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TACHIKAWA dystopia 7 Reykjavík

「今日はミナトクに行ってきました」
「ミナトクか。ルート69が出来てからタチカワから近くなったよな」
「一直線ですもんね」
「28年前に開通したんだよ。俺が10歳のときだね。記念式典みたいなやつに行ったよ」
「へえ」
「花火がばんばんあがってさ。綺麗だったよ」
「ハナビって何ですか」
「あれ? いまもあるだろ?」
「英語で言ってください」
「えっと……fireworksかな」
「ああ、わかりました」
「遙、お前ってやっぱり外国に住んでたの?」
「秘密です」
「秘密ばっかだよねお前って。ま、いいや。ミナトクなんか行っても何もないだろ? R6ヒルズなんて廃墟じゃん。こっちのタチカワのほうがまだ栄えてんだからさ」
「大使館があるんですよ」
「大使館ねえ。今日び機能してないんじゃないの」
「アイスランド大使館あたりをお散歩しました。
タカナワです」
「アイスランドか。海面上昇でもうない国だな」
「オーロラが綺麗なんですよ」
「もうないのに?」
「次元上昇にともない別の宇宙にいったんです」
「なんかよくわかんないなあ。お前もマリファナやってるの? 合法だからいいんだけどさ」
「気管支炎があるからすえないんですよ」
「ふーん」
「レイキャビクではいま……あ、何でもないや」
「え? 何なの」
「秘密です」
「秘密ばっかだね。彼氏にも秘密があるの?」
「彼氏なんていませんよ」
「前言ってたじゃんいるって」
「いろいろあるんですよ」
「よくわかんないな。じゃ、俺なんかどう? 17歳違うんじゃ対象外かな」
「秘密です」


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