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あだ名のせいで三者面談になった話し#キナリ杯

はじめまして、しろごはんです。

青々とした木々の葉っぱと雨上がりの土の匂い
プールの塩素や蚊取り線香

大好きな夏の匂いがしてきた、今日このごろ。

・ー・ー・ー・ー・

突然ですが、みなさんは自分だけの’’あだ名’’があるでしょうか。

’’〇〇っち’’とか’’〇〇りん’’とかの王道可愛い系、名字をそのまま呼び捨にするシンプルisベスト系、癖とか発言があだ名になった超絶個性派系、なんてのもありますよね。普通に名前を呼ばれるよりも、ちょっと親近感が湧く、自分だけの’’あだ名’’、何だか特別感がありますね。

わたしにもあります。高校生の時にクラスメイトがつけてくれたあだ名。

それは’’おち◯ち◯’’でした。

完全にピーーなんですけど、、
下ネタの話をするのではありません。
正真正銘、わたしのあだ名の話しです。
当時は、本当にみんなそう呼んでくれてたんです。

なぜこのあだ名になったかと言うと、それは遡ること10数年前。

※以下わたし以外の人物の名前は微妙に変えてあります

それは、わたしがまだセーラー服を着て、ガラケーを使い、プリクラといえば’’花鳥風月’’だったあの頃。そうです、わたしは女です。

きっかけ、というか原因は名字にありました。古田や古瀬のような、’’古’’からはじまる名字のせいで、まずは’’古ちん’’と呼ばれるようになます。ともちん的な、、、なんだかぷるぷるしていて、ちょっと可愛くも聞こえる響き。

ふるちん。ぷるん

でも後々、意味を調べると全然可愛くなくてびっくりしました。
辞書で引くと、

【 下着を穿かずに男性器を丸出しにしているさま。 ち◯ち◯をぶらぶらさせている様子】(Weblio辞書参照)

え、なになに。
ち◯ち◯、ぶらぶら?
やめてくれ。可愛いどころか、ただの変態や。

でも当時そんなことは全く考えていなくて、恥ずかしくもなければ、嫌でもなかったんです。むしろ、呼ばれるたびにちょっと笑いが起きる’’粋なあだ名’’だなぁ、なんて思っていました。ちなみに’’古ちん’’よりも、ひらがなの’’ふるちん’’が好きです。えへ

そうなんだ、’’ふるちん’’は変態なんかじゃない!みんなを笑顔にする正義の言葉なんだよ〜!ぷるん

女子校だったからか、男子にモテたいとか、恥ずかしい、とい感情が欠乏していて、それはそれはみーんな自由奔放だったんです。さすがに男子がいる環境だったら、このあだ名にはなっていなかったと思う。。

そして、ひょんなきっかけで変化し、あたかも最初からそうであったかのように自然に定着していくあだ名たち、、、

ゆきぽんが省略されて’’ぽん’’になったり、ザキヤマが’’ヤマさん’’になっていく中、何故かわたしは’’おち◯ち◯’’へと変貌を遂げたのです。

クラスいちのお調子者だった’’ゆか’’がふざけて呼び始めたところから、このダイレクトかつどこから突っ込んで良いか分からないあだ名が定着してしまった。。
それでもわたしは、みんなが爆笑してくれるし、特に困ることもなくておち◯ち◯を認めていました。公認おち◯ち◯の誕生です。ぷらーん


そしてある日、こんなことが起こりました。

わたしの学校では週に1度、全校生徒が集まって行なわれる礼拝がありました。厳格なキリスト教の学校で、毎朝のクラスで行う礼拝に加えて、週に1度は校内の大礼拝堂でパイプオルガンの演奏のもと、讃美歌を歌い、牧師様の話に耳を傾けていました。そう、結構由緒ある真面目な学校だったんです。

この日は、全校礼拝の日でした。生徒は皆学校に到着した後、各教室にカバンを置いてぞろぞろと礼拝堂に集合します。わたしは、遅刻寸前で登校したクラスメイトと、急ぎ足で礼拝堂に向かっていました。礼拝堂の前まで来た時、同じく急ぎ足で向かってくる、友達を発見。わたしの名付け親、ゆかです。ゆかは気付いていなかったので、わたしから声を掛けました。

「ゆか〜!おはよう!!」

「あぁ!おち◯ちんだ!」

もうピーで、いいですかね、、?

ゆかはいつものように、大声で呼び、にやにやしながら近寄ってきます。

その時

「神様の前で、どんな表現しとんだーーーーー!!!怒」

!!!!!

びっくりして振り向くと、そこには古文の桐岡先生がすごい形相で立っていました。鼻の穴がでかいことで有名な先生。あだ名は’’はなおか’’。(先生ごめんなさい、、、)女性の先生だったけど、本当にこういう言い方で怒鳴ってた。普段は愛に溢れた、とっても優しい先生です!

