旅に出るなら

あんまり気持ちのいい話じゃないのですが、心に留め置きたいなと思ったので書いておく。

去年もnoteに書いたのだけど、私は概ね年イチ以上のペースで関西に旅行する人間である。特に京都は大学時代の4年ほどを暮らした街なので、好きなお店だったり行きたい場所がたくさんある。人の行き来の多さには目が回りそうになるが、街の造りにはそんなこと関係ない。本当にぴんしゃんと整って目に麗しい、手入れの行き届いた美しいところだと思う。住んでいる人たちも、こちらが礼を持って接すれば優しい。

先日もちょっとした用向きを兼ねて、行きたい場所に行ってきた。宿泊予定のホテルは京都駅から一駅先だったので、大阪と行ったり来たりの後の交通の便を考えて、すぐに使わない荷物は先に京都駅のロッカーに預けることにした。

で、烏丸口寄りのコインロッカーである。具体的に書くと、グランヴィアの並びにある駅案内ではBと表示されるロッカー。ここはICで支払うタイプのロッカーで、空きを示すランプが点灯している箇所を開けたのだが、中に飲み残しの入ったペットボトルが取り残されていた。コカ・コーラの500ml。

正直、なるほどね…と思った。こういう憂き目に遭うのは初めてだが、あってもおかしくないと思う程度には、マナーのなってない観光客が増えているのは分かる。そういう観光客ばかりではないのは分かっているが、単純に数が増えれば質の悪いのも増えるのは自明、という話である。

次、と別の空きを示すランプがついたロッカーを開けた。残念ながら、こちらにも空のペットボトルが取り残されていた。ビタミン炭酸のMATCH。

流石にイラっとしたし、置き捨てたバカの脳みその程度が知れると思った。クソ蒸し暑いところで、逆に喉が渇きそうな甘い炭酸飲料を飲むだけのことはある。人の心どころか、脳細胞が死滅しているんだろう。

空きロッカーの神経衰弱をする気はなくなったので、そのボトルを手に取り、預けるように分けておいた荷物を入れ、ロッカーを閉じた。ついでに先のロッカーから飲み残しの入ったままのボトルも抜いた。まだ何か所もランプの付いたロッカーがあった。あの中に何本、置き捨てられたペットボトルがあるんだろうと、げんなりした気持ちになった。

自分が飲んだのではないペットボトルゴミ2本を持って、地下鉄目指してエスカレーターを降りたところで、運よく清掃員の方に出くわした。事情を話すと、些か驚いた顔で引き取って下さった。

海外から来た人たちにしょっちゅう言われる。日本の駅にはゴミ箱がない、ベンチが少ない、通りにゴミ箱がない、公園にもゴミ箱が少ない、なんという不便、不親切だ。
昔、地下鉄サリン事件というものがあってな、と話すと黙るが、それで彼らの不便さが解消されるわけではなく、でも一つくらいはあっても…と、不満そうなのは見ればわかる。
そして同じ口で、日本の通りは綺麗だと誉めそやす。ゴミが落ちている場所が少ないって。

日本の街がそうやって概ね清潔を保っているのは、ゴミ箱の少ない不便を我慢して、自分の出したゴミは持ち帰るか、使ってもいいゴミ箱まで持っていく人が多いからだ。清潔を保とうとする一人一人の小さな努力を習慣にし、その積み重ねで成り立ってる。
旅先であっても、自販機の横にはペットボトルの回収箱が、コンビニにはゴミ箱が大体設置してあるし、ホテルにはなおのこと。

声を大にして言いたい。
どこに住んでる誰だろうが関係ない。自分が出したゴミくらい、捨てられるところまで持って行けよ、ペットボトルだって空なら重くもないし、大した労力じゃないだろ。
コインロッカーは次の人が使う公共の設備だ。ゴミ箱じゃない。仮にもロッカーを使ったなら、それくらい分かるだろ。

京都だけの話じゃない。年々問題になってるバーベキューのゴミを散らかして帰るやつも同じだよ。出かけた先に住んでいる人たち、そこで働いている人たちに敬意を持って遊べないなら、迷惑だから家から出るな。