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ミュージカル『CROSS ROAD 〜悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ』 観劇記録
『CROSS ROAD〜悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ』この作品の虜となってから1ヶ月以上。更新しようと思っているうちに配信&衛星劇場での放送などが発表されて…たくさんの方にこの素晴らしい作品を届けられることに感謝。そこで、今更ながら観劇の感想をまとめてみようと思う。(尚、木内健人さんのパガニーニ回を多く観劇したため偏りがあります。)
なぜこの作品を観劇し、魅了されたのか
この作品を観劇しようと思った理由は宝塚時代から大好きな娘役である「有沙瞳さん」の退団後初のミュージカル出演。それだけの理由でチケットを取り4月23日劇場に向かった。幕が開くまで、「まぁこの作品は観劇一回だけでいいかな」と思っていた。しかし、1幕終了直後の幕間…即リピーターチケットを購入していた。「すごい作品に出会ってしまった。」今原点に立ち返ってみると、最初はこのただの直感だったのかもしれない。
2幕終演後木内健人さん、有沙瞳さん、山寺宏一さんの初日ということで舞台挨拶があった。そこでの木内さんの挨拶が忘れられない。大体の内容は「僕にとってこの作品は特別な人生の十字路のようなもの。幕が開いてからがスタート。」「特別な人生の十字路」という言葉にハッとさせられた。この人...本当にすごい人だと直感が働いた。この日の帰り道は衝撃を受けすぎて...xの更新を忘れ、すごい存在に出会ってしまったというほぼ放心状態であったこと。今でもこの感情は忘れられない。
エリザの「コンサートが成功するたびに一輪ずつ増やしていくの素敵じゃない?」に習ってその理論でチケット枚数を数えると...最終的にバラの本数の意味「最愛」になった。今までの人生でここまで深く考察したり、語り合うことのできる作品出会ったことがないと思う。ここまで作品に魅了される理由は劇作家藤沢文翁さん「言葉を大切にしている」のも一つだと考える。
ここからは印象に残った場面や登場人物の印象を記録していきます。
登場人物 各印象
・アムドゥスキアス 中川晃教さん
中川晃教さんしか演じることができないであろう悪魔。本当に悪魔と契約をしているのではないかと思ってしまうほどの歌唱力に初めて聴いた時は衝撃を受けた。作中、酒場の場面や所々でユーモアやお茶目な姿を見ることができた。(前方観劇の際とある場面で目があった瞬間「どうも」と言われて驚いた)しかし、この物語を通してアムデゥスキアスが一番孤独だったのではないかと思う。
・ニコロ・パガニーニ 相葉裕樹さん/木内健人さん
◯相葉裕樹さんパガニーニ
相葉さんのパガニーニは、アムドゥスキアとの契約で自らを偽って作っている感じがした。根底に母親を喜ばせたいって思っていて勢いで契約をしていたり、精神的には大人だが、時より自暴自棄になっているのが印象。
◯木内健人さんパガニーニ
木内さんパガニーニは繊細で特に契約前やテレーザの死から自暴自棄になってしまった場面では一度触ったら壊れてしまいそうな…。そして、精神的に大人になりきることができず、幼いまま大人になってしまった印象がある。現に春野さんテレーザに「ニコロ」と言われるたびにとても苦しそうな表情を浮かべている。それゆえに自ら壁を作って随所で「孤独」を感じ取ることができて、心から許したのはアーシャとアルマンドだったのかなと感じる。
