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New testament 2

「ただいまー」
「おかえりなさい、ヨセフ」


「え? 東方の博士って人達がきたの? エルサレムからヘロデ王の使いで」
「ええ。黄金、乳香、没薬を頂いたわ」
「なんで?」
「ユダの地、ベツレヘム。あなたはユダを治める者たちの中で決して一番小さくはない。わたしの民イスラエルを治める支配者が、あなたから出るのだから」
「何? それ」
「預言書にあったんだって」
「つまり僕達の子ども、イエスがイスラエルを
治める支配者となる……ここはベツレヘムだし」
「やっぱりあなたのみた夢の通りなのね」
「そうだなあ。荒唐無稽だけどこんなのってあるんだな」
「もう遅いし寝ましょうか」
「そうだね。イエスもすやすや寝てる。可愛いなー。……する?」
「だめ」
「そっか」


『ダビデの子ヨセフよ』
「ん? また夢か。主の使いがあらわれるやつだな」
「立って幼子とその母を連れ、エジプトへ逃げなさい。そして私が知らせるまでそこにいなさい。
ヘロデ王がこの幼子を捜しだして殺そうとしています」
「ええ……やばいやつじゃん」


「マリヤ、逃げるよ」
「え?」
「また夢みたんだ。やばい」
「夢?」
「話はあとだ。行こう、エジプトへ」


「ベツレヘムとその近辺の二歳以下の男子は皆殺せ。一人も残らずにだ」
「承知しました、ヘロデ王様」
「ったく。王は俺なんだよ。マジでむかつくわ。
何なんだよユダヤ人の王が新しく生まれたとか。
意味わかんねー。危機分子でしかねーわ。芽は潰す。東方の博士達も結局エルサレムに戻ってこなかった。クソがよ」


ーーしかしヘロデ王は死んだ。なぜかって? ちょっと聖書にかいてないからわかんね。すまんな。あ、老衰かもな。


『ダビデの子、ヨセフよ』
「あ、また夢だ。ちゃんとエジプトにきて暮らしてますよー」
『イスラエルへ行きなさい。幼子の命をつけ狙っていたものは死にました』


「マリヤ、イスラエルへ行くよ」
「えーせっかくエジプトに慣れてきたのに。また夢?」
「ああ」
「しょうがないね」


「イスラエルに来たね」
「ヘロデ王の子、アケラオがユダヤを治めているらしい」
「やばいね」
「また夢のお告げがあった。ガリヤ地方へ行こう。ナザレという町だ」
「預言書にあるみたい」
「なんて?」
「この方はナザレ人と呼ばれる。イエスのことよ、私達の子どもの」
「僕達すごい人を育ててるね」
「うふふ」


「ところでなんでこの話の画像、三茶の飲み屋街なの?」
「これかいてる人の趣味だって」
「ふーん」

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