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Cien Años de Soledad 3

前回までのあらすじ:

 舞台は馬古戸というちいさな村。あるときチンドン屋の喜八郎という男が面妖な道具を持ち込んだ。それは二本の鉄の棒だ。喜八郎を名乗るチンドン屋のその言葉を信じるのならば、古代中国の発明の煉丹術師の手による世にも不思議なしろものである。

 喜八郎は家から家へ、二本の鉄の棒をひきずって歩いた。するとそこらの手鍋や火掻き棒らが転がり落ち、喜八郎の魔法の鉄の棒のあとを追った。唖然とする村人達。

 保瀬有次郎はこの道具は地下から金を掘り出すのに使えるのではないかと思い、騾馬と仔山羊とを交換する。喜八郎の呪文を唱えながら有次郎は鉄の棒を引きずって歩くものの、見つかったものは室町時代の出来の甲冑のみにすぎなかったーーーー



 再び三月になり、チンドン屋達が舞い戻ってきた。今度は一台の望遠鏡と太鼓ほどの大きさの一枚の虫眼鏡を持ち込んだ彼らは、南亜細亜の印度人の新発明とうたって品物を公開した。仲間の女を村のはずれに立たせ、望遠鏡を幕屋の入り口に据えた。村人達が五円の金を払って覗くと、本当に手が届きそうなところに女の姿があった。喜八郎は吹聴した。


「科学のお陰様で距離なんてものは消えたんでさあ。人が我が家から一歩も外に出ないで、地上のすべての出来事を知ることが出来る日もそんなには遠くないんですぜ、旦那」


 また、巨大な虫眼鏡をつかった驚くべき実験が、焼けつくような日射しの正午を選んで行われた。


「おいおい喜八郎とやらは何をする気なんだい」
「枯れ草を集めて……山と積んだぞ」
「あ、虫眼鏡が……」
「なんと、火がついた。凄えな、有次郎の旦那」
「ううむ……このあいだ手にいれた鉄の棒じゃあ、金なぞ見つからなかったな……。ああ、そうだ、あの虫眼鏡は兵器として使えるんじゃあなかろうか」
「いやあ、有次郎さんよ……」
「いいじゃないか、喜八郎さん。ほれ、このあいだの鉄の棒はお返しします。そしてこれはどうだ、江戸時代の古い小判三枚でどうかね」
「仕方がありませんなあ……」


「あ、あんた、あの小判はやっちまったのかい?
いやだよ、あの小判はあたしの父さんが苦しいなか一生かかって貯めたものの一部なんだ。あたしがいざというときのために茶箱にいれて蔵に仕舞っておいたのにさ。ああ、どうしてくれるんだい」


 そんな有次郎の妻・瓜子に優しい言葉ひとつかけないで保瀬有次郎は軍事上の実験に没頭した。
科学者にふさわしい献身ぶりを示し、生命の危険さえかえりみなかった。続く(たぶん)。

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