旅に出て考えたこと

LifeCLIPSが消えて以来、ほぼ何も書いてなかった。せいぜい、XことTwitterでつらつらセルフリプを連ねてツリー作るくらい。まあ平凡な生き物なので、そんな日常に面白いこともない、多分(※たまにあったことを話すと笑われるので自信がない)。

そんな状態で来て、今更のようにここを開けて何を書こうとしているか。
自分は今シーズンをファジアーノ岡山と一緒に楽しんできたか、改めて考えたという話である。

楽しい旅の話

週末、京都に一泊二日で遊びに行ってきた。大学時代を京都で過ごしたので、京都には時々遊びに行く。好きな場所やお店がたくさんあるのだ。

まあ、京都は旅行客で大体いつ何時でも混んでいる。基本的に秩序のない人込みが嫌いなので、それだけで不快指数は4割増し。ただでさえ混んでいるバスに、大きなラゲッジを引きずって乗ってくる観光客は、個人的には迷惑客だと思っている(※実際バスの中にも、大きすぎる荷物は持ち込まないように、場合に寄り割増料金を払ってもらうことになると、バス会社によって張り紙がされている)。
更には盆地故に気候の厳しさがすごい。正直、夏の気温と湿度は、わざわざこの時期を選んでお前は何しに京都まで行くのかという感じ。

理由の半分は食い気、残り半分は学生時代の友人と遊び惚けるため。
今回は完全に一人旅で、だらだらと好きな場所を歩いて回り、推しカフェで8月限定のお菓子と冷たい煎茶だの、苦みの強いアイスコーヒーだの、冷たい甘酒だのをいただき、これまた推し和菓子店で予約していた菓子を買い、百貨店で実家からの頼まれ物を買い整えたりした。別に地元でも買えるような、いらぬ買い物もした。
初日は2万歩超。あの気温の中を。翌日も1万歩を優に超えていた。あの気温の中を。紛う方なきアホ、実に楽しかった!
そう、人様に迷惑をかけない範囲でアホやってるときは、概ね楽しい。

そうして、ふと振り返った。大好きなファジアーノ岡山のこと。

今シーズンのモヤモヤ

ファジアーノ岡山SC。地元のサッカークラブ。J2。
2011年に初観戦したものの、天邪鬼が顔を覗かせ、上司に布教されて、スタジアムに足を運んで観戦し始めたのは2017年。そこから延々と、シーズン中はホーム戦に足を運ぶ日々を過ごし、オフシーズンの移籍に震え、時々涙を流している。
まあ勝負事だから浮き沈みがあるし、いつも満点とはいかない。勝ったら嬉しい、負けたら悔しい。かれこれ6年目、毎年浮き沈み。
でも一眼レフを抱えて推し選手の活躍を撮り、これは自慢だけどリーグでも有名なスタグルに胃を宥められ、マスコットの可愛さに癒され、ぼっち極めつつある割に顔を合わせるサポーターさんもできて、ゆるやかに観戦を楽しんでいる。

今年(2023年)。推しクラブは新監督の指揮のもとで2022年J2で3位という成績を引っ提げ、J2優勝を目標にシーズンのスタートを切った。
結論、割と足踏みした。シーズンも残り10試合ほどとなった現在、PO圏内を睨みつつ、ほぼ中位。

「我々には余り時間が残されていないと思っています」。これはクラブの社長の言葉である。
発表があった通り、Jリーグはプレミア化を目指してクラブへの分配金の傾斜を更に大きくしていくことになっている。
大きな親会社を持たない市民クラブ故、所属カテゴリーを理由にリーグからの分配金が目減りすれば、選手の補強やクラブの存続にダイレクトに響いてくる。出来る限り早期にJ1に昇格しなければならない、分配金の傾斜が大きくなればなるほど、昇格と定着のチャンスそのものが遠のく。

地方故に発されたその言葉が、地方民には骨身に沁みた。スタッフにも選手にも効いただろうけど、おそらく特に地元社会人のファンやサポーターに効きすぎた。これは大きな経済圏の形成が難しい、鄙住まいにしか分からんやつ…。

よく言われることだ、チャンスの神様には前髪しか生えていない。だからこれだと思ったら、毟り取る勢いで前髪を掴まなければならない、と。
振り返るに、我々はそれを掴み損ねたのではないか、そう感じながら今シーズンを過ごしてきた気がする。

