SOBGIT2s 3 Blackbird

「スイ、帰ったんだ。お帰り」
「うん。ただいま」
「あたし今日休みだから。何か作るよ。オムライスとかでいい?」
「うん」
「赤カブとブラウンマッシュルームとサラダ菜でサラダにしよっか。ベーコンのチップもいれてさ。オリーブオイルと塩とヴィネガーかけよっかな。塩はいい塩買ったんだよね」
「いつもありがとう」
「ん? 何? あんたの姉ちゃんなんだから当たり前だよ」
「仕事大変なんでしょ」
「んー、子どもは知らなくていいよ」
「僕もう17だし」
「まだ子どもじゃん」
「姉ちゃんだってまだ21だろ」
「まあね」
「みんな大学とか行ってるんでしょ」
「あたしは自分の仕事好きだし。稼げるもん、いいんだよ。はい、お小遣い」
「こんなにあってもなあ」
「いいじゃん、お金はいいよ。手段や選択肢が
増える。お金がなくて何か諦めるなんていやじゃん。あんたもいい大学とか行けば」
「勉強嫌いだな。音楽ならしたい」
「じゃ、バンドとかしなよ。姉ちゃん応援するから」
「いまギター弾いてるけど難しいな」
「あ、そういえばあんたの部屋から聴こえたこと
ある。あれ弾いてたんだ」
「うん。まだゆっくりとした曲しか弾けないよ」
「何弾くの」
「BeatlesのBlackbirdとか」
「よく知らないなあ」
「弾いてみるよ。ちょっと待ってて」
「うん」
「ほら、弾くね」
「あ、なんか聴いたことある。パパとママが聴いてなかった?」
「そうだっけ」
「あんたはあんまり知らないか。あんたが11歳のときだもんね、飛行機事故」
「11歳なら覚えてると思うけどね」
「そかー。あたし17でいまの店入ったんだ」
「5年やってるんだね」
「向いてるんだね、この仕事が」
「SM?」
「あ、知ってたんだ」
「なんとなく」
「いいよ、楽しい。稼げるし。でもいまのうちかもね」
「好きなんだ」
「そうだね。これじゃないとダメ、かな」
「よくわかんないな」
「試してみる?」
「えー」
「姉ちゃんが相手じゃイヤか、ふふ」
「うーん」
「いろいろ教えたげるよ?あたしどっちもイケるから。SとMね」
「あんま興味ないよ」
「そう?」
「うん」

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