リアが流れた!どうする・・・?

今日、こんなツイートをしました。サーキット走行中にリアが出た時の対処法に関してですね。

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「FF車はアクセル踏みましょう」はまあわからんでもないとして、「FR車はアクセル戻しましょう」はアカンだろ・・・、おつり貰って吹っ飛ぶぞ・・・・ってやつ。ネット記事読んでると、テキトーな記事が多くてうんざりしますね。まあ書いてる側の経験とか、ライターのコスト的なものがあるんである程度はしょーがないですが。とはいえ、「じゃあてめー書いてみろよ!」ってのもごもっともだなーと思ったので、思いつく限り対処法を書いてみます。なお、ここに書いてある方法を実践してクラッシュしてもShiriNは一切のクレームや損賠請求を受け付けません。悪しからず。

あとこのnoteではアクセルとブレーキを主眼にして書きます。カウンターの当て方は触れません。だって、「前輪が行きたい方向にステアを切る」だけですもん。カウンターがうまく当てられないって人は、ドラポジやステア操作が間違っている可能性が大なので、そっち再確認してください。

なぜリアは流れるの?

まずそもそも、「FFだからこう、FRはこう」って分けて考えること自体がナンセンスだと思います。もちろん駆動方式が違えば対処は違いますが、やりたいことは同じ。大事なことは、「なぜリアが流れたか」です。言い換えれば、「なぜリアのグリップが不足したか」ということですね。

グリップが不足する理由は大きく二つあると思ってます。まあ複合するんですけど。
 ①リアの荷重が抜け、タイヤを路面に押し付けられなくなったから
 ②縦にグリップを振り分けた結果、横のグリップが不足したから
2つ目はFF車では起こり得ないので、主にFRやMRのお話ですね。
原因が①ならリア荷重を与える、②なら縦のグリップに振り分ければスライドは止まりますね。

ちなみに、FFもFRもリア荷重を与えるためにアクセルを踏みますが、FRに限っては、アクセルを入れすぎると①から②の状態になってリアスライドが止まらないってことがありますね。FFだとリアは駆動しないのでアンダーになるだけです。FFとFRのスライドコントロールの違いなんてこれくらいです。

シチュエーション別対処法

さて、リアスライドの対処法についてシチュエーション別にお話します。このnoteでは、各シチュエーションを以下のとおり定義します。

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ブレーキングはフルブレーキする区間、一次旋回はブレーキリリースしながらステアを切り込む区間(いわゆるターンイン)、二次旋回は最大舵角で待つ区間(アクセルもブレーキも踏んでいない、またはアクセルをパーシャルで踏んでいる区間とします)、立ち上がりはステアを戻しながらアクセルを踏みこんでいく区間です。
もちろん、コーナーレイアウトやスピードレンジによってそれぞれの区間の場所、幅は変わるので、今回はアクセルとブレーキの関係で考えてください。(富士のAコーナーとか鈴鹿のダンロップ、130Rみたいにアクセルで抜けるコーナーは、一次旋回はクリップのかなり手前で短く終わり、二次旋回が長く続きますね

1.ブレーキング区間

この区間のリアスライドが最も少ないように思います。ステアはまっすぐですしね。リアがスライドするのは、路面にアンギュレーションがある、直前のコーナーのGが残ってる、などの限られたシチュエーションだと思います。基本的は大きなリアスライドは発生しないので、「ステアで微調整」する場面です。

この区間で大きくリアスライドする場合は、「車にトラブルが発生した」「路面のオイルを踏んだ」など外部要因のことがほとんどなので、立て直すことを考えず、カウンターを当てつつブレーキを踏み、車を止めてしまいましょう。この場合、ブレーキはブラジルまで踏み抜いてください。なんならサイド引いてもいいです。後続車には注意してくださいね。

2.一次旋回区間

この区間はブレーキをリリースしているとはいえ、かなり前重心となりつつステアを切り込んでいく区間なので、リアスライドが発生しやすいですね。特に高速コーナーの下り(鈴鹿の1コーナーとか)はありがちです。この区間でのリアスライドは、基本的にはリアの荷重抜けなので、「ブレーキで抜けた荷重をリアに戻す」ことでグリップを回復することができます。具体的な対処方法は、スライドが小さいorスライドスピードが遅い順に
 ・ステアを戻して微調整
 ・ステアを戻しつつ、ブレーキを少しリリース
 ・ブレーキを少しリリースしつつ、カウンターを当てる
 ・カウンターを当てつつ、アクセルを少し踏む(FRはパーシャル程度、FFはパーシャル~全開の間)
となります。

この区間でリアがスライドした時にフルブレーキを踏むと、余計にリア荷重が抜けるのでそのままスピンしてアンコントローラブルになります。ご注意くださいな。

応用編として、
 ・(左足ブレーキの場合は)ブレーキ踏力とステア角を変えずにアクセルを一瞬煽る
 ・(右足ブレーキの場合は)ヒールトゥの要領でアクセルを一瞬煽る
 ・スライドスピードより速くステアを切り込み、フロントをアンダーにする
などがありますが、かなり応用編なので基本編ができる人が少しでもタイムダウンしたくない時に使ってください。