両方のパガニーニに共通したのは、「根底は母や家族を喜ばせたい!!」そんな意思でアムドゥスキアスとの契約。100万曲命を削って至宝の悪魔のような演奏ができる代わりに「絶対アムドゥスキアスのために演奏を捧げなければならない」この誓約が彼の人生を一番苦しめたのではないかなと感じた。
・アーシャ 加藤梨里香さん/有沙瞳さん
○加藤梨里香さん アーシャ
とにかく「天真爛漫」この言葉が似合う!!とにかく突っ走っていくアーシャ。2幕の「ギャンブルには一つルールがあってね!!」の自信満々な台詞回しが大好きだった。
○有沙瞳さん アーシャ
退団後初ミュージカル。みほちゃんが客席から現れて、「Casa Nostalgia」を歌った時、またみほちゃんの歌声が聞けるということが嬉しくてしょうがなかった!!元気でお茶目、猫みたいなのはもちろんだがたまに精神的にパガニーニより大人で見ているこっちも「はっ」と思うことがあった。
・アルマンド 畠中洋さん/山寺宏一さん
○ 畠中洋さん アルマンド
一言で表すと「父性」。畠中さんのアルマンドに何度も泣かされた。1幕最後に繋げるための場面転換の際「私の生い立ちから〜」と言ったりフィガロの結婚で「何回言ったでしょう?私もわかりません!!」などユーモア溢れる姿に癒させた。
○山寺宏一さん アルマンド
一言で表すと「母性」。山寺さんのアルマンドはお芝居の台詞回しなど所々で優しさやパガニーニに対する心配など母性を強く感じた。1幕最後に繋げる場面転換の際には「20分間の休憩を〜私は少々喋りすぎました」と思わずこちらも笑ってしまう可愛いアルマンド
・コスタ先生/ベルリオーズ 坂元健児さん
○コスタ先生
パガニーニがジェノバから追放になった要因の一つ。観劇するごとに「才能」という曲が残酷だなと感じる。
○ベルリオーズ
自分が破産寸前でも他人のため人のためと救済コンサートを行う姿が印象に残っている。パガニーニがベルリオーズに投げかけた台詞はどれも心に刻まれている。
・エリザ・ボナパルト 元榮菜摘さん
菜摘さんのエリザ。個人的に大好きな登場人物。彼女も孤独でパガニーニに出会った瞬間自信に満ち溢れて幸せそうな姿を見ると自分自身も重ねてしまうところがあり…特にパガニーニを突き放す「離れれば離れるほどに愛」は感情移入しすぎて観劇するたびに涙が止まりません。
・テレーザ 春野寿美礼さん
ある意味リアルな母親像にも思える。母親として息子に期待しすぎてしまったが故、テレーザの「才能」という言葉にパガニーニは追い詰められていたようにも感じる。しかし、凛とした佇まいと彼女なりの愛情や息子を最後まで誇りに思う姿に涙した。
印象に残った場面
ACT1
相葉さんを最後に観劇したのが日比谷だったため、主に木内さんの印象になってしまうことをあらかじめご了承ください。
Cruel God
日比谷序盤の印象は音楽なんて...辞めてやる!!自分のものにならないなら...を強く感じたが、回数を重ねるごとに、音楽は好きだけど自分が天才ではないということ、家族を喜ばせることができない自分が辛いと印象に変わっていった。
血の契約
最初に観劇した際衝撃を受けたシーン。
契約前は「才能」はあるが「天才」ではない自分に失望し、このままでは壊れてしまいそうな印象だった。契約をした瞬間の表情と歌唱に衝撃を受けた。
特に大阪楽木内さんパガニーニが契約を結んだ瞬間から人が変わったようにまるで飛ぶようにして階段を一段飛ばしでクロスロードを駆け上がっていった姿が脳裏に焼きついている。
Asha the gypsy
パガニーニにとっては音楽は人生を縛られるものだったがアーシャにとっては差別や偏見などから自由になれるものだった。
Violinist The Devil
毎回中川さんのアムドゥスキアスがパガニーニに仕掛けに行くことが楽しみな場面。観劇した中で印象に残ったアドリブは...
