルで端正に作り上げられているのではないでしょうか?良い音を浴びたい方にお勧めです。
なおこの作者の方ですが、Twitterは去年の4月からあったものの初のツイートがこのイベントの登録期間ちょっと前、Soundcloudもこの曲しか投稿されていません。今後が怖い楽しみですね。


ここからは Class B

作品No.2 / さんわり - Snow Stars

作曲が上手すぎる。
Class B 優勝作品である本作品はBPM130のゆったりとしたトランスです……が、その中に差し込まれるハイレベルな和音使いと、どこかレトロチックながら古臭くもない絶妙なサウンド選びは紛れもなく氏の高い技術力の表れでしょう。1:07のコード進行は誰もが驚いたはず。
過去に例のないインプレ数3桁を叩き出し、間違いなく歴史となった作品です。

余談
氏から先日勧誘を受け、BOF:ETではチーム「#num3」にてご一緒させていただくことになっています!
私もさんわり氏も無アカで上がったハードルを上から叩き潰すつもりでございます(ということに私が勝手にしました)ので、ご期待ください!

作品No.15 / numuto - Majestic Awakening

とんでもない音圧と鬼のような数の同梱譜面、その中に2つも用意されたあり得ないクオリティのギミック譜面……話題性の塊すぎるClass B 2位の作品です。
Rawstyleでありながら中盤はPiep Kickのようなサウンドを取り入れており、それでいてRawstyleのパートはRawstyleとしてポイントを押さえた作りになっており、鬼のような数の同梱譜面も一つ残らず作り込まれています。1年足らずで20作を超える怪物じみたペースでBMSを作りながらもクオリティ面は損なわれないどころか進化していく、恐るべき作家の1人であることは間違いないでしょう。

作品No.46 / まろにー - Journey to Find Hope

BMS初制作でケルトという攻めた内容ですが、音がもう一つ一つ完璧に出来ています。更に音ゲー曲らしいゴリゴリのドラムまで調和させられており、譜面も申し分のない作りでもはや欠点がありません。Class B 合計値では3位ですがAverage 9.65は全クラス総合でトップです。本当におめでとうございます。
本当に文字通りの意味で語彙を失うような良さがある楽曲です。私にも深く語れる器量がありません。皆プレイしてくれ。

作品No.47 / VXΛ - MEViUS

今回の作品で一番魂ぶち抜かれた作品です。
HYPERTRANCEというジャンルの名が示す通り、Tranceというジャンルの本来意図する「トランス状態へと誘う」という意味合いを強く感じる楽曲となっているのですが……最後の最後で映像に表示される DANGER の表示から突如として全員の目を覚まさんと限りに歪んだキックを主体としたパートで〆るという衝撃的な展開を備えています。
Class B 5位を受賞した作品ですが、初見時のラストのインパクトは私の中ではイベント全体でもトップクラスだと思いました。

作品No.59 / Xiba feat.Xiba - 風凪

作詞作曲編曲歌唱、イラスト映像、譜面、全部一人で行った←天から二物どころか五物くらい与えられてないか??????????
それでいてとてつもなく高い完成度を誇るこの作品、正直言ってまだまだ評価されて然るべきだと思います。僕なんて自分で歌うどころか人に歌ってもらうつもりの曲ですらまともに完成させたことないし、本当に強すぎる。


ここからはClass Cです

作品No.7 / 原木シィタケ - 5th Drop Shooter

もうなんもかもおしまいです。
Class Cの中でもトップクラスの「音ゲー」感を放つ2位入賞作品です。合計値1000点超え、Average 9.62、Not Air率69%ともう何もかもおかしい。
音圧もさることながら「SHOTBASS」の名の通りベースサウンドが逐一強力すぎてもはやプロです。さらに終盤は突如としてG minorへ転調し大きく雰囲気を書き換えてプレイヤーを振り回してきます。どう考えても空気作家じゃないです。フロアを支配するDJです。

作品No.43 / YuKa - LeVeL uP!

かわいいので神です
ハピコアとは、音ゲーコアとはこうであるべきと言わんばかりのラスサビ王道転調をはじめとした、音ゲーマーの本来の欲求を存分に満たす最高の音楽です。それ以上でもそれ以下でもないです。とにかく聴いてくれ。
譜面も演奏している音が配置だけでわかるくらい上手く作られておりプレイ中の爽快感はClass内トップだと思います。

作品No.64 / l'avenir proche - red queen

まずとにかくベースサウンドが本当に気持ちいいです。さらに複数ジャンルを渡り歩くMixture感、その間継続して鳴り続ける希望感のある上物……と様々な要素がごちゃ混ぜになりながらも一曲として成り立っている楽曲です。特に0:43からや1:21からのベースが最高にかっこいい。
Mixture系ということで勝手ながら自分の作品と共通点を感じたため選出させていただきました。本当に良い音がするので聴いてみてね。


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