そして、一次旋回と二次旋回の区間のリアスライドは、立て直した後の方が大事です。いつまでも立て直し動作を行ってると、カウンター当てた側に車がすっ飛んでいきます。いわゆる「おつりをもらう」ってやつですね。
リアスライドを止めたら、「リアがすぐ戻ってくる!」という意識をもって、ステアを戻せるように心の準備をしておきましょう。

3.二次旋回区間

二次旋回区間では、ブレーキはリリースしきっていますので、一次旋回区間に比べてリア荷重は強めです。個人的にはこの区間のリアスライドが一番怖いし、難しいです。それは、「低速コーナーと高速コーナーで、スライドの理由も対処方法も違う」からです。

1)低速コーナーの場合
ヘヤピンなどRのきつい「待つ」コーナーで二次旋回中に起きるリアスライドは、「スナップオーバー」と呼ばれ、一次旋回のアンダー(正確にはプロウ)が原因のスライドがほとんどです。突っ込みすぎ、ステアを一気に切りすぎ等の理由で限界を迎えたフロントタイヤが、速度低下に伴いグリップを取り戻して一気に巻き込み、リアが流れるタイプのオーバーですね。大体アクセルの踏み始めにおきます。
このオーバーに対しては、
 ・(初級編)アクセルを戻して、ステア操作してください。怖ければブレーキを踏んでください。止まるので。
 ・(上級編)アクセルはそのまま、カウンターを一気にあててリアスライドを止めてください。スライドした結果、リアトラクションが不足していますが、デフ入りの車なら多少なりとも前に進みますので、トラクションを感じつつアクセルを開けていってください。

なおこのオーバーが出る人は、一次旋回の技術に問題ありなので、運転を見直しましょう。

2)高速コーナーの場合
高速コーナーの場合、この区間はたぶんパーシャルアクセルで抜ける区間だと思います。鈴鹿のダンロップや130R、富士のAコーナー、岡山国際の2コーナーを思い浮かべてください。
この区間は車が4つのタイヤを使って必死で最大級の横Gに耐えている区間です。こんななか、車を前後に揺らしてしまってはいけません。それは、リアがスライドしたときも同様です。スライドスピードはかなり早いと思いますが、ビビッてアクセルを抜いたら負けです。おつりをもらってすっ飛びます。具体的な対処としては、まずFRの場合、「アクセルはキープのまま、速やかにカウンター」を行います。この後は、その後は車の挙動変化に応じて異なります。
(1)スライドスピードが遅くならず、フルカウンターを迎えたとき
 諦めてフルブレーキしましょう。
(2)スライドスピードが遅くなる場合
 基本はアクセルをキープします。どこかでスライドが収まり、車が逆回転を始めるので心の準備をしてください。逆回転が始まったらアクセルをオフし、速やかにステアを元に戻します。車の回転よりステアの戻しが遅いとおつりをもらいますので注意。参考はこちら

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なお、スライドスピードが遅くなる場合、以下のように車が向かう方向をコントロールすることもできます。ちょっとアドバンストな内容ですが。
(1)out側が広いとき
 おつりをもらうのを覚悟でアクセルを緩めてください。カウンター量も多めでいいです。リアグリップの回復が早くなり、早い段階でスライドを止められます。ただし、おつりをもらうリスクは上がります。
おつり前提でout側に飛ばしたケースはこちら

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(2)out側が狭いとき
 絶対におつりをもらいたくありませんし、カウンター状態のままコースオフするのも避けたいですね。リアのトラクションを感じながらアクセルを踏み足してください。スピンの収まりを遅らせることができるので、前方に広いランオフが見えるときは延命のために耐える価値ありです。

さて、FFの場合。簡単です。アクセルをブラジルまで踏んでください。
FFはリアがスライドしようがなにしようが、フロントタイヤが食っている限り、フロントタイヤが目指す方向に車が動きます。そもそもカウンターの目的自体、スライドを止めるためという理由よりも、「車の動く方向とフロントタイヤの向きを揃え、フロントのグリップが失われるのを防ぐ」という意味合いのほうが強いと思います。フロントのグリップを感じながら、無理のない範囲で行きたい方向にステアを切りましょう。
スライドが止まらなかったら諦めてブレーキを踏むのはFRと同じです。

4.立ち上がり区間

立ち上がり区間でリアが出る理由は、②縦にグリップを振り分けた結果、横のグリップが不足したから、です。要はアクセルの踏みすぎってやつですね。一番多いリアスライドなので、馴染みのある方もいらっしゃるのではないでしょうか(白目)

これはめちゃくちゃ簡単。カウンター当てて、アクセルをちょっと緩めるだけです。スライドが収まったら、またアクセル踏んで立ち上がりましょう。慣れてくると、スライドを予期してアクセルを1瞬オフ→すぐ全開なんて芸当もできるようになります。

5.まとめ

…たいけどこんな量まとめ切れるか!
まあひとつ大切なのは、理屈だけわかってても使えないと意味ない、ってことですね。こんだけ語ってきてなんですけど。
少しでも何かの足しになれば、ってことで書いてるので、あくまで参考クラスでとらえてください。書ききれていないケースもあるので、これだけを信じるのはオススメしません笑。

自分のスキルと車のスペックを把握して、安全にサーキットを楽しみましょう。





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