見出し画像

廃れる安心

縛るものが消えた世界で、時間もなく、
よく晴れた空や、魂さえ透かしそうな月夜もなく、

吸収どころか、噛み砕く暇も与えられずに
次々と更新され、投与される「最新」「最適」「常識」。

便利さ故に、情緒や今までの濃度を失った生活。

無益なのに引き剥がせない、非常に下らない、反吐が出る人間関係。

そういったものも一切なくなり、
お金がこの世から消え、ツタとアスファルトに走るヒビまみれの廃れた世界で、ゆったりと数年過ごす。
そして眠るようにして死にたい。

よく空想してみる。

人がいない世界でも音楽を作り続けられるか。
人がいない世界でも物語を描き続けられるか。
人がいない世界でも歌いたいと思えるか。
人がいない世界だったら、
  死にたいとは思わないだろうか。
  その代わりに生きたいとも思えなくなるのか。

縋るものがこの手の中から無くなるのを恐れながら生きるのは、本当に善なのか。
真だと断言していいものは本当はないのではないか。

空白の世界は、想像もつかない。
そういう世界があったとして、どんな思考が生まれるのか覗いてみたい気もするけと。

なんとも耐え難い、全てのものが赤黒く光り、激しく震えて刻まれるように感じる苦しさ。
これと引き換えにして得られるものが、
蠢き続ける世間、人間、時間、感情、大半を占める無駄、くすみ続ける目玉があるのだとしたら、

それを生きるに値する!と言えるほどに自分は生き切れるのか、命の汁を絞り切れるのか。

なんの前触れもなく、こういった問いかけが無限に続いて、身体中を反響し続ける。
そして時にそれが手の震えや発汗、火照り、目眩、息苦しさを引き起こす。
えっとまぁ、要するにクソだ。

まず目先のことをこなすべきだぞーばかたれー
とは分かっていながらこういったことを考えてしまうのは、悪い癖だな。
全部茶番ということにしておきましょう!

眠いし、とりあえずコーヒーでも飲みましょうか。

今日も頑張りましょう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?