でも、はなおか、、じゃなくて桐岡先生もこの学校を卒業していて、礼拝を大事にしない生徒にはとっても厳しい人でした、、
なんでそんなに怒っているんだろうか。まぁゆかの声でかいしなぁ、と思って先生の顔を見ると、何故かゆかではなく、わたしを睨みつけていた。

わたしは咄嗟に、
「あ、あだ名なんです!わたしの!」
と言ったところで、時すでに遅し。

「それなら、良いです。」となるはずもなく、そのまま、「礼拝の前は心を落ち着けなさい」とか「神様が聞いていますよ」とか色々とお説教された。

その間、ゆかは爆笑してるし、わたしの友達やその場に居合わせた生徒は必死に笑いをこらえている。
とりあえず、その場は謝って、むっとしながら礼拝を受けた。

「なんで自分の名前を呼ばれて怒られなきゃいけないんだ、、、なんて理不尽な世の中なんだ、、どうなんですか神様、、、」

この噂はあっという間にクラス中に広がり、あだ名を呼ばれた時、誰かが「どんな表現しとんだーー!」と叫ぶ流れが定着していた。これはこれで楽しかった。

その数週間後、事件は起きたのです。

この日は年に数回の授業参観。わたしの母は6限目の数学を見学する予定で、その後一緒に帰宅する予定でした。

その日の朝、担任の先生から呼び止められて一言。
「古◯さん、6限終わったらお母さんと3人で少し話せる?」

え、、なになに。わたし何かしたっけ、、、?

この間、進路相談の三者面談も終わったし、特に話すことはないはず。あるとすれば、教室でたこ焼きパーティーをしたことがバレたか、最近英語の先生を’’The bady”(ザ・バディー)と呼んでいることか、掃除の時間に走って逃げたこととか、、、

心当たりはない。うん。

そんなこんなで、授業後にわたしだけの特別三者面談が行われることになった。担任の先生はこれまた、この学校を卒業していて、めったなことでは怒らない、とても優しい先生だった。毎朝「ごきげんよう」と教室に入ってくる、とても素敵な先生。

授業参観は滞りなく終わって、最後の数学も寝ないように必死にノートを取っていたらいつの間にか終わっていた。

掃除当番が掃除をしている間、わたしは母に、恐る恐る、「何か先生が話したいことがあるんだって、、、」と伝えた。ちょっと怪訝そうな顔をしてたけど、「あ、そう。」という感じで、掃除が終わるのを待った。話って、なんだろう。。そわそわ


教室に入るなり、先生はいそいそと3つの机と椅子を用意し、母親と一連の挨拶を交わして席に着いた。そしてとうとう母の一言で、面談がはじまった。

「それで、うちの子が何かありましたでしょうか、、、」

「え、えぇ、古◯さんは、勉強も部活も頑張っていて、クラス委員もやってくれていて、、とても助かっています」

おぉ??褒めてくれてる、、、いやいや、そんなはずはない。先生はそんなことを言うために、この場を設けたわけではないだろう。真相はなんだんだ!この上げてから下げるみたいな、スチールドラゴン方式は卑怯だぞ!!

そしてついに先生が切り出した。
「あの、実は古◯さんのニックネームのことなんですど、、、かなり個性的でして、、ねぇ、あんまり人様の前で言うことじゃぁありませんからね、、、」
とわたしの顔を見てくる。

ふるちん「・・・!」

母「・・・?」


え、なに、あだ名の話し、、!?

とりあえず、何か言わなければ。。

「あーー!そうですよね!!なんだー、驚きましたよ!急に面談なんて!あれは全然大丈夫です!全く問題ないんです!でもそうですよね。わたしからも言っておきますね!はい!心配を掛けてすみませんでした。ありがとうございました〜!」
無理やり、母が言うべきセリフも全部言って、何とかこの場を終わらせたかった。

それから先生が何か言ってたけど、どうすれば母にバレずに終われるかで頭がいっぱいでよく覚えていない。

その間母は、英語が聞き取れないけど分かってるフリをしている人、みたいな顔をしていて、先生は結局、ピーーを口にすることなく面談は終わった。

とりあえず、先生はわたしがいじめられている訳ではないことに安心した様子だった。なるほどね。そうか、そういうことか。

でも肝心の母には全く伝わっておらず、スチールドラゴンの急降下どころか、フライングカーペットみたいな、なんとも言えない宙ぶらりん状態で終わった。

もういっそのこと
「おたくのお子さんは、学校でおち◯ち◯と呼ばれてますよ。」
とでも言ってくれた方が、手っ取り早かった。。

おかげで学校からの帰り道は、ずっと尋問だった。
「ねぇ、先生が言ってたあだ名って何の話なの??あんたみんなからなんて呼ばれてるの!!?」

「うーんとね、、、」

わたしは考えたあげく、’’ふるちん’’と呼ばれていることを打ち明けた。

さすがにピーは母にはインパクトが強すぎる。

母は「なーんだ」と笑ってくれて、先生はちょっとお上品すぎだね。心配しすぎだよね。って一件落着した。
ふぅ〜。ふるちんがわたしを守ってくれた。

ありがとうふるちん。


それからまた、お決まりの’’あだ名の変貌’’が起こり、ほとんどの子が’’ちんちゃん’’と呼ぶようになった。ずいぶんと普通になっちまったもんだ。大人になるってこういうことか。

そしてもう誰も、おち◯ち◯、ふるちんとは呼ばなくなった。


お別れのときが来たのである。

さようなら、おち◯ち◯。
電車の中では一瞬にしてマダムやサラリーマンの視線を集めたこともあったね。

さようなら、ふるちん。
君とは一番長く一緒にいたよね。

なんだかんだ愛着のあるわたしだけの、大切なあだ名。

青春の思い出がいっぱい詰まったあだ名。


ありがとうおち◯ちん。ありがとう古ちん。楽しい思い出をありあがとう。


#キナリ杯

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