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ドラマ2話-3(試訳)

●程府(程氏自宅)寝室
程鳳台:ご機嫌斜めだね。
范湘儿:あなたは今夜の英雄よ。まだそんなことをするなんて。
程鳳台:どんな英雄も君という美人の関所では立ち往生さ。…笑えない、笑えない。
范湘儿:馬鹿な話はやめて。私があなたに嫁いで何年になると思うの?あなたがまだ殴り合いの喧嘩をするなんて知らなかったわ。商細蕊がどういう役者だって言うの?!天下随一の花形役者、彼のために争う贔屓を彼はたくさん見ているわ、人に知られる名声が無かったら、あなたが頭を打ったとしても彼は見向きもしないわ。彼はお客の野次に遭っただけよ、あなたがでしゃばる必要があるの?忙しい体なのに。
程鳳台:男が外で喧嘩沙汰を起こすくらい、何が珍しいものか。どうしてそんなに怒る必要があるのかな。
范湘儿:わかっているわよ、私にあなたを管理する資格なんてないってこと。あの頃、父が中国の半分に影響力を持っていたからあなたに嫁げたのだもの。あなただって断れなかったんでしょう?(才捏着鼻子要的我)会ったこともない田舎娘、才能も容貌もあなたに釣り合うかわからないような…。
程鳳台:どうして、そう、ひねくれた事を。君を妻に迎えられたことは、私にとって最大の幸運だよ。いつだって君の幸せを考えているよ。今夜の事はもう言うな。私も衝動的だった、拙かったよ。でも、君もくだらない話を聞くな。もう、絶対に喧嘩沙汰なんて起こさないから。
范湘儿:言っておくけれど、察察はもう子供ではないわ。今後あの子を人前に連れ出してはダメよ。
程鳳台:わかったよ。
范湘儿:痛むの?
程鳳台:痛い、でも、キスしても痛くないよ。
(顔を寄せるが、不意にかわす)
范湘儿:いい気味だわ。
程鳳台:痛いじゃないか、どうして騙し討ちに遭わせるんだ。

●水雲楼 食卓
十九姐:今日の汇宾楼での事。支配人はあの騒ぎにこだわらないけれど、これは座長として恥ずかしいことなんじゃない?(太不是个東西了)あんたもすごく衝動的で、歌わないなら歌わないで・・・
商細蕊:芝居を変えたのが原因だって言いたいようだけれど、連中は聴くより前に立ち上がって騒ぎだしたんだ。劇場がお茶代でいくら稼いだか、知ってるよ、僕は馬鹿じゃない、今晩たまたま汇宾楼の問題を見つけたんだ。困り事を我慢して、じっとしているなんて面白くない。
十九姐:そういうなら、まず次の興行場所を見つけないと。上演できないと水雲楼一座全員、やっていけないわ。
商細蕊:北平の劇場は汇宾楼だけじゃない。別の劇場で上演するよ。二日前、私に打診してくる劇場が7~8軒あったんだ。気持ちよくできるところを選べばいい。
十九姐:それと・・・私と小来で例年の贈り物を用意したわ。前に座長は自分で姜荣寿のお屋敷に届けたし、二日前のお祝いには伺わなかったのだから。私聞いたわよ、姜荣寿がとても怒ってテーブルを叩いたって。
商細蕊:行かないよ。
十九姐:行かなきゃダメ!姜家はとても伝統のある家柄なんだから。あんたは「強い龍は地面を這う蛇を押しつぶさない」(*)喩えを聞きいれなさい!
商細蕊:姜荣寿がテーブルを叩くと怖くて、僕が叩くのは怖くないのかよ?!
何を心配するのか、まったく僕はわからない。僕は売れっ子だよ、大勢が僕の芝居を聞きたがる、僕の舞台を褒めそやす、贔屓のお客が支援してくれる。それをまるきり無いかのように。姜荣寿に会ったら僕は「師大爷」と呼ばなきゃならない、そんなの嫌だからね。…さっさと喰え!
劇団員たち:食べよう、食べよう、食べよう。

*強龍不圧地頭蛇、出典は西遊記。異国(よその土地)からきた英雄、強者は強いけれど、最終的には孤立してしまうから地元の力と競うことはできない、抵抗することはできない、という意味。

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