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Cien Años de Soledad 2

前回までのあらすじ:


 喜八郎と名乗るチンドン屋が古代中国の発明な
煉丹術師の手になる世にも不思議なしろものを、
実に荒っぽいやりくちで披露した。


一同「なんやこれ……」
喜八郎「ものには命があるんでさぁ。問題はその魂をどうやってゆさぶり起こすかなんすよ、へへっ」
保瀬有次郎「何やら無用の長物めいた道具ですなぁ……もしや地下から金を掘り出すのに使えるんじゃあないんですかい?」
「いや〜そいつぁ無理っすね(マジで無理だし)」
「(正直者のチンドン屋なんていねえだろうなあ)ようし、その二本の棒磁石を私の騾馬と数匹の仔山羊と交換してくんなせえ」
有次郎の妻・瓜子「ちょっとあんた……この仔山羊をあてにあたし達の暮らし向きをどうにかする気でいたのになんだい」
「いいじゃねえか。この家にはいりきらないほどの金が明日にも俺らのものになるんだよ」
「あんた……(馬鹿だねこの人は……)」


 有次郎は何ヶ月も自分の推測が当たっていることを証明しようと夢中になった。
 喜八郎のあの呪文を声高く唱えながら、二本の鉄の棒をひきずってあたり一帯をくまなく、川の底まで探って歩いた。ところが、そうまでして掘り出すことのできたものは、わずかに漆喰で固めたようにどこもかしこも錆びついて、小石の詰まった馬鹿でかい瓢箪そっくりのうつろな音がする、室町時代頃の出来の甲冑にすぎなかった。保瀬有次郎と四人の男が苦労してばらしてみると、女の髪をおさめた銅の首飾を首にかけ、白骨と化した遺体がなかからあらわれた。


※気が向いたらつづきます。

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