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余らせる。

今年の自分のテーマとなる漢字一字を何にしようかと考えて、「余」とした一月の初め。
色んなものを余らせたい。特に時間と人柄に余裕や余白を持ちたい。

なんて考えて一ヶ月経ったが、結局全然余ってない。
毎日パツパツになりながら暮らしている。

先日、甥っ子の誕生日プレゼントを買いに娘とお店へ出向いた。

夫婦とも時間のない我が家はブラブラと買い物をすることがなく、目的のものをあらかじめリストアップして、つむじ風のようにお店を回る。
ブラブラするからこそ手に入るようなものが足りなくなるのだが、それは我慢したり、家にあるものでやりくりしたり。

甥っ子のプレゼントも、あらかじめ目星をつけていた。
ワンワンとブーブの好きな新二歳児には、ワンワンをそのまま背負えるようなぬいぐるみリュックをプレゼントしようと先にネットで探し、それを置いている店を探し、つむじ風のように入手できるよう段取りを整えていた。

娘が学校から帰り、ダンス教室へ出向く間の隙間時間にそれを叶えようと、急いで家を飛び出す。
調べた店へとGoogleマップ通りに最短距離を一直線。

この一直線が効いたのか、着いた後に少しの余裕が生まれた。

赤ちゃんの物ばかりが集められた店に一歩足を踏み入れた娘は、明らかにテンションがいつもと違っている。

「あー、赤ちゃんっていい!赤ちゃんグッズって平和!」

そう言いながら全てのコーナーをくまなく見て回り、もう絶対に遊ばないような年齢層のおもちゃに釘付けになっている。
遊ぶといえばゲームが多い小学生、どんだけ疲れてるんだ…。

目当てのワンワンリュックはいの一番に見つけたのだが、ブラブラ歩いているとブーブグッズもなかなか充実していることがわかり、品物が陳列された商品棚の隙間から、チラチラと甥っ子の笑顔が浮かんでくる。

やっぱこれにするか、あれとこれを組み合わせるのはどうか。
ワンワンだけでは寂しいのではないか、いやそもそもこちらのブーブが良いのではないか。
普段は時間という怪物に追い立てられるように暮らしているので、この「迷う」という感覚は不快そのものでしかないが、今日こそは楽しい。
迷ってあれこれ手に取っている間に、甥っ子のあんな顔、こんな顔が浮かんでくる。
プレゼント選びって、すっかり忘れてたけど、超楽しい…。

ようやく会計を済ませて、カフェでPCを開いて待ってくれていた夫の元へ、ラッピングされたプレゼントを二人で抱えてホクホク向かう。
「何買ったの?」
と尋ねられ、二人で競うようにプレゼントに施した工夫を説明する。

随分長く時間をかけてしまったけど、プレゼントって、自分の中の余りを最大限に詰め込みたいものなんだよな…
なんてことは口で説明は難しいので、心の中にそっとしまっておく。

というわけで、いつもの自分たちにしては盛大に何かを余らせた、という話でした。
何を余らせたのか結局自分にもわからないんだけども。

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