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ドラマ 1話-4(試訳)

●程鳳台、范湘儿 寝室
范湘儿:太もも、どうしたの?医者を呼びましょうか?
程鳳台:心配ない。二日前に馬から落ちたのさ。もうだいぶ良くなった。食事の時言いかけた話。商とかいう役者の。君の従兄夫婦とどう関係があるの?
范湘儿:これもいい話ではないのよ。平陽にいたころ、その商細蕊がね、彼は蒋梦萍とは親しい弟弟子で、幼いころから彼女をとても慕っていたのよ。でも、彼女のほうは意に介さなかったのね。彼の気持ちを考えずに、従兄の常之新に恋をしてしまった。二人が結婚するつもりで動き出した時、商細蕊は大荒れに荒れて、嫁ぐのを許さないと言ってずっと彼女を追いかけ回して、外の劇団で演じられないようにして、それどころか、彼ら三人の事を芝居にして毎日演じたのよ。皆、知ってるわ。
程鳳台:どんな芝居なの?
范湘儿:どうして私が知ってるわけ?男が娶ろう、女が嫁ごう、あなたの気持ちは私の願いって?一人の弟弟子が姐弟子を愛する。嫉妬でトラブルを招くのよ。話題にならないわけがない。
程鳳台:彼がしたことはブロードウェイのスターが新聞記者を招いて会見をして、辛い胸の内を晒すようなものだろう?醜聞は美談に、美談も度を超せば醜聞になるように自伝を書いたに過ぎないさ。
范湘儿:なにがブロードウェイよ!女性の恥はどうでもいいと言うの?!
程鳳台:そうは言ってないさ、家業が芝居だから、専門的なニーズがあって…
范湘儿:女性が破廉恥なふるまいをしている様を舞台で、さも事実であるように見せられて、これが深刻でない?!
程鳳台:はいはいはい。君が深刻だと言うことは、深刻に違いない。
范湘儿:あなたね~、ポスターに出ている女性たちが気になりますか?まだ女性スターがイイの?
程鳳台:私が何を心配してるかって、君の従兄の嫁さんを心配したほうがいいと思ったのさ。彼女のために二人の男が戦ったのだろう?それなら、彼女はどれほど美しいかって。
范湘儿:確かに美貌よ、でも残念ね、マスタ―がいるわ。
程鳳台:惜しいねー。ああ、まったく惜しい。(妻、つねる)痛っ痛いよ!
范湘儿:お産よりひどい痛みかしら。
程鳳台:ちょっと言ってみただけじゃないか、嫉妬してるな。
范湘儿:これでも喰らえ!(また、つねる)
程鳳台:惜しいな~。残念だが私にも君というマスターがいるんだ。私は信じないよ、蒋梦萍が私の妻より可愛いなんて。私の妻は東北で一番の美人だ。(我可得小小点)できないから悪者に拉致されたんだ。
范湘儿:あなたったら。ちびっこが大男になって、この口の達者な事!
程鳳台:いいね。君が何と呼ぶか見てみよう、なんて言う。。。(布団のなかに誘う)

●衣装店 店内
店員:店長~、シラミでも探しているかのようですね。
馬店長:向こうに行ってなさい。さ、行った行った。
商細蕊:糸が出ている!
馬店長:私が見ましょう。どこですか?ありませんよ?
商細蕊:大きく目をあけてよくよく見て!ここ!
馬店長:ありませんよ、あ、ここ?ちょっと糸の端が出ているんですね。商さん、あなたのところの糊洗師が直してくれますよ。
商細蕊:戦金山で着用した服で、梁紅玉は出征できない。鎧が緩くて、糸の始末も出来ていない。うちの糊洗師は蘇州刺繍を施すことが出来ないのに、どうしろって言うんです?
馬店長:じゃあ、あなたは何とおっしゃるので?
商細蕊:この伝票にはサインしません。返します。衣装をやり直す必要があります。
馬店長:そんな・・・。商さん、糸の端が出ているだけじゃないですか。融通してくださいよ。二割引きにしますから。
商細蕊:お金の事じゃない、私は良い衣装が要るんだ。
馬店長:私は…これ、届いたかと思えば返品なんて、安いものではないのですよ、上司に訊いてみないと・・・。
商細蕊:夜には舞台があるから早くして。
馬店長:上司はとても忙しいんです。しばらく時間を。なかなか連絡がつかないんですから、お待ちいただかないと。
商細蕊:あなた方の上司って誰ですか?
馬店長:曹司令の妻の弟さんで、東北の有力者・范家の娘婿、程鳳台です。
商細蕊:曹家の小舅、だからそう勿体つけて言うんだね。司令のことは怖くないけれど、彼は怖いな。でも私は今日舞台があるんだ。ここであなたと雑談していられない。戻って、程さんと話し合ってください。(立ち去る)
馬店長:商さん。この役者め。


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