自分のことじゃなくて、でも自分の好きな人や場所が切羽詰まっていると思って、尚平静でいられる人って、多分あんまりいない。
それで大上段に構えて、期待を重くしてしまったのじゃないか。自分を楽しいだけじゃすまなくしてしまったんじゃないか。なんだよ、去年まではもっと軽やかにいられたじゃないか。

どうしてそんなに分配金の傾斜を更にきつくしようとするんだ、地方の後発クラブは地方の人気者のままで、いい選手は固定化されていくだろうJ1に引っこ抜かれるまま、地方で少ない金でヘラヘラ適当に楽しんでろ、そういうことか? って拗ねる気持ちが、正直ある。中央集権と同じ構図じゃんって思う。日本における東京という巨大な経済圏と、一応独立して立っていられる程度の中規模経済圏、そして束になっても適わない地方。

こちとら束になっても適わない地方の、更に一地方住まいだ。来てくれる選手を手厚く歓迎したくとも経済規模が小さい田舎故に、ただでさえ首都圏にアドバンテージを握られているのだ。実際田舎ってだけで敬遠されることもあるだろうよ、首都圏の同カテゴリーに移籍した選手に「(移籍先周辺には)いいカフェが多い」みたいなこと言われたりしたし。
嘆いたところで時計の針は戻らないし、田舎は田舎のまま、先々分配金は減っていく。

肝心なのは、それでも私が地元のクラブが好きだってこと、クラブに来てシーズン中懸命に一緒に戦ってくれる選手の後押しが、ほんのちょっとでもしたいこと。

好きなものを好きに楽しめ、とにかく現場で踊れ

土曜日、ホテルの近くまで戻ったら近隣は混雑しすぎていて、目当ての店では夜ご飯を食べられなかった。小さなチェーン店で遅めの夕食を摂りつつ、音を消したDAZNでアウェイの試合をちらちら観ていた。勝ってくれ、そう思いながら。

ああなんだ、私の中では京都旅行とおんなじだ。ふと、そう思った。
嫌なところも思いつくけど、それを乗り越えてしまうくらいは、好きなところがある。

6年近くさ、ほぼ隔週で土曜か日曜のどちらかを、暑い日も寒い日も雨の日も、何なら苦手な雷が鳴っていても、試合を観に行って6時間とか、屋外で過ごしてるんだよ、基本インドアの人間が。そのくらい好きなの。正気じゃない? そりゃそうよ、推し活なんて正気でやってられる訳もない。

正気じゃないサッカーサポはみんな、ずーっと立って声出して飛び跳ねて応援しながら試合を観てるんでしょ? って思うじゃん?
いや、全然。そんな元気はない。そんな、元気は、ない! サッカーの応援と言って普通の人が思い浮かべるような、大きな旗を振ったりチャント(応援歌)を歌ったりしているのは、概ねゴール裏と呼ばれるゾーンの人たちで、その辺りのことはゴール裏のサポーターの皆さんが頑張ってる。後の大多数は、座ってご飯やおやつを食べたり、唐揚げやフライドポテトをつまみにビールやジュースを飲んだり、知り合いと喋ったりしながら、チャンスやピンチのシーンでゴール裏のリードに合わせて手拍子したり、選手の笑った顔やカッコいい姿を下手なカメラで撮りつつ、元気だな、頑張ってるな、楽しんでるな、勝ってくれと思って試合を観ている。ゴールの瞬間に、わーっ!って声出して立ち上がって、写真を撮ろうとあたふたしている。
「正気じゃない」にも種類があるってこと。むしろ「正気じゃない」ってところしか共通項はない。多分外から見たらみんな「正気じゃない」で一括りだけどね。
でもまあ、人様に迷惑をかけない範囲でアホやってるときは、概ね楽しい。そう書いた通り。楽しい。

ご飯食べながら観ていた試合には勝った。二連勝。やー、ひやひやもしたけど、嬉しかった。旅行も相俟って晴れやかな気分の週末になりましたわ、そうこなくちゃよ。

しんどかろうが好きなんだから仕方ないし、推しクラブがチャレンジしなきゃならないなら、一緒にチャレンジするしかないよね。リーグの思惑とかどうでもいいわ。
だって推しの活躍なり笑顔なり、DAZNに映るとは限らない。だから行ける限りは現場で踊ろうと思った。

人の気持ちは波打つけれども、自分の今の気持ちを、ここに書きおく。

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