1アムドゥスキアスが前日に髪の毛をシャンプー🧴したことを自慢
2残りの曲数でアムドゥスキアスがセリフを噛んでしまい...木内さんが指摘し、中川さんが「お前の真似だ😈」
異端審問〜ジェノバ追放
異端審問の際、木内さんパガニーニが激怒した結果周りが見えず...テレーザが「ニコロ…」って呼びかけなかったらずっと演奏していたのかな…と考えてしまう。
あの呼びかけで怒りに任せて弾いていたけど我に戻り後悔したような表情が忘れられない。
ACT2
アンコーラ
序盤終わりに近づくことを恐怖を覚え死ぬのが怖い...とひしひしと伝わってきたこと。しかし、「命で奏でろパガニーニ死の恐怖が消えるまで」の歌詞で自分を奮い立たせているように目の色が変わっていたのが印象的。
テレーザとアムドゥスキアスの対話
テレーザの隣にアムちゃんが座ったのは、パガニーニに対する牽制。「お前の音楽は全て私のためにあるって分からせるために….」
Casa Nostalgia〜血の契約rp
アーシャがジェノバからと言った瞬間何かを察した瞬間の表情が忘れられない。特に大阪公演での木内さんの手が震えていたことや既に泣きそうになっていたこと、この辺りから涙が止まらなかった。中川さんアムドゥスキアスに私が唯一の友達と言われた瞬間の表情や「呼んだでしょ」って言われた後の「呼んでない!!」は毎回胸が締め付けられるぐらい苦しかった。
改めて「天才」という言葉にどれだけ執着をしていたのかを改めて実感する場面。
パガニーニの「死んでやる!!」「弾いてやるよ!!」と言いアムドゥスキアスからヴァイオリンを渡された瞬間時より「バン!!」と強くあたった音がした日はアムドゥスキアスが悪魔感が強く、怖かったことを覚えている。
100万曲目
100万曲の前にパガニーニがアーシャに「それ音楽じゃなくて命じゃない!!」って言われた瞬間ハッとして「そうだ!!命だ」って言っていたこと。やはり、テレーザ亡くなってから「死んでやる!!弾いてやる」で大事なこと忘れていたと考えている。
アムドゥスキアスとの最終対決
「音楽に溢れていた人生 人は誰しも命を奏でる」
この歌詞がこの物語全てを語っているように感じる。
わたしは結局100万曲目はアーシャにイカサマって言われる前に受理されたと考えている現にアムドゥスキアスは「契約を覆すことはできぬ」って歌っていることもこう考える要因の一つだ。
アンコーラlast
パガニーニが亡くなった後に歌われる楽曲
「怖かったでしょあの拍手が」
悪魔と契約したことを知らない周りにとっては賞賛など良い意味合いだったが、パガニーニにとっては命を削る恐怖の対象でしかなかった。それを理解しているアルマンド。
私なりの解釈なのですが、アムドゥスキアスは100万曲目を演奏し終わった瞬間殺すこともできたが一番信頼できるアルマンドの元へ帰し、最後を迎えれたことはアムドゥスキアスなりの最後のプレゼンだったのではないかと考えている。
最後に
長くなりましたが、感想や考察は終わりです(ほぼXの総集編になってしまいました)
個人的なことですが、人生の十字路に迷い込んだ時にこの作品と出会い2幕終盤にパガニーニの「十字路は幻だ。お前の進む道は一本道慌てずに進め。いいな?」という言葉に何度も救われた。木内さんのパガニーニに出会えなかったら個人的な十字路に迷いこんだままだったかもしれない。また、暗い気持ちや不安にになった時にCasa Nostalgiaを口ずさんで勇気をもらっている。そのぐらい大切な作品になった。
人は誰しも一度は立ち止まることがある「人生の十字路」
この作品がたくさんの方から愛され、語り継がれていくことを願う。
○公演記録
シアタークリエ 東京公演 4/22(月)〜5/12(日) 新歌舞伎座 大阪公演 5/17(金)〜5/19(日) 博多座 福岡公演 5/24(金)〜5/26(日)
◯配信
8月1日〜14日 木内健人さん 加藤梨里香さん 畠中洋さん(4/30 昼公演)
◯衛星劇場
8月18日 相葉裕樹さん 有沙瞳さん 山寺宏一さん
(4/30 夜公演)
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