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視覚と思考と写真

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写真を撮ることが苦手です。見たままに写せない…と言ったら、「目の機能をカメラだけに任せちゃ駄目だよ」と言われた。視覚と思考は連動している。目は、脳は、見たいように見ているとも言え…
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#ひろがるしゃしん

シャッターは愛、ゆえに残酷

シャッターは愛の告白だと思いませんか? その世界への、その時間への、その人への。しかし、ゆえに等しく残酷でもあるのです。 わたしたちはふだん興味のあるものや好きなものだけを撮っています。そうでないものにカメラを向けることはあまりないはずです。とくに意図がなければ日常におけるほとんどの場合、写真とはそういうものですよね。その意味でシャッターはわかりやすい愛情表現だったりします。切るたびに「好きです」と告白しているような... しかし、同時にある事実にも気づくのです。例えば、

写真は詩

写真と「詩」はよく似ています。両方とも、見えるものより見えないそれを語ろうとするからですね。例えば、匂いや手触り、音や温度に味、それから時間や感情だって。どれも視覚以外の感覚で目には見えないものばかりです。でも写真や詩ならそれを感じてもらうことができるはずです。 だからなのか写真と詩の作り方には共通する部分があります。 実際に写真に対して「poetic(詩的な)」という表現が使われたりもします。それは両者の関係をよく表していると思います。優れた詩からは自然と画(つまり写真)